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花譜が初の日本武道館公演で“バーチャルシンガーソングライター”に進化「この景色、一生忘れられません」

1年以上前2022年08月26日 15:05

花譜が8月24日に自身初となる東京・日本武道館での単独公演「不可解参(狂)」を開催。会場を埋め尽くす7000人の観測者(花譜ファンの呼称)の前で、3時間を超えるライブを繰り広げた。

本公演はステージが段状になっており、下段にギター、ベース、ストリングス、中段にドラムセットとDJブース、上段にシンセとピアノ、そして中央にバーチャルシンガーを映すモニターが設置されていた。ライブが始まり、モニターの中に花譜がゆっくりと姿を現すと、客席は一気に興奮状態に。1曲目「魔女」を歌いながら、花譜は「ついにこの日がやってきました!」と手を上げて喜びをあらわにした。

カンザキイオリのカバー「命に嫌われている」では、感情をほとばしらせて力を振り絞るように絶唱し観客を圧倒しつつも、間奏では手を振って跳ねながら「武道館!」と嬉しさをにじませて観測者に呼びかける花譜。両サイドのモニターにはxR技術により、実際にステージに立って歌っている彼女の姿や、満員のオーディエンスの前に立つ彼女の後ろ姿などがリアルタイムで映し出され、まるで花譜が本当にそこにいるかのように錯覚させる強い存在感を観る者に植え付けた。そんな仮想と現実の境界を曖昧にする演出でライブを進行させつつ、花譜自身も「日本武道館という大舞台に今立っていることが、まだ信じられないです。まだ夢の中にいるようですが、これは現実ですね……?」と、まだどこか現実感がない様子だ。

ライブ中盤は多数のゲストが次々にステージに登場し、記念すべき初の日本武道館公演に華を添えていく。最初に現れたのは、花譜自身の音楽的同位体である可不。2人は実在の女性ダンサー4人を従えて、sasakure.UKの「化孵化 feat.可不(KAFU)」、花譜×可不の「流線型メーデー」で美しいハーモニーを響かせた。その後“第三形態 燕(壊)”に衣装チェンジした花譜は、たなか(前職:ぼくのりりっくのぼうよみ、Dios)を迎えて「飛翔するmeme」を2人で歌唱。花譜とたなかがバーチャルとリアルの壁を乗り越えるように掛け合いを繰り広げた。

続いて「花譜ちゃん、2人でここで歌いたくて来ました」と挨拶しながら登場したのは、ピンクのドレスで着飾った大森靖子。2人は「イマジナリーフレンド」をともに歌い、大森は自らのエネルギーをすべて吐き出すように楽曲の世界観を全身で表現。さらに同曲のミュージックビデオに出演している後藤栞奈もダンサーとして参加し、力強く舞い踊った。曲の途中で大森は、かつて花譜がカバーした自身の曲「死神」のフレーズもマッシュアップ的に歌唱。3人それぞれの激情がぶつかり合うような圧倒的なパフォーマンスに観客は息を飲んだ。

DJ以外が全員退場してスタートした「KAF DISCOTHEQUE」というコーナーでは、ツミキ「フォニイ」、柊マグネタイト「マーシャル・マキシマイザー」、P丸様。「シル・ヴ・プレジデント」、花譜×長谷川白紙「蕾に雷」などの楽曲をDJが次々にショートミックス。アッパーなビートで会場を高揚感で満たしていく。さらにそこからノンストップで東京ゲゲゲイ「ダンスが僕の恋人」のカバーに突入。再びステージに現れた花譜の横で、黒い衣装を身にまとった東京ゲゲゲイのMIKEYも、キレのあるダンスをしながら雰囲気たっぷりに歌い上げた。続いてのゲストであるORESAMAは、この日のために用意したという花譜に提供した新曲「CAN-VERSE」を初披露。「神聖革命バーチャルリアリティー」ではバーチャルガールズグループ・VALISの6人が“オリジン”(アバターではない現実の姿)でステージに上がり、炎が吹き上がる中で一糸乱れぬパワフルなダンスと歌を披露した。

続々と繰り広げられる豪華ゲスト陣とのコラボの最後を飾ったのは、花譜とともにV.W.Pとして活動するバーチャルアーティストの面々。ステージ上部のモニターで「自動車で日本武道館に向かうも大幅に遅刻してしまった幸祜、春猿火、ヰ世界情緒の3人が、らぷらすに乗って空から会場に向かう」というアニメーションが上映されたのち、この3人がステージに到着した。さらにサプライズで、語学留学のため渡米した理芽も一時帰国してステージに合流。ひさびさにV.W.Pが勢ぞろいすると、5人はそれまでのライブとは雰囲気の違った、リラックスしたゆるいトークを楽しんだ。その後、花譜はヰ世界情緒と「深淵」、理芽と「魔的」、春猿火と「残火」、そして幸祜と新曲「歯車」と、メドレー的に1人ずつデュエットしていく。最後に5人全員で「共鳴」を歌うと、オーディエンスの興奮はピークに達していた。

再び1人になった花譜が、新衣装「特殊歌唱用形態『軍鶏』」にチェンジし、ライブはいよいよラストパートに突入。「過去を喰らう」「海に化ける」を歌ったのに続けて、これら2曲に続く3部作最後の曲「人を気取る」を初披露した。3曲を歌い終えた彼女は「18歳になって『過去を喰らう』を初めて歌った頃から、少し大人になりました。いまだに大人になるということを理解してないけど、私なりに、私がなりたい大人になっていけたらなと思います」と挨拶。そして今回のライブ「不可解参(狂)」について「花譜の活動は大変な世の中の動きとともにありました。長いコロナとの戦いが大変で、その大変な日々に慣れてきたと思ったら戦争が始まって。『不可解』で表現してきたことって、当初よりも世の中のムードと連動していて、祈りみたいなものが徐々に重要になってきていると感じています。そうして世の中が大変になっていく中で、プロデューサーさんと今回のライブについて話し合って、とにかく元気になれる楽しいお祭にしようという話になりました」とコンセプトを説明した。ここから彼女は「不可解」「未観測」を続けて歌い、これら2曲に連なるシリーズ完結編となる新曲「狂感覚」を初披露。観測者たちの背中を押すように「悲しみがなんだってんだ 苦しみがなんだってんだ 僕らの時代じゃ誰もが鬼のいぬ間に笑ってるよ」と真っ直ぐな声で歌い上げた。

その後、モニターに映った「VIRTUAL SINGER KAF」という文字が、2つの単語が加わって「VIRTUAL SINGER SONG WRITER KAF」へと変化。花譜は今から、自分が花譜になってからこれまで観測者たちと過ごしてきた日々を思い浮かべながら作ったという、初めて自ら作詞作曲した「マイディア」を歌うことを告げた。会場がオレンジ色に色付く中、「自分の言葉で歌うのは少し不安だけど、今日やっとみんなに聴いてもらえることがすごくうれしいです」と言って彼女は、ほかの花譜の歌詞には見られないほどストレートな言葉で感謝の気持ちを歌い上げた。曲が終わると花譜は「お察しかと思いますが、マイディアとは今歌を聴いてくれているあなたのことです。私の親愛なる人は、いつだって歌を聴いてくれるあなたでした」と涙声で話し、「目まぐるしく状況が変わる中、ずっと変わらずにいられたのは歌が楽しいからで、その歌を誰かが聴いてくれる、好きでいてくれることが、いつだって自分の支えです。あなたが観測してくれるから、私は私でいることができています」と、観客1人ひとりに語りかけるように感謝。そして最後に「私に居場所を作ってくれてありがとう。武道館に私を連れてきてくれてありがとう。この景色、私は一生忘れられません」と告げ、花譜はモニターから姿を消した。

終演後、会場内のモニターでは「花譜10大プロジェクト」のこれまで明かされていなかった5つが告知された。告知の内容は以下の通り。

  • 第六弾:花譜展3「この時間は言葉にしなくていいの。」開催決定
  • 第七弾:「過去を喰らう」小説化決定
  • 第八弾:「バーチャルシンガー花譜の廻れ!MAD TV」が10月よりTOKYO MXにて放送決定
  • 第九弾:花譜ライブシリーズ「不可解」完結編「不可解参(想)」開催決定
  • 第十弾:3rdアルバム「狂想」発売決定

なお8月27日には、本公演の生配信時の映像に4曲を追加した「『不可解参(狂)』特別再放送」が配信される。アーカイブの配信期間は10月2日まで。

花譜「不可解参(狂)」2022年8月24日 日本武道館 セットリスト

01. 魔女
02. 畢生よ
03. 夜が降り止む前に
04. ニヒル
05. アンサー
06. 命に嫌われている
07. 私論理
08. 戸惑いテレパシー
09. 糸
10. 化孵化 with 可不
11. 流線形メーデー with 可不
12. 飛翔するmeme with たなか
13. イマジナリーフレンド with 大森靖子
14. 裏表ガール
15. ダンスが僕の恋人 with MIKEY from 東京ゲゲゲイ
16. CAN-VERSE with ORESAMA
17. 神聖革命バーチャルリアリティー with VALIS
18. 深淵 with ヰ世界情緒
19. 魔的 with 理芽
20. 残火 with 春猿火
21. 歯車 with 幸祜
22. 共鳴(V.W.P)
23. 過去を喰らう
24. 海に化ける
25. 人を気取る
26. 不可解
27. 未観測
28. 狂感覚
29. マイディア

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