すとぷりの全国ドームツアー「すとろべりーめもりー Vol.Next!!!!」のファイナル公演が、8月27日と28日に埼玉・ベルーナドームにて開催された。
今年1月にスタートしたこのツアーはすとぷり初のドームツアー。全国5会場8公演で合計32万人を動員した。新型コロナウイルス感染拡大による度重なるライブ延期を経てメンバーの念願を叶えるツアーではあったが、すとぷりにとっては大きな節目のツアーともなった。この記事では28日公演の模様をレポートする。
ライブの始まりを告げるカウントダウンに続き、ステージに姿を現した5人が最初に披露したのは「Strawberry Kiss」。客席全体に手を振りリスナーとの再会を喜ぶ彼らに、オーディエンスもペンライトを振り返す。そんな光景を見渡したジェルは「みんなこんにちは! すごい景色だね」と挨拶し、笑顔を浮かべていた。ほかのメンバーたちもそれぞれ「初めて来てくれた人?」など、リスナーに呼びかけてペンライトでのリアクションを求める。さとみは開演前にメンバーやバンドメンバーと円陣を組んだ際、ステージに上がる前にも関わらず泣きかけたという裏話を告白し「それぐらいこの公演に対しての思いが強くて、待ち遠しい気持ちを持っていました。最高の思い出にしたいよね」と思いを語った。
続く「ギンギラ銀河」「スキスキ星人」といった楽曲ではメンバーが二手に分かれてフロートに乗り込み、アリーナを移動。「ストロベリー☆プラネット!」の曲中に会場後方のサブステージに到着した5人は、「高くない!?」と上昇したステージの高さに怯えつつも自由なトークを繰り広げた。「Strawberry Smile Magic」を可愛らしく歌い踊ったあとは「はりーはりーらぶっ」「アモーレ・ミオ」で会場を再び盛り上げながらメインステージへと戻った。
5人は場内を移動しているときのリスナーたちのリアクション、それぞれが求められたファンサービスについて楽しげに語る。ジェルが「今日はなんでもやるよ!」と勢いづくと、ころんからかつて配信で披露した即興曲「どすこい苺おじさん」を歌ってほしいというリクエストが。曲を覚えていないというジェルだったが、バンドメンバーの演奏に乗せてこの日限りの歌詞を即興で熱唱し、リスナーの大きな拍手を浴びた。その後はそれぞれの思いを「シルベボシ」のメロディに乗せて届け、「33414」のエモーショナルなサウンドでオーディエンスを魅了した。
バックダンサーによるパフォーマンスを経て、黒い衣装に着替えたメンバー5人が披露したのは「Ride on Time」。クールな表情でそれぞれが魅せるダンスパフォーマンスにリスナーたちは釘付けになる。さらにステージ前方に多数の火柱が吹き上がる中で「僕らだけのシャングリラ」、オリエンタルな世界観を提示する「星の如く」を披露。前半でのキラキラとした雰囲気から一転し、すとぷりのダークな面を押し出したステージで観客を魅了した。
「シンドロームラブ」「Very」「GO GO CRAZY」でトロッコに乗り込んでファンサービスを繰り広げた5人は一度ステージを去る。バンドメンバーのセッションに続いて流れたピアノイントロで始まったのは「プロポーズ」。純白にメンバーカラーをあしらった王子様風の衣装に身を包んだ5人は、タイトル通りリスナーへプロポーズを捧げるかのように華麗なパフォーマンスを展開した。
客席をバックにした記念撮影が終わると、ライブはいよいよ終盤へ。陽が傾き始め、徐々に暗くなったドーム内にペンライトの光が鮮やかに輝く中、5人はトロッコから「パレードはここさ」「大好きになればいいんじゃない?」をパフォーマンス。何度も「ありがとう!」とリスナーに向けて叫び、感謝の思いを伝えていた。本編ラストナンバーは「青春チョコレート」。軽やかなアンサンブルと、5人の「大好き!」という叫びが最後を彩った。
アンコールを求める大きな手拍子に応えて再びステージへ戻ってきた5人は、ドームツアーを終える心境を語り合った。るぅとが「夏の準備がんばろうね、って言ってたのにもう……ね」と水を向けると、莉犬も「でもいい夏だったよね」と応えながら、早くも涙声になる。そして5人はそれぞれマイクを握り、ツアーファイナルを迎えた気持ち、このライブをもって活動休止に入るジェルへの思いを打ち明けた。
最初に話し始めたさとみは「一番はキツいなあ……」とプレッシャーをにじませつつ、この日会場に足を運んだリスナーたちに感謝を述べる。すとぷりは2019年に今回と同じベルーナドーム(当時の名称はメットライフドーム)で初のドームライブを行ったが、そのときの観客動員は芳しいものではなかった。さとみは当時の悔しい思いを振り返り「3年前に泣いてしまったんだけど、今日はあのときとは違った気持ちでここに立てています」と充実した表情を見せた。そして活動休止に入るジェルに対し「すごく寂しいです。だって結成してからずっと一緒だったじゃん」と赤裸々な思いを告白しながらも、「休むと決断することもつらかったと思います。ジェルの帰る場所をいつまでも守り続けたいです」と彼の心を思いやる。そしてジェルに歩み寄ったさとみは、熱い抱擁を交わしながら「今までありがとう。ゆっくり休んで」と伝えた。
るぅとは音楽やライブに対する自身の強い思いを語り「君の“好き”と僕の“好き”を届け合って確かめられるライブが大好きです。この夏の最高の思い出になりました」と話す。そしてジェルに向けて「悲しいけど大切な仲間で友達だから、ゆっくり休んでほしい」とメッセージを送った。そんなるぅとは4人体制になることについて、リスナーに「すとぷりにとってすごく大きなターニングポイントだと思います。君の周りの人たちから『すとぷり大丈夫なの?』と心配されるかもしれない」と冷静に語りかけるが、「僕はどんなことがあっても、すとぷりを止めません。いろいろな思いのすべてが僕にとって大切な思い出で、どんな映画や本よりも素敵な物語です。こんな素敵な物語を終わらせられない」と決意を表明。そして「この先もどんなことがあるかわからないけど、僕たちと一緒に物語を作ってほしい」と熱弁した。
莉犬はこの日を迎えた心境を「やっとリベンジできたベルーナドーム、早くこの日が来てほしい気持ちと、ジェルくんが休止してしまうからもう少しだけ一緒にいたい気持ちでいっぱいいっぱいでした」と話す。そして活動を離脱するジェルの心の内を「『俺なんかと走ってくれてありがとう』『迷惑かけてごめん』って言ってたけど、仲間なんだから迷惑かけていいんだよ、ジェルくん!」と涙声で思いやる。「何年後だってみんなの居場所でいられるようなすとぷりでいたい。休止しても俺たちは仲間なので、いっぱい楽しい時間を過ごしていきたいと思います」とジェルとの固い絆をアピールした莉犬は、「君の帰る場所を守っていきます。すとぷりはまだまだ終わりません」と力強い言葉でMCを締めくくった。
ころんは隣に立ち、早くも号泣しているジェルの背中に手を当て「ジェルくん、ありがとう」と優しく語りかける。「人一倍みんなを笑わせたいという最強のエンタテイナーであるジェルくんが勇気を振り絞って決断してくれた気持ちは、僕たちも受け止めないといけません。ここで後ろを向くとジェルくんに申し訳ない」とさらなる前進を誓ったころんは「ジェルくんは僕たちにとって大切な家族です。何かあったら、しょうもないLINEでもいいから送ってきてくれ」と笑顔でジェルに呼びかけた。そしてリスナーに向け「ジェルくんがお休みしている間は、僕たちが最強エンタテイナーとしてみんなを楽しませます」と、ジェルの分まで盛り上げることを約束した。
4人の温かい言葉に涙が止まらないジェルはマイクを握ってもしばらく声を発せず、リスナーは固唾を呑んで彼を見守る。ようやく声を振り絞ったジェルは、自身の活動休止の理由がメンタル面の不調であることについて「こんな俺を見て『今までのすとぷりでの思い出も全部つらかったんだな』と心配してる子もいるかもしれないけど、全然違って。無理してでも、みんなの笑顔に応えたかったんです」とリスナーへの思いを告白した。加入当時からの心境の変化、これまでの活動を振り返ったジェルは、過去の心の傷を抱えながらの活動であったことを伝えると「俺の決断をわかってくれて、自分の幸せを思ってくれるメンバーで本当によかったと思います」と述べ、活動休止を発表した際にリスナーから寄せられた温かいメッセージにも感謝の思いを語った。そして「正直に言うと、休んで症状が絶対に治るという確証はありません。でもみんなと作ってきた思い出やたくさんの宝物は絶対に忘れることはありません」と前を向き、ななもり。に対しても「なーくん、俺をすとぷりにしてくれてありがとう」と思いを明かした。最後にジェルは「自分に自信がなかった、なんの価値もないと思っていた俺に一番欲しかった言葉、大好きだよ、面白いよ、ジェルくんはすごいよ、って言ってくれて、本当にありがとう」とリスナーに呼びかけ、深々と頭を下げた。
ジェルのMCが終わると、5人は最後のひとときを惜しむように肩を組み合う。ころんの「まだ僕らは明るい未来に進んで行きます。前に進んじゃっていいですか?」、莉犬の「みんなを必ず笑顔にするお知らせです」という言葉に続き、4thアルバムの制作や全国アリーナツアーの開催、初の地上波冠番組といったビッグニュースが次々と発表された。リスナーたちからは押さえきれないどよめきと大きな拍手が沸き起こる。ジェルは新たな一歩を踏み出すメンバーに「応援しすぎて休めないかもしれない(笑)。心の底から応援してます。がんばって!」とエールを送り「テレビ録画するから!」と笑顔を見せるが、4人から「そこは生で観てよ!」とツッコまれていた。
「4人の背中を押して、最高のライブで終わりたいと思います」というジェルの言葉から始まったアンコールでは「パレードはここから」「おかえりらぶっ!」を披露。5人は1台のフロートに乗り、リスナーとの最後の思い出を作るべく全力で手を振り続けた。ドームツアーのオーラスを飾ったナンバーは「StrawberryPrinceForever」。大サビではメンバーカラーのテープが宙を舞い、すとぷりの新たな門出を彩った。
すとぷり「すとろべりーめもりー Vol.Next!!!!」2022年8月28日 ベルーナドーム セットリスト
01. Strawberry Kiss
02. パレードへおかえり
03. ギンギラ銀河
04. スキスキ星人
05. ストロベリー☆プラネット!
06. Strawberry Smile Magic
07. はりーはりーらぶっ
08. アモーレ・ミオ
09. シルベボシ
10. 33414
11. Ride on Time
12. 僕らだけのシャングリラ
13. 星の如く
14. シンドロームラブ
15. Very
16. GO GO CRAZY
17. プロポーズ
18. Prince
19. パレードはここさ
20. 大好きになればいいんじゃない?
21. 青春チョコレート
<アンコール>
22. パレードはここから
23. おかえりらぶっ!
24. StrawberryPrinceForever
撮影:東美樹 / 原田圭介 / 小瀬広明