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マイベストトラック2019 Vol.2 トラックメーカー編

5年近く前2020年01月21日 9:02

2020年の幕開けに合わせて音楽ナタリーでは、さまざまなアーティストに「2019年にもっとも愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全8本の記事を毎日更新していく。今回は「トラックメーカー編」として、Sweet William、STUTS、☆Taku Takahashi(m-flo)、西山(パソコン音楽クラブ)、VIDEOTAPEMUSIC、RAM RIDER(50音順)が選んだ2019年の3曲を紹介する。

Sweet William

Somni「Intro/Tranquil」

Jacob Collier & Daniel Caesar「Best Part(Live in Toronto)」

ANoyd & Statik Selektah「The Mood」

Somniの「Intro/Tranquil」はBeatmakerのGREEN CRACKから教えてもらいました。後半にかけてのPianoの展開が好きでした。Introからの流れやCompに頼りきってない音圧の出し方がカッコよかったです。

Jacob Collierがカヴァーした「Best Part」は、Daniel Caesarも途中から出てくるLiveですが本当に圧巻でした。

ANoyd & Statik Selektahの「The Mood」はRapperのサトウユウヤから教えてもらいました。Beatの鳴りとHookのメロが好きでした。Statik Selektahは一貫してDrum選びとBeatの鳴らし方にこだわりが出ているので好きです。

プロフィール

1990年生まれ、愛知県出身のビートメーカー。映像作家の國枝真太朗が主宰するクリエイター集団・Pitch Odd Mansionに所属し、メロディックなトラックで支持を集めている。2017年4月に発表した唾奇とのコラボアルバム「Jasmine」が話題に。その後もJinmenusagiとのコラボアルバム「la blanka」、青葉市子とのコラボシングル「からかひ」「あまねき」をリリースしている。2019年9月にソロ作品「Brown」を発売した。

Sweet William (@LO_FRASCO) - Twitter

STUTS

Ari Lennox「I Been」

A$AP Ferg「Pups(feat. A$AP Rocky)」

Gang Starr「Family & Loyalty feat. J.Cole」

昨年よく聞いた曲の中から3つ選びました。

Ari Lennoxはアルバム全体で昨年とてもよく聞いたのですが、その中でもよく聞いたのはこの「I Been」という曲です。隙間のあるトラックと切ない歌詞と歌い方がとても好きです。

A$AP Fergの「Floor Sheets」も昨年よく聞いた作品の中の一つなのですが、そのなかでもPupsはトラックもラップも熱量に溢れていて最高でした。

Gang Starrの「Family & Loyalty」は初めてプリモのトラックを聞いた時の感覚を覚えました。2019年にこんな気持ちを味わえると思っていなかったので、とても印象深かったです。これぞGang Starrといった感じのGuruらしい淡々としたフックも客演のJ.Coleも最高です。

プロフィール

1989年生まれのトラックメーカー / MPCプレイヤー。2013年にアメリカ・ニューヨークのハーレム地区の路上でMPCライブを行い、オーディエンスが踊り出す動画をYouTubeで公開して話題になる。2016年4月に1stアルバム「Pushin'」を発表し、PUNPEEをフィーチャーした「夜を使いはたして」がフロアアンセムに。2017年6月にはAlfred Beach Sandalとのコラボ作品「ABS+STUTS」、2018年9月には2ndアルバム「Eutopia」をリリースした。現在は自身の作品制作、ライブと並行して数多くのプロデュース、コラボレーションやCM楽曲制作を行っている。

STUTS

☆Taku Takahashi(m-flo)

iri「SUMMER END」

SIRUP「Rain」

eill「SPOTLIGHT」

iriちゃんの声がすごく好きなんだけど、「SUMMER END」はしょっぱなから彼女の素敵な曲で始まります。トラックを作ったTaarくんの泣きのシンセリフも最高。

SIRUPはライブが最高によくて頼まれてもいないのにblock.fmでレビューを書きたくなるくらい最高のライブだった。アルバムの中でいちばん好きな曲。

「SPOTLIGHT」は等身大のeillちゃんのメッセージが詰まったアルバムのリード曲。色んな葛藤の中から生まれたポジティブなメッセージが人に元気を与える感じが伝わってきて、気がつけばパワープレイしてた。

プロフィール

DJ、プロデューサー。1998年にVERBAL、LISAとm-floを結成。ソロとしても国内外アーティストのプロデュースやリミックス制作のほか、アニメ「Panty&Stocking with Garterbelt」、ドラマ・映画「信長協奏曲」、ゲーム「ロード オブ ヴァーミリオン III」など、さまざまな分野でサウンドトラックの監修も行う。2010年にリリースした「Incoming... TAKU Remix」は世界最大のダンスミュージック配信サイト・BeatportのD&Bチャートで年間1位と音楽賞「Beatport MUSIC AWARDS 2011 TOP TRACKS」を獲得し、名実ともに世界に通用することを証明。2011年に立ち上げた日本初のダンスミュージック専門インターネットラジオ・block.fmは新たな音楽ムーブメントの起点となっている。なおm-floは2017年にLISAがカムバックし、15年ぶりにオリジナルメンバーでの活動を再開。2019年11月に活動20周年を記念したオリジナルアルバム「KYO」を発表した。

☆Taku Takahashi (@takudj) | Twitter

西山(パソコン音楽クラブ)

For Tracy Hyde「水と眠る」

the chef cooks me「最新世界心心相印(New Feeling)」

清水靖晃「絶句」

一年通してお気に入りの曲をあげるとキリがないので2019年リリースの作品に絞って考えてみました(「絶句」だけは1988年リリースですが2019年にリマスターLP復刻版が出たので入れました)。

まずFor Tracy Hyde「水と眠る」は僕が所属するパソコン音楽クラブでリミックスさせていただいた曲でもあり、この曲が収録されている「New Young City」というアルバムがパソコン音楽クラブのアルバムと同日発売だったこともあって、とても縁を感じたのを思い出します……。

一聴して分かるのはこのアルバム全体を貫く、過剰なまでのリバーブ。とりわけこの曲は冒頭のギターサウンドと深いリバーブがあいまって深い水の底にいるような音像が印象的で、曲名から感じるイメージを見事に表現にしているなと思います。アニソンの影響も感じるキャッチーなボーカルラインと暴力的なギターもとても魅力的ですが、とりわけアーティスティックなエンジニアリングにとても感動しました……!

続いてthe chef cooks me「Feeling」に収録された「最新世界心心相印(New Feeling)」。前作のアルバム「回転体」も素晴らしいアルバムでしたが、今作のポップかつ丁寧な職人芸的なアレンジもとても好みでした。この曲はボーカルやリフのラインがキャッチーでありながら下品にはならず、むしろとてもアダルトで洗練された香りを感じさせます。このアルバムに収録されている「dip out(feat.imai)」ではgroup_inouのimaiさん節の効いたアシッドサウンドをバンドサウンドの中で見事に混ぜ合わせているのにも痺れました!

最後に清水靖晃「Dementos」の収録曲「絶句」。サックス奏者としてもご高名な氏のこの作品は1988年リリースですが、2019年にリマスターされて復刻LPがリリースされました。声ネタの印象的な冒頭部から、様々なワールドミュージックのエッセンスを感じるリフレインへと突入した時の高揚感は最高です。アルバム全曲名曲。使用されているのと同年代の音楽機材を多用している自分にとってはとても学びのあるアルバムでもありました。

プロフィール

柴田と共に2015年に関西で音楽ユニット・パソコン音楽クラブを結成。パソコン音楽クラブは「DTMの新時代が到来する!」をテーマに、 Roland・SCシリーズやヤマハ・MUシリーズなどの1990年代のハードウェア音源モジュールを用いて楽曲を制作している。2017年にMaltine Recordsから無料配信ミニアルバム「PARK CITY」を発表。2018年1月からテレビ東京系で放送されたドラマ「電影少女‐VIDEO GIRL AI 2018-」の劇伴制作に参加し、同ドラマ主題歌であるtofubeats「ふめつのこころ」の公式リミックスを担当した。2018年6月に初の全国流通盤となるフルアルバム「DREAM WALK」をリリースし、2019年9月に2ndアルバム「Night Flow」を発表。またテレビアニメ「ポケットモンスター」のエンディングテーマ「ポケモンしりとり(ピカチュウ→ミュウVer.)」で作詞、作曲、編曲を手がけている。

パソコン音楽クラブのHPへようこそ!

VIDEOTAPEMUSIC

坂本慎太郎「小舟(feat. ゑでゐ鼓雨磨)」

クレイジーケンバンド「KARAOKE International」

mmm with エマーソン北村「Moon River」

「小舟」も「KARAOKE International」も自分が昨年映像で関わらせてもらった曲ですが、それを抜きにしても愛聴しました。坂本さんも剣さんも多くの作品を作り続けていますが、常に新作を聴くたびにゾクッとくる刺激があります。

アルバムやそのリリースツアーにも参加してくれたエマーソン北村さんとmmmの共作もじっくりと年の瀬に噛み締めたい作品でした。最後を飾る「Moon River」の美しさと、掴もうとしても逃げてしまう煙のような儚さはなんなんでしょう……。作っても作っても音楽は掴めない煙のように逃げてゆきますが、それでも探究心を失わず誠実に作り続けたいです。

プロフィール

地方都市のリサイクルショップや閉店したレンタルビデオショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を制作しているアーティスト。VHSの映像とピアニカを使ってライブをするほか、ミュージックビデオの制作、VJ、DJ、イベントのオーガナイズなど多岐にわたる活動を展開している。これまでにMVやVJなど映像で関わってきたアーティストは、cero、坂本慎太郎、クレイジーケンバンド、キセル、サニーデイ・サービス、Gotch(ASIAN KUNG-FU GENARATION)など。2012年に初の全国流通となる1stアルバム「7泊8日」、2015年に2ndアルバム「世界各国の夜」を発表する。2016年7月にはceroとのコラボレーション編成の「VIDEOTAPEMUSIC×cero」として「FUJI ROCK FESTIVAL」に出演、12月には坂本慎太郎との共作で12inchアナログ「バンコクの夜」を発表した。2017年には3rdアルバム「ON THE AIR」をリリース。2019年7月に横山剣(クレイジーケンバンド)、高城晶平(cero)、折坂悠太らが参加した初の歌モノアルバム「The Secret Life Of VIDEOTAPEMUSIC」を発表した。

VIDEOTAPEMUSIC

※高城晶平の高ははしご高が正式表記。

RAMRIDER

KEN ISHII「Bells of New Life」

Salvatore Ganacci「Horse」

David Guetta & MORTEN「Make It To Heaven (with Raye)」

SpotifyやApple Musicなど音楽の聴き方がどんどん変化していく中で、個人的に一番大きかったのはYouTube Premiumに加入したことでした。広告非表示や端末へのDLなどささいな違いですが、音楽+映像でワンパッケージ、という楽しみ方がより強化されたように思います。今回あげた曲はどれも映像も素晴らしく、観ていて目が気持ちいい作品ばかりです。音楽的傾向としてはやはり90年代からのテクノ、ハウスや、強弱のみで聴かせるストレート(シャッフルしない)リズムの曲など、僕がど真ん中世代のリバイバルがまた来ている予感がして、今年も楽しみです。自分自身のリリースも精力的にやっていきたいと思います。

プロフィール

1人で作詞作曲、トラックメイキング、歌唱を手がける男性ソロアーティスト。2003年から本格的な活動を開始し、2005年6月に「ユメデアエルヨ」でメジャーデビューした。同年11月に発表した1stアルバム「PORTABLE DISCO」がスマッシュヒットを記録。その後はDJとして人気を集める一方、プロデューサーやリミキサー、作曲家として活躍する。2019年12月にレーベル・401を立ち上げ、自身によるボーカル曲「東京論」を配信リリース。プロデュースなどと並行して2020年も次々と楽曲をリリース予定。

RAM RIDER

構成 / 橋本尚平

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