沢田研二と菅田将暉がダブル主演を務める映画「キネマの神様」の公開記念舞台挨拶が本日8月5日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの菅田、野田洋次郎(RADWIMPS)、北川景子、宮本信子、監督の山田洋次が登壇した。
明日8月6日に公開される「キネマの神様」は松竹映画100周年を記念して制作された作品。原田マハによる同名小説の実写化作品で、“映画の神様”を信じ続けた主人公・ゴウとその家族に起きる奇跡の物語が描かれる。物語は過去と現在を描く2つのパートで構成され、沢田が現在の落ちぶれたゴウ、菅田が若き日のゴウを演じたほか、ゴウの盟友テラシン役を野田と小林稔侍、ゴウの妻・淑子役を永野芽郁と宮本、昭和の銀幕スター女優・桂園子役を北川が務めた。当初、現在のゴウは志村けんが演じる予定だったが、志村は昨年3月29日に新型コロナウイルスによる肺炎でこの世を去り、沢田が代役を務めた。なお主題歌はRADWIMPS feat.菅田将暉による楽曲「うたかた歌」に決定している。
野田は本作の主題歌「うたかた歌」について「緊張しつつも撮影を楽しんでやって、この絵空事のような体験と、テラシンとゴウと淑子さんの空気や匂いを音楽で残しておきたいという思いがあったんです。でもコロナで撮影がストップして、さらに志村さんが倒れられたと聞いたときに、『この映画が止まってしまうのかな、あんなに素敵なことがなかったことになってしまうのかな』と思って。そして自宅で外出自粛期間を過ごすうちに、誰に何を言われるでもなく、音楽にするしかないなと。そうしてできた曲をプロデューサー、監督、菅田くんに送りました」と制作の経緯を説明。菅田は「最初は『感謝のお手紙です』ということで送っていただいて。まさにテラシンとゴウの曲だなと思いました。自分が出てる映画で自分が歌うのはあまりしたくない気持ちもあったんですけど、すごく自然な流れでレコーディングをしました」と語った。
さらにこの曲について、宮本は「ピュアですがすがしいなと。淑子に対するラブソングのようで。テラシンとゴウの大きな愛を感じました」と感想を述べ、北川は「主題歌のことを知らないままできあがった作品を拝見したんですけど、あの歌を聴きながら、また自分が園子になったような気がしました。それくらい映画の世界観が表現されていて、本当に素晴らしい2人だなと思いました」とコメントした。
本作では志村によるリメイクバージョンが広く知られる「東村山音頭」を、沢田が歌唱するシーンがみどころの1つ。このシーンについて山田は「沢田研二さんと相談したんです。彼のヒットソングを歌うのもありかもしれないとも思ったんですけど、『東村山音頭』というアイデアが浮かんできまして。彼(志村)に対するオマージュになるだろうなと。そして沢田さんに歌ってもらったらピッタリハマっていました。とてもいい判断だったと思います」と語った。
ここで司会者が劇場プログラムに掲載されている沢田のコメントを代読。司会者は「志村さんのお気持ちを抱きしめ、やり遂げる覚悟です。あの日から新型コロナとともに歩んだ72歳、精一杯の姿です。しょうがないですが、志村さんのゴウが見たかった。私はこの作品を封切り館で初めて観ようと思っています」と読み上げた。菅田は沢田について、「ちょうど『東村山音頭』を歌うシーンの直前のところをお見かけして。誰も近付けないないような空気感があって、その姿だけでこの作品への姿勢が滲み出ていました。同じ人物を演じられたということはすごく光栄ですね」と感慨深げな表情を浮かべた。
(c)2021「キネマの神様」製作委員会 配給:松竹