7月25~27日に新潟・苗場スキー場で野外フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL '25」が開催された。
今年のフジロックは、第1弾ラインナップを出演日を分けて発表し、ヘッドライナーのうち2組に初来日のアーティストを迎えたりと、新たなチャレンジを行った。その結果、土曜1日券と3日通し券がソールドアウトし、3日間で10万6000人を動員。前夜祭と合わせると12万2000人が苗場スキー場に足を運んだ。会場には毎年フジロックを楽しみにしているフジロッカーたちはもちろん、初めて苗場の地を訪れたであろう若者たちや海外の音楽ファンも多く訪れ、大自然の中で国内外200組を超えるアーティストのライブやさまざまなアクティビティなどを楽しんだ。またAmazon Musicがオフィシャルサポーターとして参加し、Prime VideoとTwitchにてライブ配信を実施。苗場には来られなかった多くのミュージックラバーたちもそれぞれの場所でライブを楽しんだ。
フレッド・アゲイン、Vaundy、Suchmosらが出演した1日目
初日のFIELD OF HEAVENのトップバッターを務めたのはトリプルファイヤー。フジロック出演は、苗場食堂に登場した2017年以来8年ぶりであり、昨年リリースした約7年ぶりのアルバム「EXTRA」の大きな反響が彼らをこのステージに導いたと言って間違いないだろう。吉田靖直(Vo)が缶ビールを開けて開会を宣言すると「お酒を飲むと楽しいね」をはじめとした新旧の楽曲を寡黙なバンドメンバーがダンサブルなアレンジで届けていく。終盤には、フジロック2日目に出演する山下達郎の楽曲「RIDE ON TIME」のカバーも。達郎とはかけ離れた吉田の熱唱が山中にこだまし、観客は皆笑顔を浮かべながら踊った。
今年は日本やアジアをテーマにしたステージ「ORANGE ECHO」が新設された。FIELD OF HEAVENの先、フジロックの“最深部”であるこのエリアはもともとORANGE COURTというステージがあったが、2016年にフード提供をメインとしたORANGE CAFEにリニューアル。そして今年、ラインナップのみならず、日本の文化を融合させた装飾も目を引くステージORANGE ECHOに生まれ変わった。そんなフジロッカーに根強い人気がある“オレンジ”エリアの新ステージ・ORANGE ECHOのトップバッターを飾ったのは、Summer Eye。さすが初日とあって、最深部にあるこのステージも多くの観客でにぎわった。夏目知幸は「シリアスなベテランルーキーなんだ俺は! そしてリビングレジェンド、Summer Eyeだよろしく!」と挨拶し、観覧エリアに設置したはしごの上で代表曲の「失敗」や最新曲の「芒果」などを届けた。
昨年のROOKIE A GO-GOでフジロックデビューを果たしたkurayamisakaは、RED MARQUEEの一番手として登場。音楽シーンにその名を知らしめた「farewell」や、ノスタルジーとエモーションが交差する「sekisei inko」などの楽曲を爆音で繰り出し、強烈なインパクトを残してステージをあとにした。
2017年は場外のROOKIE A GO-GOステージ、2022年は苗場食堂に出演したおとぼけビ~バ~は、今回WHITE STAGEに出演。世界的に活躍する彼女たちが鳴らす爆音を浴びるため、会場を埋め尽くすほどの観客が山中に詰めかける。ライブ中盤、雨がしとしと降り始めるが、演奏に魅了された観客は会場に留まり、4人は雨を吹き飛ばす勢いでエキセントリックなパフォーマンスを畳みかけた。なお、かほキッス(Dr)は妊娠中であり、これが活動休止前ラストのライブとなったが、“心臓2つバージョン”のパワフルなドラムでライブを牽引した。
KIRINJIは、昼のFIELD OF HEAVENに登場。するとリハーサルまで降っていた雨が奇跡のように止み、晴れ間が広がる。そんな天気にピッタリな「Runner's High」でライブの幕を開けた彼らは、近年のライブ定番曲と「Drifter」「イカロスの末裔」などキリンジ時代の人気曲を織り交ぜて披露。洗練されたグルーヴィな演奏により、現体制のKIRINJIをよく知らない観客も存分に楽しませた。KIRINJIは意外にもこれがフジロック初出演であり、堀込高樹(Vo, G)は「長くやってみるもんですね」と感慨を語っていた。
韓国のバンド・HYUKOHと、台湾のバンド・落日飛車(Sunset Rollercoaster)のコラボステージはGREEN STAGEで展開された。2023年5月から約1年間、韓国内の各地で共同創作し、2024年7月に国境を超えたコラボレーションアルバム「AAA」をリリースしたHYUKOHとSunset Rollercoaster。フジロックのステージでは「Kite War」や「Young Man」をはじめとする「AAA」の収録曲やお互いの楽曲を演奏し、美しくダイナミックなアンサンブルでだんだんと暮れゆくGREEN STAGEを彩った。
WHITE STAGEのトリを任されたのは、今年6月に2DAYSワンマンを行って完全復活を遂げたSuchmos。フジロックへの出演は7年ぶりとなる彼らは地元・茅ヶ崎の情景を歌った初期曲「Pacific」や、最新EPの収録曲でメンバーの多様な音楽的ルーツを感じさせる「Eye to Eye」、7年前には演奏しなかった代表曲の1つ「STAY TUNE」など、新旧織り交ぜたセットリストで会場のボルテージを高めていった。YONCE(Vo)が超満員の観客を前に「いろんな人たちの前でライブができる場として、ロックフェスというものが今後も末永く続くことを祈ります。今日は本当にありがとうございました。あと50曲ぐらいやって終わります」と宣言すると、バンドは「Whole of Flower」や「YMM」といったキラーチューンを連発し、熱狂の中でステージを終えた。
Vaundyは2021年にフジロックに初出演。2021年はRED MARQUEEを沸かせ、2023年にはWHITE STAGEで堂々とトリを務め上げ、そして今回はトリ前のGREEN STAGEと、着実にステップアップを重ねてきた。大勢の観客が待ちわびるGREEN STAGEに姿を現したVaundyは大歓声を浴びながら「不可幸力」でライブをスタート。「踊り子」や「花占い」といった人気曲はもちろん、話題のアニメ「光が死んだ夏」のオープニングを彩る最新曲「再会」も披露し、確かな歌唱力でGREEN STAGEを熱く盛り上げる。彼がラストナンバーに選んだのは大ヒット曲「怪獣の花唄」。広大な自然の中に耳馴染みのよいロングトーンが響き渡り、オーディエンスの熱狂冷めやらぬ中Vaundyはステージを去った。
Vaundyのステージが終わると、GREEN STAGEでは次のアクト(=フレッド・アゲイン)の開演が遅れる旨がアナウンスされた。機材トラブルにより予定時刻から約1時間半後ろ倒しで始まったフレッドのステージ。22:50頃に笑顔で彼が登場すると、ビジョンには日本語と英語で「フジロックでプレイできるなんて本当に光栄だよ。集まってくれてありがとう」など、彼からのメッセージが映し出された。大勢の観客が待ちわびたフレッドのステージは「Kyle(i found you)」でスタート。その後も彼が日記のようにつづってきたアルバム「Actual Life」シリーズの楽曲を次々と届けていく。フレッドはSNSで見ていたフジロックのステージに立てた感慨を述べ、ビジョンを通じてファンへの温かい言葉を幾度も送る。またジョイ・アノニマスをゲストに迎えた「peace u need」では「あなたに私の一部をあげる」「あなたが必要とする平和が来ることを願っている」という和訳がビジョンに映し出され、オーディエンスも同じ気持ちだと言わんばかりに盛大なシンガロングをステージに送った。
普段はヘッドライナーのステージが終わると始まるROOKIE A GO-GOのステージは定刻通り23:00にTrooper Saluteのアクトでスタート。深夜2時、ダンサブルな楽曲とこぶしの効いたTPの歌声をかけ合わせた、独創的なHUGENのステージは大盛況だった。
RED MARQUEEの深夜帯ステージ・PLANET GROOVEに登場した坂本慎太郎は、官能的なトランペットの響きを合図に「死者より」でパフォーマンスを開始。腕利きのメンバーによる研ぎ澄まされた演奏に、深夜という時間帯や場内を妖しく照らす照明演出が相まって、坂本が描く独特の音楽世界はより濃密なものとなっていった。ライブ定番曲「仮面をはずさないで」ではサイケデリックなレーザーがいたるところに照射され、演奏が終わることにはPLANET GROOVEは混沌としたダンスフロアと化していた。
Vuflpeck、山下達郎、STUTSら出演した2日目
チケットがソールドアウトした2日目も快晴……かと思われたが、午後に激しい通り雨があり、夏の山間で行われるフジロックらしい天候の1日となった。ひまわりで彩られたこぢんまりとしたステージ・Gypsy Avalonのトップバッターを務めたのは、子供に大人気のケロポンズ。今回は熊本のご当地キャラクター・くまモンを引き連れての登場だ。ケロポンズの人気曲「エビカニクス」をはじめとする楽しい楽曲の数々で、Gypsy Avalonに訪れた子供と大人を大いに盛り上げた。
アバンギャルドなアレンジと、ライブ巧者だからこそ成せる即興演奏でオーディエンスを釘付けにしたのは君島大空 合奏形態。ライブ終盤、4度目のフジロック出演にして初めてGREEN STAGEに立った君島は「思い残すことしかないけど……ありがとう。最後まで一緒に楽しみましょう」と呼びかけると、「遠視のコントラルト」「都合」の2曲を熱量たっぷりに届け、深い余韻を残してステージを去っていった。
フジロックは、2011年より反核・脱原発イベント「アトミック・カフェ」にGypsy Avalonステージの一部を提供し、社会の課題を考えるムーブメントを応援している。今年2日目のGypsy Avalonでは「民主主義と自治」をテーマにしたトークライブが行われたのち、参政党のさや氏への怒りを歌った楽曲「IGMF」で話題の春ねむりがライブを繰り広げた。大雨の中、「NO RACISM」の旗を掲げて登場した彼女は、観客にもフラッグを配り、「Riot」などのメッセージ性あふれる楽曲を披露。「それぞれができることをやろう」と訴える彼女に共鳴した聴衆は音に身を任せて自由に踊った。なお昨今の政治情勢に危機感を抱くアーティストは彼女だけではなく、春ねむりらも差別や戦争に反対するメッセージを観客に投げかけた。
突然の豪雨の中、GREEN STAGEに登場したのがSTUTSだ。大雨に降られながらも集まった、色とりどりの雨具に身を包んだ大勢の観客に丁寧な言葉遣いで感謝しつつ、彼はバンドメンバーや多数のラッパーを迎えてパフォーマンスを展開。途中、唐突に「ポカリスエット」を一気飲みすると、ポカリのCMソング「99steps」を客演のKohjiyaとHana Hope、CMに出演した高校生ダンサー原口武蔵たちとともに披露した。そしてSTUTSが最後に演奏したのは亡きJJJと作り上げた楽曲「Changes」。彼は「JJJがいなければ自分はいない」とその存在のかけがえなさを語りつつ、「また音の中で会えるので」と前を向きMPCを叩いた。
STUTSのライブを観た観客の多くがその後に向かったのがWHITE STAGE。出演決定後の4月13日に急逝するも、その功績を称えて予定通り行われることになったJJJのライブを見届けるためだ。それまで降っていた雨が直前に止んで夕焼け空が広がる中、バックDJのAru-2と岩見継吾(B)、須原杏カルテットが現れ、ライブがスタート。JJJがそこにいるかのような大迫力のラップが広いWHITE STAGEに響き渡る。過剰な演出は交えずにライブは進み、Sogumm、OMSB、STUTS、Campanellaが客演として登場。最後はSTUTSのステージでも披露された代表曲「Changes」がJJJのライブ映像とともに演奏され、集まった人々はこの世を旅立った彼に思いを馳せた。
WHITE STAGEには、今回が初来日となったフェイ・ウェブスターも出演。彼女は「But Not Kiss」で静かにライブの口火を切ると、「Wanna Quit All the Time」「Wilco Type Beat」といった楽曲を並べて、ドリーミーなムードを作り上げていった。ライブ中盤には、自身のアメリカツアーにも帯同した盟友・mei eharaをゲストに迎えてコラボ曲「Overslept」を披露。曲中にフェイがmei eharaの肩に頭を預けてギターを演奏するなど、2人の相思相愛ぶりにオーディエンスからは温かな歓声が送られた。
雨上がりのGREEN STAGEに続々と人が押し寄せる。今年デビュー50周年を迎える山下達郎の出演は、この日のチケットがソールドアウトになった大きな理由の1つだろう。単独コンサートのチケットは毎度争奪戦、夏フェスへの出演も2018年の「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO」以来7年ぶりとあって、初出演が発表された際から大きな話題を集めていた。ニットキャップにブルーのシャツ、そしてビンテージブルーのデニムというおなじみのスタイルで登場した山下は最新曲「MOVE ON」のセッションで会場を温めたあと、「SPARKLE」で本格的にライブをスタート。「ドーナツ・ソング」や映画「サマーウォーズ」の主題歌「僕らの夏の夢」といったポピュラーな楽曲はもちろん、このあとヘッドライナーとして登場するVulfpeckへのリスペクトを感じさせる「SILENT SCREAMER」や「BOMBER」といったファンクチューンなども次々と届けていく。「プラスティック・ラブ」では来場者の期待を裏切らず、2番で山下のパートナーである竹内まりやが熱唱。竹内はそのままコーラス隊に加わり、名曲「RIDE ON TIME」でもコラボレーションを繰り広げた。そして山下は「また呼んでいただければやりたいと思います」と語り、最後に「さよなら夏の日」を来場者にプレゼント。一抹の寂しさを残し、称賛の拍手の中ステージを去った。
2日目のヘッドライナーはフジロック初出演にして初来日となったVulfpeck。2023年にギタリストのコリー・ウォンがソロで出演し、今回満を持してVulfpeckがヘッドライナーとしてGREEN STAGEに登場した。法被を着たジャック・ストラットンがクラップを促し、ハッピーなグルーヴの中でオープニングナンバー「Animal Spirits」の演奏が始まった。巧みな演奏で魅せるインストナンバーで高揚感を煽ったVulfpeckは、アントワウン・スタンリーをボーカルに据え「1612」を披露。続く「3 on E」では、サビで観客が盛大なシンガロングを送り、ピースフルなムードがGREEN STAGEを満たした。名バラード「Wait for the Moment」を響かせたあと、Vulfpeckはスペシャルゲストとして初日のFIELD OF HEAVENに出演したマヤ・デライラを迎え、「Tokyo Night」をパフォーマンス。その後もVulfpeckはファンの期待を裏切らないセットリストでライブを展開し、本編を終えた。しかしアンコールを求めて観客が「Dean Town」のリフのチャントを歌いだし、それに応えるようにVulfpeckが再登場。その「Dean Town」を披露してステージを締めくくった。
Vampire Weekend、RADWIMPS、羊文学ら出演した3日目
3日目のWHITE STAGEのトップバッターを務めたのはMONO NO AWARE。彼らは2016年にROOKIE A GO-GOに出演し、投票の結果、その翌年のメインステージ出演権を勝ち取った。軽快なカッティングと弾むビートが夏空に似合う「井戸育ち」や歌詞に盛り込まれた早口言葉がスリリングな人気曲「かむかもしかもにどもかも!」といったキャッチーなナンバーはもちろん、代表曲「風の向きが変わって」も披露され、灼熱のWHITE STAGEはさらなる盛り上がりを見せる。ラストの「水が湧いた」では、玉置周啓(Vo, G)と加藤成順(G)の故郷・八丈島の八丈太鼓の奏者がステージに登場。そして「町はお祭り状態! お祭り状態!」という歌詞の通り、八丈太鼓の音色が祭りらしいグルーヴを生み出していく。さらに加藤が高らかに鳴らすイントロから八丈島の祭りには欠かせない高速「マイム・マイム」になだれ込むというニクい演出でMONO NO AWAREのステージは幕引きとなった。
昼のGREEN STAGEを盛り上げたのがCreepy Nuts。フジロックに出演するのは、なんと11年ぶりで、2014年に出演していたのはROOKIE A GO-GOのステージだ。11年の間に日本の音楽シーンのトップに上り詰めた彼らは、声出しを煽りながら近年のヒット曲を連発し、そのラップ&DJスキルを誇示。「Bling-Bang-Bang-Born」が始まれば、子供たちも飛び跳ねて大盛り上がりだ。ROOKIE A GO-GOでも披露した「合法的なトビ方ノススメ」でライブを締めくくったR-指定は「11年前より確実にブチ上げたと思うわ」と満足げに笑みを浮かべた。
カネコアヤノ率いるバンド・kanekoayanoは、夕方のRED MARQUEEに登場。明らかに人気が会場のキャパシティを上回っており、入り切らなかった来場者がワラワラと外にあふれかえる。そんな中、カネコたちは会場に入れようが入れまいが関係ないほどの爆音を辺り一帯に轟かせる。「石と蝶」をはじめとするバンド名義で発表した新曲たちに加えて、「アーケード」などの過去曲も凶暴なバンドアレンジで披露され、どこまでも届きそうなほどに伸びやかで力強いカネコの歌声が観客を貫いた。
GREEN STAGEのトリ前を務めたのは今年メジャーデビュー20周年を迎えるRADWIMPS。フジロックに出演するのはコロナ禍により国内アーティストのみのラインナップとなった2021年以来であり、森瑞希(Dr)、エノマサフミ(Dr)に加えて白川詢(G)をサポートメンバーに迎えた新体制での初ライブとなった。黄昏時に現れた彼らは徐々に日が落ちていく中でファン歓喜の勢いあふれるナンバーを連投し、「セプテンバーさん」「三葉のテーマ」に続けて披露された「スパークル」では、観客のスマホのライトがすっかり暗くなった山中に満点の星空のような景色を作り出す。さらに「おしゃかしゃま」では各メンバーが衝動をぶつけ合うような激しいセッションを展開。爆発的な熱狂を生み出した彼らは、2021年のフジロックのために作ったという「SUMMER DAZE」でライブを締めくくり、深い余韻を残して去っていった。
MONO NO AWAREと同じく羊文学も2016年にROOKIE A GO-GOに出演し、2021年のRED MARQUEEを経て、今回WHITE STAGEにたどり着いた。今年4月にはアメリカツアーを成功させ、9月にはアジアツアー、10月にはヨーロッパツアーも控えるなど、今や海外でも人気の羊文学。彼女たちはサポートにユナ(ex. CHAI)を迎えてトリ前のWHITE STAGEで1時間の熱演を繰り広げた。1曲目は「Addiction」。真っ赤に染め上げられたビジョンを背に塩塚モエカ(Vo, G)は客席をまっすぐに見据え、パワフルな歌声を届ける。塩塚と河西ゆりか(B)が向き合って演奏し始まった「Burning」では、骨太なサウンドと2人の巧みなコーラスワークがWHITE STAGEいっぱいに響き渡る。夏の情景を描いた初期ナンバー「絵日記」の披露は、ファンにはうれしいサプライズに。代表曲「more than words」で勢い付いた羊文学は「GO!!!」で会場をさらなる熱狂に導き、ラストの「OOPARTS」まで駆け抜けた。
最終日のヘッドライナーを務めたのは、3年ぶりにGREEN STAGEに帰還したVampire Weekend。バンド名が記された黒幕の前に登場したエズラ・クーニグ(Vo, G)、クリス・バイオ(B)、クリス・トムソン(Dr)は「Mansard Roof」の軽快なサウンドでGREEN STAGEの観客をさっそく踊らせる。エズラが最新アルバム「Only God Was Above Us」より、「Ice Cream Piano」をワンコーラス歌い微笑むと、黒幕が振り落とされ、背後にスタンバイしていた大所帯のバンドが現れた。Vampire Weekendが用意してきたセットリストは「Only God Was Above Us」の楽曲が中心。最新のVampire Weekendを多彩なライブアレンジで見せながらも、後半では「A-Punk」や「Harmony Hall」といった人気曲ももちろん届け、最後は「Hope」をじっくりと演奏して締めくくった。
