ラッパーのAK-69が6月9日に神奈川・横浜アリーナでワンマンライブ「69 -My G's in YOKOHAMA ARENA-」を開催。チケットはソールドアウトし、約1万人の観客が来場した。
これまでコラボしてこなかったアーティストやプロデューサーを迎えて制作したアルバム「My G's」を今年1月にリリースし、そのデラックスバージョンをライブの直前に発表したAK-69。アルバムの名を冠したワンマンライブには、「Featuring My G's」として、シークレットゲストも含む多数の豪華ゲストが登場し、絶え間なく大歓声が響いた。
過去の自分と決別してステージへ
ライブはAK-69が鏡に映ったアルターエゴ=もう1人の自分と対峙するオープニング映像で幕を開ける。虚栄心に捉われ、きらびやかな富や名声を勝ち誇る過去の自分を否定したAK-69は、白い無地Tシャツにジーパンという、この上なくシンプルな出で立ちでステージに現れると、69小節をラップし続ける新曲「69 Bars」で“本質”と向き合うことを説く。
アーティストにとって“本質”とは何か。それは“音楽へのピュアな衝動”だ。AK-69はRed Eye、Watson、Eric.B.Jr、Jin Dogg、Candee、Carzといった勢いあふれる若手ラッパーを次々に呼び込みつつ、彼らに一歩も譲らない熱量のラップを打ち返し、今なお成長する姿を示していく。またエネルギッシュな楽曲の合間には、長年走り続けてきた彼だからこそのメッセージを観客に投げかけ、大事なものは一番身近にあるとパートナーに歌った「And I Love You So」や、亡き父への愛を込めた「Stronger」、母へ感謝をつづった「Dear Mama feat. MaRI & Daiki Blunt」をエモーショナルに歌い上げた。
横浜や東海のレジェンドに示すリスペクト
ライブ中盤にはAK-69と同じく東海をレペゼンするDJ RYOWのDJタイムが設けられ、横浜を代表するOZROSAURUSの「AREA AREA」やDJ PMXの「Miss LUXURY」、DS455の「LOWRIDE 4 LIFE」がプレイされる。ここでDS455のKayzabroが実に7年ぶりにステージに立つと、AK-69は彼とともに「Only God Can Judge Me REMIX」をパフォーマンスし、横浜を大いに沸かせた。
さらにAK-69は「次は横浜から東海見せるぜ」と告げると「Ding Ding Dong ~心の鐘~」から「Bussin' REMIX」に突入。東海の後輩である¥ellow Bucks、MaRI、C.O.S.A.、Playssonを迎え入れ、パワフルなマイクリレーを繰り広げる。東海を代表するラッパーたちが集結し、アリーナが爆発的に沸き上がる中、続けざまにDJ RYOWとTOKONA-Xの楽曲「WHO ARE U ?」がスタート。この曲はトウカイテイオーことTOKONA-Xの遺作とされる楽曲であり、AK-69は彼が書き残したヴァースを後輩たちとともに歌って、東海のレジェンドへのリスペクトを示してみせた。
AK-69に与えられた使命とは
ライブ終盤、これまで交わることのなかったTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOとコラボを果たしたdj hondaプロデュース曲「道」を披露し、これまでの歩みを振り返るようにラップしたAK-69。Tシャツを脱ぎ捨て、鍛え抜かれた体をむき出しにすると、同い年のラッパー般若を迎えて「Break through the wall REMIX」を熱唱する。
そして本編ラストでAK-69が代表曲の「START IT AGAIN」や「Flying B」とともに観客に放ったのは、日本という国への思いや政治に関心を持ってほしいというメッセージだった。「今投票に行ってない若者全員が投票したとしても、政治は変わらないという賢い人たちもいるよ。だけど、どうなん? 負けたくねえよ」と熱弁し、「今動いてない票が全部動いたとしても変わらないんだったら、今すでに投票してる人たちにも俺たちが訴えかけようよ」と呼びかけた彼は、「誰もいなくなったって俺は叫び続ける。だって俺はヒップホップで成功を与えられ、こういう使命を与えられたんだ。それがAK-69の音楽だ」と声を上げた。
純粋にこの音楽にもっと時間をかけたい
本編終了後のアンコールには、アナウンスされていなかったシークレットゲストが次々に登場。邦ロックシーンのトップランナーであるUVERworldのTAKUYA∞や、AK-69をフィーチャーした「Go Getter」でデビューした元・美 少年の金指一世ことISSEIに続いては、木梨憲武が現れ、彼とAK-69のコラボ曲「No Limit」が披露される。生まれて初めて買ったCDは、とんねるずの「ガラガラヘビがやってくる」だったというAK-69は、木梨との共演を夢のようだと語り、「音楽って素晴らしいよね」と感慨を口にした。
続けて「自分が本当に好きなものってなんだって考えたけど、やっぱり音楽なんだな。いろんなことやってるけど、純粋にこの音楽にもっと時間をかけたいし、もっといい音楽を生めると思う。もっといいメッセージを放つ使命のもとに生きてると思ってる」と意気込んだAK-69は「マイクを置くまでMy G'sたちに囲まれながら俺は音楽活動を続けていきたい」と宣言。「終電逃してもパワー残して帰るんじゃねえぞ!」と観客を煽ると、SEEDAを迎えた「My G's」で日本語ラップシーンへの熱い思いをスピットし、自身初の横浜アリーナ単独公演に幕を下ろした。
セットリスト
AK-69「69 -My G's in YOKOHAMA ARENA-」2025年6月9日 横浜アリーナ
01. 69 Bars
02. IRON HORSE -No Mark-
03. 雨音
04. THE RED MAGIC
05. Red Zone feat. Red Eye
06. One Shot feat. Watson & Eric.B.Jr
07. Bill Fake$ feat. Jin Dogg
08. A Hundred Bottles
09. Do it feat. Candee
10. Encore feat. ALBA & MA55IVE THE RAMPAGE
11. Now It’s OK feat. Carz
12. And I Love You So
13. スーパースターREMIX feat. The タイマンチーズ
14. Stronger Orch. Remix
15. Dear Mama feat. MaRI & Daiki Blunt
16. DJ RYOW TIME
17. Only God Can Judge Me REMIX feat. Kayzabro
18. Ding Ding Dong ~心の鐘~
19. Bussin' REMIX Feat. ¥ellow Bucks, MaRI, C.O.S.A. & Playsson
20. WHO ARE U?
21. 道 feat. ILL-BOSSTINO
22. Break through the wall REMIX feat. 般若
23. START IT AGAIN
24. Flying B
<アンコール>
25. Forever Young feat. TAKUYA∞
26. Go Getter feat. AK-69 / ISSEI
27. No Limit feat. AK-69 / 木梨憲武
28. My G's feat. SEEDA
