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田中雅功と高田彪我が歌と演技で紡いださくらしめじの“終わり”と“始まり”、2人で歌うことの意味

さくらしめじ(撮影:鈴木友莉)
3年以上前2022年04月10日 7:07

さくらしめじが4月2、3日に東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンライブ「春しめじのお花し 二冊目」を開催した。

「春しめじのお花し」は演劇と楽曲パフォーマンスを組み合わせたライブ。昨年4月に“一冊目”となる初回公演が行われ、季節が巡った今回のタイミングで“二冊目”が披露されることになった。演劇パートの脚本は、小説の執筆活動も行う田中雅功が担当。ファンタジックな世界観の中で展開した前回とは打って変わり、今回彼が描いたのはさくらしめじの2人のパラレルワールドとも取れるような、リアルな肌触りのあるストーリー。田中と高田彪我は、共同生活を送る“大学3年生の幼なじみ”の田中雅功と高田彪我を演じ、セリフや楽曲にたくさんのメッセージや思いを込めながら、会場を訪れたきのこりあん(さくらしめじファンの呼称)の心を揺さぶった。

「さくらしめじ ラストコンサート」と書かれた幕の前で2人が歌うのは、いつもさくらしめじのライブのラストに披露される「みちくさこうしんきょく」。弾き語りを終えた2人が「僕たちの音楽は、これで最後です」と終わりを告げる衝撃的なシーンで、二冊目の“お花し”は幕を開けた。

舞台上のセットは、大学3年生になった雅功と彪我が暮らす部屋のリビング。バンド活動をするために幼なじみ4人で始めたルームシェアだったが、ドラム担当もベース担当も夢をあきらめ出ていってしまった。そんな2人に続くように、彪我もさくらしめじから抜け、新しく部屋を借りて就職先を見つけることを心に決めている。

1人夢をあきらめられない雅功は、眠い目をこすりながら朝食を取る彪我に「1曲やろうよ」と迫った。彪我は乗り気になれないながらもこれに応じ、2人は彪我が大好きな卵かけご飯への愛を歌う「てぃーけーじー」をセッションする。質素な生活を送る劇中の2人の朝食はもっぱらロールパンということもあり、彪我が歌に込める卵かけご飯への情熱はひとしおだ。そんな様子を見た雅功は「もう1曲やろう、弾いて!」とけしかけ、彼らは「Iroto-Ridori」「たけのこミサイル」の2曲を続けた。

雅功の勢いに押されつつも、いざギターを抱えると雅功と息ぴったりのセッションを展開した彪我だが、彼は「“趣味でやる”音楽って最高だな」という言葉を残して外出してしまう。それでもなお彪我に音楽の道を選んでほしい雅功は、彪我の帰宅を待って彼をもう一度説得することに。

帰宅後の2人が顔を合わせた場面では、すれ違う2人が白熱のぶつかり合いを見せ、雅功と彪我の迫真の演技に、会場に緊張感が走った。「(解散の)話し合いに納得していない。俺は彪我と音楽がやりたいんだよ!」と言う雅功を、彪我は「迷惑なんだ。俺の気持ちを踏み荒らすな。俺はその道から下りたんだ」と突っぱねる。それでも引き下がらない雅功は、2人で音楽を続けたい理由を「彪我には才能があるから」と語った。「少なくとも、俺が持ってないものを持ってる。彪我とやるから意味がある」と、憧れにも似た“本心”を隠さない雅功の思いを聞いてもなお、「意味とかこだわりすぎてると、売れないと思うよ」と冷たい言葉を吐く彪我。この言葉を聞いた雅功は、「なら1人でやる。めちゃくちゃいい曲作って、全部に意味持たせてやるよ」と、1人ギターを抱える。

雅功1人の弾き語りで届けられたのは「朝が来る前に」。この公演で披露される楽曲はさくらしめじの既発曲だが、雅功が描いたストーリーや場面場面の情景によって、ファンがこれまでに抱いていた楽曲の印象とはまったく異なる表情をのぞかせていた。雅功が続けて「きみでした」を弾きだすと、部屋のセットから外れた場所に彪我が現れ、そっとギターの音と歌声を重ねる。続く「だるまさんがころんだ」は「あのころの ぼくら 誰にも負けない 無敵だなんて思っていたね」と、色褪せない2人の思い出を振り返る歌。雅功は2人の友情が変わらず続くことを願うように、1つひとつの言葉に思いを込めながら曲を歌い上げていた。

夜通し考えても曲を完成させられなかった雅功は、気分転換を兼ねて外出。一方の彪我は部屋で1人面接の練習を始めるが、集中力が続かずにギターを手に取った。流れのままに彼が歌いだしたのは「お返しの約束」。音楽活動、そして雅功との関係性への未練とも取れるような思いを“独白”する彼の演奏は熱を持って放たれたが、雅功がこれをドアの外で聴いていたことを知ると、彪我は「絶対音楽なんてやらないから」と、また心を閉ざしてしまう。そんな彪我の姿を見た雅功は「彪我が部屋を出ていくまでの1週間で、彪我が感動する“最高の曲”を作り上げると宣言。「彪我がその曲をいい曲だなと思えたらもう一度一緒にやろう」と、半ば強引に約束した。

物語のクライマックスとなる演技パートでは、日めくりカレンダーが表す時間の経過と共に、“最後の1週間”の雅功と彪我の様子が描かれた。思うように曲を完成させられない雅功と、彼の努力を横目で見ながらも知らないふりをする彪我。時が過ぎ約束の日を迎えると、彪我は楽曲を披露しようとする雅功に対して「聴かないよ。結論は出てるし、変わらないから」と伝えた。

最後まであきらめずに曲と向き合っていた雅功の演奏の音漏れを、毎日聴いていた彪我。雅功が「いいの、悪いの、どっち?」と尋ねると、彪我は「全然だめ。最高とは言えないわ。……約束の時間まで、あと数時間はあるよね?」と返した。「俺ならこうするなってところがいくつかあってさ。2人ならできるかもって。ギター持ちなよ。ああ、不動産屋さんに謝らなきゃな。説明会もキャンセルだ」。思わぬ言葉に喜ぶ雅功に対し、彪我は「ただし条件がある。これからは、何かをするときは2人でやる。曲作りも。じゃなきゃ、最高にいいものなんてできないから」と伝えた。

雅功と彪我が作り上げた楽曲は「辛夷のつぼみ」というタイトル。雅功の歌声に彪我の歌声が重なり、2人は笑顔を交わしながら楽しげに曲を歌い上げた。そして、場面は再スタートを切ったさくらしめじのライブシーンへ。ロゴが描かれたバックドロップから「ラストコンサート」の文字は外されている。淡い桜色でそろえた衣装に着替えてファンの前に立った2人は「みちくさこうしんきょく」を届け、“ラストコンサート”のときの重苦しい空気とは正反対の明るさとエネルギーを持って曲を歌い上げた。最後に彪我は「僕たちの音楽はここから始まります」と宣言し「いつか必ず春がやって来てきれいな花が咲く。そのときまで新しい一歩を踏み出し続けます」と約束。彪我に続いた雅功も「僕たち自身がきれいな花を咲かせます!」と、瞳を輝かせながらきのこりあんに伝える。既存の楽曲を再解釈しながら、2人でなければ描けないストーリーをファンの前で示した「春しめじのお花し 二冊目」は、希望にあふれたラストシーンで締めくくられた。

さくらしめじワンマンライブ「春しめじのお花し 二冊目」4月2、3日 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE セットリスト

00. みちくさこうしんきょく
01. てぃーけーじー
02. Iroto-Ridori
03. たけのこミサイル
04. 朝が来る前に
05. きみでした
06. だるまさんがころんだ
07. お返しの約束
08. 辛夷のつぼみ
09. みちくさこうしんきょく

※高田彪我の高は、はしごだかが正式表記。

※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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