戦慄かなの(femme fatale)とかてぃ(Haze)の2人組ユニット・悪魔のキッスによるライブイベント「悪魔night~RE:birth~」が、5月1日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)で行われた。
2022年4月1日、期間限定ユニットとして突如誕生した悪魔のキッス。当初はエイプリルフールの企画だと思われたが、彼女たちは翌日にオリジナル曲「悪魔のキッス」を発表し、同月末には自主企画イベント「悪魔night」を開催して双方のファンを歓喜させた。結果、悪魔のキッスとしての活動はその1カ月限りとなっていたが、1年後の今年4月1日、悪魔のキッスは無期限ユニットとして復活することを宣言。エイプリルフールの発表ながらこれは冗談ではなく、サウンドプロデュースにサクライケンタ(ekoms)を迎え、正式なユニットとして活動していくという。悪魔のキッス本格始動の第一歩として行われた「悪魔night~RE:birth~」には、昨年の「悪魔night」にも出演したKATY(かてぃ)のバンド・Hazeも参加。Haze、戦慄ソロ、悪魔のキッスの3組によるライブが繰り広げられた。
トップバッターを務めたのはHaze。KATY(Vo, G)、HANA(B)、SUZUKA(Key)、JURI(Dr)の4人は優雅なワルツに乗せて登場したかと思うと、一転、KATYが鳴らす強烈なフィードバック音から「引きこもりロック」でライブをスタートさせる。重厚な8ビートに合わせて体を揺らす観客に向かって、KATYが「あれだ、もうちょっと騒いでいいんじゃねえの? 最高の夜にしようぜ!」と煽ると、昨年と違って発声OKとなった会場には大きな歓声が鳴り響いた。Hazeはそのまま「ゲロ」「挽肉」とMCを挟まず淡々と演奏し、場内のボルテージをじわじわと高めていく。4人全員がボーカルをとるサイケなダンスロック「ギャルガル」ではコール&レスポンスが発生しステージとフロアが一体に。キレのある「シュシュタイト」の演奏にメンバーの名を叫ぶ声が上がると、KATYは「そういうのもっとちょうだい」とニヤリと笑う。最後に「死んだふりBABY」を叩きつけるように演奏した4人は、ステージ中央に集まり手をつないで挨拶した。
続いて登場した戦慄はバックダンサー・戦慄ビッチーズを引き連れ、まずは「distance」をパフォーマンス。シンメトリーなフォーメーションによる妖艶なダンスに客席では悲鳴に近い歓声が上がる。1曲目を終え、声援に笑顔で応えた戦慄は「今日は『悪魔night』なので、逆張りで戦慄ソロは天使みたいな格好にしてみました」と白い衣装をアピール。悪魔のキッス本格始動の発表から1カ月、ほぼ休みなく食事を摂る暇もないほどこの日のライブに向けての準備を重ねてきたため体重が37kgまで落ちてしまったことを明かしつつ、心配そうな目で見つめるファンに「こんなガリヒョロでも力強く踊るので楽しんでくださいね!」と笑顔を向ける。戦慄はその宣言通り「drop」「baby UFO」「unstable」でパワフルなダンスを披露した。さらに最後は、6月28日に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)で行うソロワンマンライブに向けて準備中だという「wake me up」を初披露。繊細かつトリッキーなフューチャーベースと特有の甘い歌声で、初めて耳にする観客をしっかりと魅了した。
そしてこの日の主役、悪魔のキッスの登場前には、本格始動に向けて準備を進める戦慄とかてぃの姿を追ったドキュメンタリー映像が上映された。写真撮影の様子や極寒の中で行われたミュージックビデオ撮影の舞台裏など、2人がユニット活動のため奮闘する姿が映され、要所要所で見られる2人の仲睦まじい様子に、女性ファン率の高い場内にはたびたび黄色い歓声が上がった。そしていよいよ2人が登場すると、歓声はさらに大きくなる。そろいの黒い衣装でステージに上がった戦慄とかてぃはさっそく新曲「imp devils」を披露。戦慄のロリータボイスとかてぃのハスキーボイス、正反対とも言える2人の声が絶妙に溶け合う悪魔のキッスならではの魅力を存分にアピールした。続いて歌われたのはオリジナル曲ではなく、元モーニング娘。の加護亜依と辻希美による伝説のユニット・W(ダブルユー)のテクノポップ「ロボキッス」。2人のドタバタ、イチャイチャとしたパフォーマンスに観客は大興奮で声援を送った。
改めてユニット本格始動の意を伝えた2人は、この日のために用意した未発表の新曲を2曲続けて披露する。戦慄が作詞した「カスタムラブドール」はスラップスティックな雰囲気のポップソング。間奏のセリフパートでは客席から思わず「かわいいー!」という声が漏れた。続く「unhappy birthday」は悪魔のキッス流のバースデーソング。2人はマイクスタンドを前に、しっかりと歌声を届け、間髪をいれずに2日前にリリースしたばかりの新曲「方舟」を披露した。「方舟」は小南泰葉が作詞作曲したエモーショナルなピアノロックで、2人のこれまでの道のりを感じる演劇的な振付も相まって場内は感動的なムードに包まれた。
バリエーション豊かな楽曲でユニットとしてのオリジナリティを見せた2人。戦慄は「かこちゃん(かてぃ)と一緒にやりたいことがたくさんあるので、これからも引き続きよろしくお願いします」と挨拶し、登場前のドキュメンタリー映像の編集や衣装デザインなどクリエイティブ面の才能も発揮しているかてぃは、過酷な1カ月の準備期間を乗り越えて迎えたステージに充実した表情を浮かべた。2人は最後に始まりの曲「悪魔のキッス」を歌い、ライブは終了。「ありがとう!」と抱き合った2人の目には涙が浮かんでいた。
悪魔のキッスがステージを去ると、ステージ背面のスクリーンには悪魔のキッス初のライブツアー「お前にシリコン入れてやろうか(仮)」開催決定の特報が。ツアーは7月25日の大阪・Zepp Namba(OSAKA)を皮切りに、愛知・Zepp Nagoya、福岡・Zepp Fukuoka、北海道・札幌PENNY LANE24の4会場で行われる。
悪魔のキッスpresents「悪魔night~RE:birth~」2023年5月1日 Zepp Haneda(TOKYO)セットリスト
Haze
01. 引きこもりロック
02. ゲロ
03. 挽肉
04. ギャルガル
05. シュシュタイト
06. 死んだふりBABY
戦慄かなの
01. distance
02. drop
03. baby UFO
04. unstable
05. wake me up
悪魔のキッス
01. imp devils
02. ロボキッス(オリジナル:W)
03. カスタムラブドール
04. unhappy birthday
05. 方舟
06. 悪魔のキッス