吉田山田が11月14日に東京・Billboard Live TOKYOにて東名阪ツアー「吉田山田とカルテット Tour2021」の最終公演を行った。
「吉田山田とカルテット」は管弦楽のカルテットとピアニストを加えた特別編成で行われるライブで、ツアー形式で行われたのは今回が初めて。各地で2公演ずつ行われ、本稿では最終日の2nd STAGEの模様をお届けする。
温かい拍手に迎えられて登場した吉田山田は、ピアニストの兼松衆とカルテットの面々と息を合わせてライブのオープニングソングを奏で始める。普段はボーカルに専念する山田義孝(Vo)もこのオープニングソングではトライアングルを演奏。時折トライアングルのビーターを指揮棒のように振ってカルテットの演奏を先導した。会場内の緊張がほぐれたところで1曲目「種」の演奏へ。「種」ではイントロの演奏をカルテットに委ねることで楽曲の導入を大きく変えるアレンジを披露。また「キミに会いたいな」ではカルテットが弦を指で弾くピチカート奏法で楽曲を優しく彩った。2曲披露したところで吉田結威(G, Vo)はグラスを手にし「今日、ここに元気にたどり着いてくれた皆さんに」と声をかけてファンと乾杯を交わす。山田は「吉田山田とカルテット」をツアー形式で行うのが夢だったと語り、「夢が叶った」とライブの開催を喜んだ。
普段のライブでは2人きりで披露されることの多い「日々」もこの日の公演ではピアノとカルテットを加えた編成でパフォーマンス。吉田と山田がアイコンタクトを取りながら息を合わせる一節では、兼松やカルテットのメンバーもそこに加わって視線を交わし、ツアーで育まれた一体感を感じさせる演奏でオーディエンスを魅了した。また12月1日に8thアルバム「愛された記憶」がリリースされることに触れた吉田山田は「最高傑作だと思ってお届けする」と、新作に自信がある様子を伺わせるを伺わせる。ツアーではアルバムに収録される新曲も披露されており、カルテットをステージから送り出して2人きりで披露した「愛された記憶」、山田が亡き父に思いを馳せて作ったという「おばけ」、作詞の作業をwacciの橋口洋平(Vo, G)と吉田山田の共同で行ったという「それでも」などが披露された。CDではwacciが演奏に参加したバンドアレンジに仕上がっている「それでも」を、この日はストリングスアレンジで届け、新作への期待感を高めた。
新曲の演奏がひと段落すると、ライブ終盤は「カシスオレンジ」「街」とアッパーな楽曲が立て続けに披露される。相方のギターにカルテットが加わる特別編成でのパフォーマンスに高揚しているからか、「街」の演奏では山田がいつにも増して力強い歌声を聞かせた。「新らしい世界へ」を歌いながら山田が大きく手を振れば客席のオーディエンスもそれに応えるように手を振り、会場内はピースフルな空気に包まれた。吉田は「本当は皆さんの声が聞きたい。マスクを外した顔が見たい」と、制限のあるライブ開催に歯がゆさを滲ませながらも「これからもいいライブをしていこう」と相方とファンに向けて声をかける。山田は「歌いながら、不思議とみんなの声が聞こえる瞬間がある」と話し、声を発していなくてもファンに支えられていることを伝えた。「ここが僕らの居場所でよかった」「いつも僕らの居場所を作ってくれてありがとう」と感謝の言葉を贈った2人は、兼松の力強いピアノの伴奏を合図に代表曲の1つ「魔法のような」を歌い始める。この曲では吉田山田の盟友とも言える兼松もコーラスで参加し、会場内には心地よい「ラララ」の歌声が響き渡った。会場内が高揚感に包まれる中ステージ後方の幕が上がると、窓の外には煌びやかな六本木の夜景が広がる。Billboard Live TOKYOならではの光景が広がる中、吉田山田は改めて集まったファンに感謝の気持ちを伝え、ステージをあとにした。
吉田山田「吉田山田とカルテット Tour2021」2021年11月14日 Billboard Live TOKYO 2nd STAGE セットリスト
01. 種
02. キミに会いたいな
03. 希望とキャンディ
04. 日々
05. 愛された記憶
06. おばけ
07. それでも
08. てと手
09. カシスオレンジ
10. 街
11. 新しい世界へ
12. 魔法のような