植松伸夫が昨日11月9日に東京・タワーレコード新宿店にて、最新アルバム「Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album」の発売記念イベントを開催した。
拍手で迎えられた植松は「皆さんこんばんは」と笑顔で挨拶。「これまでCDはさんざん出してきたけど、レコードを出したのは初めて」と興奮気味の植松は、かたわらに置かれたノートパソコンを操作し「ファイナルファンタジー III」のフィールド曲である「悠久の風」を流し始める。この日リリースされた「Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album」は、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの音楽を植松自身が再構築したリアレンジアルバムであり、植松は新たに制作したトラックに合わせて懐かいメロディをシンセサイザーで奏でた。
アナログレコードならではの大きなジャケットに描かれているのはメキシコ・パレンケ遺跡にある石棺をモチーフとしており、オカルト好きとしても知られる植松は「古代マヤ人がアナログシンセサイザーをいじっていたら面白い」とジャケットイラストへの愛着を語り始める。また「FF」シリーズの音楽を作っていた時期を回想し、「当時は流行を追いかけるのが苦手だった」と語る彼は、今だからこそ当時流行っていた四つ打ちのビートを取り入れられたという「メインテーマ~マトーヤの洞窟」を演奏。自らが制作したビートに合わせて体を揺らしながら、ファンにはお馴染みの「メインテーマ」を高らかに鳴らした。
イベントの進行役にアナログレコードならではの魅力を問われた植松は「レコードの音がいいというのは、正直僕はよくわからない」と笑い、「僕がいまだにレコードを買い続ける、持ち続けている理由はやっぱりジャケット。飾っておきたいアートっぽいものも多いじゃない。それと針を落としたら簡単に曲を変えられないのもいいよね。ジャケットを見ながら片面約20分をじっくりと聴くことになる。僕はその時間が好き」と、植松なりの音楽の楽しみ方を明かした。さらに彼は「FF8」でのお気に入り曲として「Blue Fields」をプレイ。原曲通りの音、原曲にはない音、原曲をもとに作られた新たな音が入り乱れる中、植松はループするメロディを自らの手で弾いて最新版の「Blue Fields」を奏でる。その姿は過去の自分とのコラボレーションを楽しんでいるようにも見えた。
最後の曲として「ビッグブリッヂの死闘」を弾こうとすると、突如スクエアエニックスのスタッフがステージに乱入。スタッフは2023年2月に発売予定の新作ゲームソフト「シアトリズム ファイナルバーライン」に、「Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album」より「戦闘シーン2」「ビッグブリッヂの死闘」の2曲が収録されることが決定したことをオーディエンスと植松に伝える。会場内が祝福ムードに包まれる中、植松は最後に「ビッグブリッヂの死闘」をプレイ。植松はグリッサンドを多用したアグレッシブな演奏でオーディエンスを大いに沸かせ、自身のライブを締めくくった。
ライブ終了後、植松は特典会にも参加し、来場者1人ひとりとコミュニケーションを取りながらサイン入りの特典を手渡した。
植松伸夫「Modulation - FINAL FANTASY Arrangement Album」発売記念イベント 2022年11月9日 タワーレコード新宿店 セットリスト
01. 悠久の風
02. メインテーマ~マトーヤの洞窟
03. Blue Fields
04. ビッグブリッヂの死闘
※記事初出時、見出しに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。