Sano ibukiの新曲「紙飛行機」が、今秋公開予定の萩原慎一郎原作映画「滑走路」の主題歌に決定した。
萩原はいじめや非正規雇用など自らの経験をテーマに短歌を発表し続け、32歳の若さで命を絶った歌人。デビュー作にして遺作である歌集「歌集 滑走路」は苦難の中でも生きる希望を歌った内容で、多くの共感を集めた。映画「滑走路」はこの歌集から着想を得た作品で、水川あさみ、浅香航大、寄川歌太らの出演が決定している。
以前から原作歌集を愛読していたというSanoは、制作途中の映像を何度も見返しながら、監督の大庭功睦とディスカッションを重ねて主題歌「紙飛行機」を書き下ろした。
Sano ibuki コメント
今回「滑走路」の主題歌を担当させて頂きました。“紙飛行機”という曲です。監督から「最後にSanoさんの曲で映画を空へ飛ばしてほしい」という言葉を頂き、この作品の叫びを遠くへ飛ばす風となれるような楽曲を作りたいと模索した末、完成しました。表面的な希望ではなくその奥にある絶望や妬み、悲しみを包み込む優しさのようなものを感じるこの作品に出会えたことで、僕自身救われたような気持ちになりました。劇場で鑑賞できることを楽しみにしています。
大庭功睦 コメント
Sano ibukiさんの「マリアロード」を聴き、「この人なら映画を観た後にそれぞれの感情を抱えた観客の思いを、その深く柔らかい声でまとめ上げてくれるような、スケール感のある音楽を作ってくれるのではないか」と感じました。また叙情的で物語性のある歌詞も、原作者である萩原さんの歌と親和するように感じています。初めてSanoさんにお会いした時、僕の目を真っ直ぐに見て、「映像を5、6回は観ました!」と言ってくれたのをよく覚えています。なんとなく、傑出した才気で孤独に音楽を作られている方なのかな、と勝手に思っていたので、そこまで映画と熱心に向き合ってくれる事が嬉しくもあり、また意外でもありました。 Sanoさんは、原作、映画と対峙しながら、“自分は音楽としてどう答えを出すべきか”をとても真摯に誠実に考えてくれていて、その姿勢をとても頼もしく、また嬉しく感じました。最初のデモが上がった時にラストシーンの映像にあてながら聴いたのですが、思わず感動して泣いてしまいました。僕の理想を遥かに凌駕し、原作も映画も力強く前へと運んでくれる楽曲がそこにあったのです。