EGO-WRAPPIN'が主催する年末恒例のライブシリーズ「Midnight Dejavu」が12月17、18、20日に東京・東京キネマ倶楽部にて、24、25日に大阪・ユニバースにて行われた。この記事では20日に行われた東京公演の模様をレポートする。
オープニングDJのs-kenがフロアを温めたのち、森雅樹(G)とサポートメンバーの伊藤大地(Dr / グッドラックヘイワ)、真船勝博(B)、TUCKER(Key)、icchie(Tp)、武嶋聡(T.Sax, S.Sax, Flute)、後関好宏(A.Sax, B.Sax)、滝本尚史(Tb)がそれぞれ楽器を手にして現れる。2020年以来2年ぶりに「Midnight Dejavu」を行うことについて「やっと開催できることになりました。たっぷりやらせていただきます」と話す森に、客席から大きな拍手が送られた。バンドはインストナンバー「The Chiller」で演奏をスタートさせ、場内を怪しげな空気で満たす。真船が4ビートを刻み始めると、ステージ袖から満を持して中納良恵(Vo)が登場。ホーンセクションのゴージャスなサウンドに包まれながら「EGO-WRAPPIN'!」と名乗りを上げた。「Nervous Breakdown」「カサヴェテス」が華々しく演奏され、フロアはバンドが生み出すグルーヴの渦にどんどん巻き込まれていく。中納が2階席まで人がびっしりと詰まっている様を見て「ありがとうございます。やっぱりこれですね」と口にすると、涙を流す観客の姿も見られた。
「Neon Sign Stomp」では滝本が割れんばかりの音色で激しいソロを繰り出し、オルガン、フルート、トランペットがジャジーな色気たっぷりに響き合う「Room #1102」を経て、バラードナンバー「老いぼれ犬のセレナーデ」へ。伊藤のブラシとマレットによるドラミングが静謐な空気を生み出し、曲の終盤では犬の遠吠えを思わせる中納の寂しげな裏声が響いた。
中納がステージ袖に姿を消し、ライブは毎回恒例のスカゾーンに突入。The Skatalites「Trotting In」のカバーが披露されたのち、再びバンドに合流した中納は「My Favorite Things」「I Say a Little Prayer」をシームレスに歌いつなぐ。ピンスポットがTUCKERを照らすとそれまでの賑やかな空気は一変。ハモンドオルガンの甘く切ない音色がフロア中に響き渡り「a love song」がしっとりと歌われた。
場内が暗闇に包まれると、マイクスタンドに提げられた赤い提灯だけが妖艶に輝いた。中納はアカペラで「色彩のブルース」を歌い始め、そこにギター、ベース、オルガン、テナーサックスが順に加わっていく。サウンドは徐々に厚みを増し、哀愁漂う楽曲の世界が表出した。続いてTUCKERのブギウギピアノがけたたましく鳴りスタートしたのは「サイコアナルシス」。突き抜けるようなホーンセクションが響き、場内が狂騒的なムードで満たされる。中納はステージから客席へ手を伸ばして、最前列でもみくちゃになっているファンとボディタッチ。間髪をいれずバンドは「CAPTURE」「くちばしにチェリー」を畳みかけ、裏打ちのビートに触発された観客はタガが外れたように踊り騒いだ。
アンコールの拍手に迎えられて中納、森、伊藤、icchieがバルコニーに登場。4人でジャズスタンダード「I’ll see you in my dreams」を披露した。森のギターが刻む素朴なビートに乗せて、中納のボーカル、icchieのトランペット、伊藤の口笛が響き渡る。「サニーサイドメロディー」を挟み、最後にはバンドメンバー全員で「A Little Dance SKA」を演奏。場内には雪のような泡がフワフワと降り、冬の気配と晴れやかなスカのリズムに包まれながら、ライブはフィナーレを迎えた。
「Midnight Dejavu」2022年12月20日 東京キネマ倶楽部 セットリスト
01. The Chiller
02. Nervous Breakdown
03. Mr. Richman
04. カサヴェテス
05. Neon Sign Stomp
06. Room #1102
07. 老いぼれ犬のセレナーデ
08. かつて..。
09. Trotting In
10. My Favorite Things
11. I Say a Little Prayer
12. The Hunter
13. a love song
14. 色彩のブルース
15. サイコアナルシス
16. CAPTURE
17. くちばしにチェリー
18. 雨のdubism
<アンコール>
19. I’ll see you in my dreams
20. サニーサイドメロディー
21. A Little Dance SKA