小林武史と櫻井和寿による一般社団法人・ap bank主催の無観客オンラインライブ「ap bank fes '21 online in KURKKU FIELDS」の特別版が10月10日に配信された。
「ap bank fes」は環境問題や災害支援といったさまざまなテーマを掲げながら、2005年より開催されてきた野外音楽フェス。3年ぶりの開催となった今回はap bankのコンセプトソング「to U」の世界観とリンクする「自分以外の誰かのためを想って」というメッセージのもと、初となる無観客配信ライブとして行われた。今年のステージには小林武史(Key)、櫻井和寿(Vo, G)、小倉博和(G)、亀田誠治(B)、河村“カースケ”智康(Dr)、沖祥子(Violin)、小田原 ODY 友洋(Cho)、Kayo(Cho)からなるBank Bandが出演し、18年におよぶ活動の集大成として9月にリリースしたベストアルバム「沿志奏逢 4」の収録曲を多数披露。さらにap bankの活動趣旨に賛同するKAN、Salyu、MISIA、宮本浩次、milet、Mr.Childrenといったアーティストたちも駆け付け、パフォーマンスを届けた。
舞台となったのは、千葉県木更津市にある「農」「食」「自然」の循環を体験できるサステナブルファーム&パーク・KURKKU FIELDS。配信がスタートすると、約9万坪の自然豊かなKURKKU FIELDSの空撮映像や、「ap bank fes」の歴史を振り返るようにこれまでのイベントの様子が流れる。そして映像が切り替わると、抜けるような青空のもとにBank Bandの面々が。小田和正「緑の街」で視聴者を歓迎し、キリンジ「Drifter」、中島みゆき「糸」といったバラードソングをしっとりとカバーした。
ここからはゲストを迎え入れながらライブを展開していくBank Band。「彼女の才能を感じる中で、稀有な存在だと思いました」と小林に紹介された初出演のmiletは、眼前に広がる景色を全身で感じながら、「inside you」「Ordinary days」を歌う。一方、「ap bank fes」は皆勤賞というSalyuはスケール感のある「風に乗る船」、どんな状況下でも歌い続けていきたいという願いが込められた「THE RAIN」をエモーショナルに届けた。ひと際目を引くサンバの衣装で現れたのはKAN。“晴れわたる空に白い雲”という絶好のシチュエーションで「何の変哲もないLove Song」を披露し、サンバの羽飾りを背負った櫻井とともに「君のマスクをはずしたい」「弾かな語り」をデュエットした。
続いて登場したMr.Childrenは「ap bank fes」のステージに立つ喜びを噛み締めるように「彩り」をパフォーマンス。「I'll be」でアグレッシブなセッションを繰り広げたあと、温もりあふれる「口笛」で出番を終えた。日が傾き始めた頃、ステージに姿を現したのは宮本。久保田早紀「異邦人」を魂を解放するように歌った彼は、エレファントカシマシ「風に吹かれて」や自身のソロ曲「P.S. I love you」でソウルフルな歌声を放った。小林曰く「歌声を聴くと浮遊する感覚になる」という次なるアーティストはMISIA。2016年の「ap bank fes」初出演のエピソードを振り返り、「アイノカタチ」「歌を歌おう」を情感たっぷりに歌い上げた。
トップバッターとともにトリも務めるBank Bandのステージは、フジファブリック「若者のすべて」のカバーで始まった。祝祭感あふれる「奏逢 ~Bank Bandのテーマ~」のパフォーマンス後、ステージ上のメンバーはベストアルバム「沿志奏逢 4」に収録されている新曲「東京協奏曲」を披露。櫻井と宮本の豊かなハーモニーが重なり、日没後の空に溶けていった。Bank Band feat. MISIAで疾走感に満ちた「forgive」を熱演したあと、ライブはいよいよ最後の楽曲へ。Bank Band with Salyuはap bankの原点とも言える「to U」のメッセージを真摯に届け、およそ3時間のイベントをフィナーレに導いた。なおU-NEXTでは10月17日まで特別版のアーカイブ映像を公開中。