北村匠海(DISH//)が、本日1月19日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われた映画「スクロール」の完成披露舞台挨拶に登壇した。
2月3日に全国公開される「スクロール」は、橋爪駿輝による同名小説を北村と中川大志のダブル主演で実写化した作品。厳しい人間社会の中でSNSに思いを吐露したり刹那的に生きていたりする4人の若者たちが、友人の自殺をきっかけに自身を見つめ直していくさまが描かれる。舞台挨拶には北村と中川のほか、共演の松岡茉優、古川琴音と清水康彦監督が参加した。
北村は、自身が演じた「僕」という役柄について「『僕』という役を演じるのは3回目くらいなんですけど……」と切り出しつつ「そのたびに、俯瞰的な感覚を持っていないといけないなと思うんです。今作では『僕』と『私』の世界は抽象的でグロテスクで、いろんな要素の詰まったふわふわとした世界なんですけど、その中でどうやって皆さんに寄り添えるかを考えながら。また、この役は僕であり監督自身でもあるんだろうなと思ったので、監督と話をしながら作っていきました」と説明した。一方、ユウスケという青年を演じた中川は「匠海ともしゃべっていたんですけど、僕とユウスケは内側で抱えているものにつながるところがあって、同じ人物を2つに分けたようなキャラクターなのかなと思っています」と考えを明かしていた。
司会者から作品の見どころについて質問が飛んだ際、清水監督が「1カット目です」と発言すると、北村は即座に「大志とも話していたんですけど、1カット目は相当……映画史に残るくらいの……」と、その衝撃度を伝える。詳細を伏せつつも、その“すごさ”を伝えようとする中川は「撮影も大変でしたよね。夕方から準備が始まって、カメラを回し始めたのが3時くらい。終わったのは朝でした」と解説。ハードな撮影環境だったことが明かされたが、北村は「不思議だったのが、全然苦じゃなかったんです」と、充実感を口にして観客の期待感を高めていた。
トークの最後には、映画のタイトルに絡めて「“スクロール”して見返したくなるような写真はある?」という問いかけが。北村は「写真を携帯で撮るっていう感覚がなくて、フォルダに200枚から300枚くらいしかなくて……」と困り顔を浮かべつつ「こっ恥ずかしすぎてスクロールしちゃうのはメモ帳。内容は絶対に言えないんですけど、いつも何か書いています。車での移動中とかにふと思ったことを書くんですけど、自分で書くわりに二度と見たくないような恥ずかしい言葉が並んでる(笑)」と照れ混じりに明かした。すると、北村とは逆に約3万枚の写真をストックしているという松岡が「北村の中学1年生のときの写真もあります」と、2人が最初に共演した当時の思い出を振り返りながら告白。「前髪がこんなに短くて、かわいくて。ホントにお見せしたいんですけどね。昔の北村はよくスクロールしちゃいますね」と客席に語りかけると、北村は「マジでやめてくれ……!(笑)」とタジタジになっていた。
舞台挨拶の最中、何度もお互いを「匠海」「大志」と呼び合い、隅々に仲のよさを滲ませていた北村と中川。最後の挨拶で中川は「匠海とは出会ったのが小4のとき。同じ事務所で演技レッスンして、帰りはファミレスに行って……10代の頃は同じオーディションで役を奪い合うのを繰り返してきた仲。ずっと意識する存在でした」と語り「そんな匠海とこうしてダブル主演を務められたのがすごく感慨深く、思い出深い作品になりました」と思いを伝えた。そして北村は「大志とこの作品でダブル主演ができたのは、たぶん、“僕”とユウスケが表裏一体で1つだからなのかなって。こういう形で共演するのが宿命だったんだと思いますし、この作品でよかったと思います」とコメント。「人は誰しも多面的で、僕はこの作品で、1人の人間のいろんな角度を見ているような気持ちになりました。これは皆さんの物語であり、どこかの誰かの物語である。そんな視点で観てもらえたらと思います」と観客に語りかけて挨拶を結んだ。