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「シン・仮面ライダー」劇中曲収めたCD発売、庵野秀明と岩崎琢の1年半に及ぶトライアル&エラー

「シン・仮面ライダー音楽集」ジャケット(c)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会
約1年前2023年04月12日 9:03

映画「シン・仮面ライダー」の劇中使用楽曲を集めたCD「シン・仮面ライダー音楽集」が本日4月12日に発売された。

「シン・仮面ライダー」は、1971年から1973年にかけて放送された特撮ドラマ「仮面ライダー」をベースに、庵野秀明が脚本と監督を担当して新たなオリジナル作品として制作された映画。劇中音楽は岩崎琢が担当した。

「シン・仮面ライダー音楽集」は、全44曲が収められた2枚組CD。岩崎が手がけた楽曲のほか、菊池俊輔が作曲した「仮面ライダー」の劇中曲も収録される。岩崎は1年半に及んだ楽曲制作を回顧し「自分が感じた音楽を付ける、ではなく、監督の頭の中で鳴っている音楽を具現化する作業に徹することにした」とコメントしている。

なお各サブスクリプションサービスでは、映画序盤で使用された楽曲「M5」「M6」「M7」を聴くことができる。

岩崎琢 コメント

監督とのトライアル&エラー

庵野監督は僕が作曲した「ヨルムンガンド」(2012年)の音楽を気に入ってくださって、仮映像はその既存曲を入れた状態になっており、随時そのラッシュ(映像)が進捗するのを確認しながら作曲を進めました。僕が目指している映画音楽は映像をサポートし、相乗効果で観客の琴線に触れるような音楽です。そのためには監督が求めているものを的確に把握し、それに自分らしさといいますか、その時代の自分の音楽を作り上げていく、そういう作業をずっと行ってきました。今回はそのセオリーがまったく通じませんでした。今だから答えられるのですが、普通、いわゆる「監督」からは自分の求めている音楽を具体的に指示される場合が多いのですが、今回は、仮映像に自分が作曲した過去曲が当てはめてあるのは、庵野監督がこの通りに作曲してほしいというサンプルではなく、あくまで指針であって、そこからどういったものが考えられるか何パターンも曲として描き出して、それを取捨選択する目的だったのです。ここから1年半にも及ぶ庵野監督とのトライアル&エラーがはじまりました。

監督の頭で鳴っている音楽

映画音楽を作る作業はクライアントの意向や様々な都合を考慮し、その上で他者とは違う音楽を提示する。それが自分の役割で、だから都合に合わせるということに於いて仕事として対価が発生する。僕は、映画音楽は作曲ができるという理由のみで対価を得ているわけではないと思っています。指示ではなく指針の提示によるやりとりはとても刺激的でした。何度もトライアルを繰り返しているときに、監督はピアノとギターが好きな傾向にあると聞いて、子供の頃にヒーローに触れてこなかった、これまでのヒーロー像を学習してこなかった僕が、ある意味初めて触れるヒーロー映画の映像に自分が感じた音楽を付ける、ではなく、監督が子供の頃に好きだった、監督の頭の中で鳴っている音楽を具現化する作業に徹することにしたのも、もしかしたら監督の意図だったのかもしれません。

監督に翻弄されること

シーンによって様々な提案もしました。これまでの劇伴制作だと、テーマ、悪の音楽、平和、悲しみ、などのモチーフを作り、そのバリエーションで組み立てていくことも多いのですが、今回は結果的に細かくシーンに合わせたため、ほぼ全曲異なるようなイメージで、ただし最後の最後になってバリエーション的なもののオーダーが来たりしました。こういったことをすると、もう生活のほとんどが「シン・仮面ライダー」作曲に充てることになって、もともとインドア派ですが、近所に出かけるようなこともせず、ずっと作曲作業を続けている状態でした。それに庵野監督の仕事への姿勢には共感する部分が多々ありました。僕も割とそうなので自分で自分を追い込んだのもいけないのですが、僕の仕事はとことん庵野さんに翻弄されることだと認識しました(笑)。いや自分で好き好んで追い込んだのですけどね。

他の案件との違い

これまでの劇伴音楽制作とは大きく違った作業でした。度重なるリクエストに対応し、当初とは異なるシーンへ使われることになった音楽もありました。さらにそれを映像に合わせるため調整を重ねるなど、映像が進捗するたびに、より細かいセッションのようなやりとりが発生しました。これまでの仕事のやり方とは大きく違い、思いもしなかった作業状況になったシーンもあります。振り返ると、自分自身も、“仮面ライダー”という存在と“シンクロ”し、もしかして“変身”したところがあったのかもしれません。狙いすぎですかね? 一度言ってみたかったのです。僕の頭の中になかった言葉なので。庵野監督と出会って、僕にはなかった様々なものがインプットされて、僕が作る音楽も大きく変わったような気がしています。だからこそ今回の総括として今まで言わなかった言葉を発してみたかったのです。それほど庵野秀明という人間は周りに影響する存在なのだと思います。僕の中の感情の変化が、今までになかった他の案件との大きな違いです。

※岩崎琢の「琢」は旧字体が正式表記。

「シン・仮面ライダー音楽集」収録曲

DISC 1

01. 3A-DB
02. AUG I
03. N.U.T. I
04. KUA-01
05. metamorfose
06. レッツゴー!!ライダーキック desperate ver.
07. Pain of happiness
08. Safe house
09. I.J.K.
10. AUG II
11. KOA-01
12. Bat Kick
13. レッツゴー!!ライダーキック 50th
14. At the rail yard
15. THE VEXY WOMAN
16. Cup&cooker
17. AUG III
18. Falling velocity
19. HAA-01
20. kill the bee
21. Hand on hand
22. Oedipus' hole
23. BAA-02
24. metamorfose II
25. Khaan
26. N.U.T.II
27. Blow it
28. Red scarf

DISC 2

01. Bajra
02. レッツゴー!!ライダーキックDouble Kick ver.
03. nong-ak
04. Oedipus CHA-01
05. ENERGY
06. perdao
07. sucessao
08. Where you go ver.J
09. Where you go ver.K
10. Where you go End Roll ver.
11. 頻発する怪事件 シン・仮面ライダー Movie size(M-23A)
12. 孤高の魂 シン・仮面ライダー Movie size(M-25)
13. 前哨戦 シン・仮面ライダー Movie size(M-17)
14. レッツゴー!!ライダーキック
15. ロンリー仮面ライダー
16. かえってくるライダー

※「perdao」「sucessao」の「a」はチルダ付きが正式表記。

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