11月25日に東京・渋谷シネクイントにてBialystocksの甫木元空(Vo)が監督を務めた映画「はだかのゆめ」の初日舞台挨拶が行われた。
「はだかのゆめ」は高知・四万十川のほとりに暮らす人々の生活を描いた映画作品。主演を青木柚が務め、唯野未歩子、前野健太、甫木元の祖父である甫木元尊英らがキャストに名を連ねている。
映画上映後、監督の甫木元はBialystocksの相方である菊池剛(Key)とともに登壇。甫木元が「今日は初日ということで、トークというよりもライブを」と促すと、菊池は静かに「ごはん」のイントロを弾き始める。「ごはん」は映画のロケ地である高知の風景を見ながら甫木元が作った楽曲であり、劇中ではストリングスアレンジを施した同曲が使用されている。
1曲披露し終えると、甫木元は映画制作に至った経緯を話し始める。映画の脚本を書き始めたのは5年前。きっかけは彼が高知に移住したことだった。甫木元は毎日17時に晩酌をする祖父が語る家族の話や、地域に暮らす住民の話を書き留めながら映画の脚本を作り始めた。そうした暮らしをする中で甫木元の母親が病気のため余命宣告を受けてしまう。“終わり”が見えても日々を淡々とこなす母の姿を見て、甫木元は「自分とは流れている時間が違うのかもしれない。見ているものの解像度も違うかもしれない」と感じ始め、祖父や母の生き方を見ながら「同じ場所にいながらも違う時間を生きている人たちを映画なら表現できるのではないか」と考え、映画「はだかのゆめ」の着想を得たことが明かされた。
トークがひと段落すると、菊池の軽快なピアノのイントロから始まる「Over Now」の演奏がスタート。甫木元が優しく囁くようなボーカルでじっくり聴かせたかと思えば、菊池が力強いピアノを響かせ、映画の余韻に浸るオーディエンスの感情を揺さぶっていく。さらに彼らは「Over Now」に続いて「光のあと」を披露。立て続けに楽曲を披露した甫木元は満足気な表情を浮かべながら「丁寧に音楽と一緒にこの映画が広がってほしい」と語った。
「物語を伝える映画ではないので、じわじわと伝わって いってほしい」と映画の今後の展望を語った甫木元は、最後の曲として「フーテン」を歌唱。映画で使用された楽曲を生演奏で聴くという贅沢な体験をしたオーディエンスから大きな拍手が贈られる中、甫木元と菊池はステージをあとにした。
映画「はだかのゆめ」は、渋谷シネクイントにて公開中。また11月30日には映画の主題歌「はだかのゆめ」を収録したBialystocksのメジャー1stアルバム「Quicksand」がリリースされる。