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ももクロが“原点”代々木の地で結成15周年ライブ、会場に響いたモノノフのコールと「ありがとう」

「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」の様子。
11か月前2023年05月18日 4:04

ももいろクローバーZが昨日5月17日に結成15周年を迎えた。これを記念し、5月16、17日に東京・国立代々木競技場第一体育館で「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」と題した単独ライブが開催された。この記事では昨日17日公演の模様をレポートする。

ちょうど15年前の2008年5月17日に、ももいろクローバーとしてお披露目されたももクロ。独自の道を切り開き続け、今は女性アイドルグループとして唯一無二のキャリアと地位を築いている彼女たちだが、結成間もない頃は今回の会場から歩いてすぐの代々木公園のけやき通りで路上ライブを行っていた。そんなグループの“原点”と“現在”が重なった15周年ライブではコロナ禍以降、ももクロの単独公演として初めて観客の声援、声出しが解禁に。会場には2日間合計で2万1532人のモノノフ(ももクロファンの呼称)が集まり、ももクロの結成15周年を盛大に祝った。

4人がそれぞれ加入当初のことを振り返る場内アナウンスを経て、ライブは開演時刻ぴったりにスタート。場内が暗転すると、カラフルなグッズに身を包んだモノノフのペンライトが客席を色鮮やかに染め上げる。スクリーンには、まるで試合に臨むボクサーのように凛々しい表情を浮かべたももクロが控室からステージ裏へ向かい、「出欠とりまーす! Are you ready? ばんごう!」という掛け声で気合いを入れる姿が映し出された。会場の緊張感が高まっていく中、客席のモノノフはその映像に静かに見入っていたが、おなじみのSE「overture~ももいろクローバーZ参上!!~」が響き渡ると、「うりゃおい!」と声をそろえ、場内を早くも熱気でいっぱいに。そしてアリーナ中央のセンターステージに大量のスモークが吹き上がり、その煙の中にスパンコールの衣装を身にまとったメンバーが姿を現した。

しかし、「overture」が鳴り終わってもパフォーマンスは始まらず、彼女たちはじっと佇んだまま。それからしばしの間、客席で揺れるペンライトの光とともに、メンバーの名前を呼ぶ歓声だけがこだまするという特殊な状況が続いた。モノノフの思いを全身に染み渡らせるように、1歩も動かずに客席からの声を浴び続ける4人。数分近くが経過したあと、メインステージでスタンバイしていたダウンタウンももクロバンド、通称DMBの演奏とともに、彼女たちはついに1曲目を披露し始める。その曲は、これまで数え切れないほどライブを盛り上げてきた「行くぜっ!怪盗少女 」の“ZZ ver.”。力強く歌い踊るメンバーに向けてモノノフの息の合ったコールが送られ、百田夏菜子のエビ反りジャンプのタイミングではこのメモリアルな日を祝福するように色とりどりの紙吹雪が舞った。

続いて4人はゴンドラに乗り込み、GARLICBOYSの楽曲をももクロバージョンにリメイクしたパンキッシュな自己紹介ソング「ダンシングタンク♡」を歌いながらメインステージへ。「ピンキージョーンズ -ZZ ver.-」「サラバ、愛しき悲しみたちよ」「Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~」といった代表曲を惜しみなく畳みかけ、力いっぱいコールを叫ぶモノノフとともに国立代々木競技場第一体育館をさらなる興奮で包み込んだ。最初のMCでは「週末ヒロイン、ももいろクローバーZ!」というおなじみの挨拶をモノノフと一緒に決めたのち、高城れにが「『ovetrure』、感動したねー」と声を弾ませる。百田は「皆さんのおかげで、本日私たち、結成15周年を迎えることができました」という報告とともに感謝の思いを口に。1人ひとりの自己紹介では、初日公演でモノノフの「高城れにー!」という声を聞いて思わず涙を流した高城も、笑顔で観客とのコール&レスポンスを楽しんだ。

次のブロックではステージ後方から、ローマ数字で「15」を表す巨大な“XV”の文字が前へとせり出してくる。ライブの鉄板曲の1つ「労働讃歌」や、竹上良成(Sax)のアーバンなサックスソロで始まった「Z女戦争 -ZZ ver.-」を経て、ももクロは一旦ステージから退場。過去のライブのオープニングVTRや、4人が15年間を振り返るインタビューが流れたあと、ライブは怒涛の後半戦へと突入していく。「Z伝説」の戦隊風コスチュームを想起させる新衣装に着替えたメンバーは、初期からの人気曲であるアッパーチューン「CONTRADICTION」を投下。「ゴリラパンチ」の曲中に再びゴンドラに乗り、客席に手を振りながら再びセンターステージへと移動した。ここまで初期の楽曲が多く披露されたが、高城が「15年でここまで曲がパワーアップするんだね!」と感嘆の声を上げた通り、現在のももクロだからこそ表現できる円熟味が加えられているのが発表当時と異なる点。しかしその一方で、客席に「アリーナ!」と呼びかける権利を賭けてステージ上でじゃんけんを始めるなど、15年経っても変わらない天真爛漫な姿も見られ、会場のモノノフはそのギャップに思う存分酔いしれた。

その後もももクロは昨年5月17日にリリースした最新アルバム「祝典」のリード曲「MYSTERION」をクールにパフォーマンスしたかと思えば、初期から歌い続けている「BIONIC CHERRY」「コノウタ」を立て続けに披露するという、新旧織り交ぜたセットリストでライブを展開。「BIONIC CHERRY」ではシンガロングが巻き起こり、「コノウタ」では佐々木のコール&レスポンスをきっかけに曲が始まるなど、声出しありのライブならではの一体感が会場全体に生まれた。

続くMCで、4人はももクロとコラボする企業、団体、店舗などを募集するプロジェクト「NO RULE PARTNERSHIP」を始動させること、「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」のライブアルバムが今夏配信リリースされ、Blu-ray / DVDが10月4日に発売されることを告知。さらに、全国の自治体からオファーを募集し、地方都市とタッグを組む形で毎年開催しているライブイベント「ももクロ春の一大事」を2024年4月13、14日に開催することも発表し、16年目も歩みを緩めることなく前進していくことを明示した彼女たちは、いよいよライブのラストスパートを開始する。「ツヨクツヨク -ZZ ver.-」でモノノフと一緒になってタオルを振り回したあと、ももクロは2018年に結成10周年記念ソングとして発表した「クローバーとダイヤモンド」を柔らかな声で披露。間奏では4人がセンターステージの前後左右4方向に向かって深々とおじぎをし、それに続いてモノノフによる愛のこもった「ありがとう!」という声が響き渡る感動的な光景が広がった。

会場が心地よい幸福感で満たされる中、ももクロは「スターダストセレナーデ」でもシンガロングを繰り広げる。そしてDMBのメンバー紹介を挟み、ももクロのライブに欠かすことのできない1曲「走れ! -ZZ ver.-」を歌唱。終盤のサビでは、場内が暗転し、モノノフが持つペンライトの光だけで場内が照らされるという、初期から続いている演出でライブが華やかに彩られた。

モノノフの熱い声に応えて始まったアンコールでは、メンバー4人がタイトルを考案し、作詞も手がけた結成15周年記念ソング「ヒカリミチ」が最初に届けられる。この曲はももクロの過去、現在、未来を描いたバラードナンバー。4人はそれぞれ自分が作詞したパートを、モノノフへの感謝の思いを丁寧に込めて歌い上げた。なお、「ヒカリミチ」は本日5月18日に配信リリースされた。

モノノフの温かい拍手を浴びたももクロは、「ヒカリミチ」に先駆けて4月に配信リリースした結成15周年記念ソングの第1弾「いちごいちえ」も伸びやかに歌唱。今回のアンコール衣装である淡い色合いのドレスは、この曲のミュージックビデオで着ていたものだ。人生におけるかけがえのない出会いや、応援してくれる人への感謝をテーマにした「いちごいちえ」を歌っている最中、高城は感極まって涙で頬を濡らす。そしてこのライブを締めくくるラストナンバーとして披露されたのは、メンバーが作詞に参加し、15年前の5月17日に初披露されたももクロ最初のオリジナル曲「あの空へ向かって」。笑顔で歌声を響かせるももクロ、ステージに向かって「世界のももクロナンバーワン!」と精一杯のエールを送るモノノフ、アリーナに降り注ぐ紙吹雪が新たな思い出となってグループの歴史に刻まれた。

最後の挨拶では、まず高城が涙を流しながら言葉を紡いでいく。昨年11月に北海道日本ハムファイターズの宇佐見真吾選手との結婚を発表するなど、プライベートにおいて大きな変化を経験した彼女は「たくさんの人と出会う中で15年間続けてこれたんだなって、改めてすっごい幸せだなと思いました」と湧き上がる感情を噛みしめるようにして話し、「モノノフさんの存在って本当に宝物で、本当に唯一無二の存在で。いなきゃだめなので、だからこそこれからも一緒にいたいなと思います。メンバーと出会って、支えてくれる人たちと出会って、モノノフさんと出会って、本当にももクロは奇跡っていう言葉がよく似合うなと我ながら思います。私たちにとってかけがえのない、宝物みたいな、青春みたいな、家族みたいな、言葉では言い表せない15年間でした」「変わっていく環境の中で15年間変わらないものって、私たちももクロとモノノフさんの絆なのかなって。モノノフさんを大好きなことだけはぶれずに変わらない、そんな宝物がどんどん増えていく15年だったと思います」とこれまでの日々を振り返りつつ、自身の思いをあふれさせた。

佐々木彩夏も声を震わせて涙を見せ、「アイドル楽しいなって思う瞬間っていっぱいあるんですけど、一番はライブで。これはアイドルの特権なんじゃないかなってすごく思います。これからのももクロをもっと見ていたいと思ってもらえる、みんなと一緒に走っていける、そんなアイドルでいたいと思います」「今伝えたい気持ちはありがとうしかないです。本当に感謝の気持ちしかないです」とモノノフへの思いを改めて口に。玉井詩織は「15年前の今日、『あの空へ向かって』を歌ったときは、その日が自分の人生を大きく変える大事な日になるとは思っていませんでした」「こんな人生があるなんて、本当に想像もしていませんでした」としみじみと語り、「ももクロのことを好きになってくれて、ライブに足を運んでくれてっていう、そんな奇跡のような出来事の積み重ねでこうやってライブ会場にたくさんのモノノフさんが集まってくれているんだと思うと、これ以上ない幸せです」「自信を持って言います。本当にももクロでよかったなって。ライブ会場でこの景色を見るたびに感じています」と晴れやかな表情を見せた。

百田は涙で目を潤ませながら「『いつまでアイドルをやるんですか?』と質問いただくこともあるんですけど、アイドルっていろんな形があると思っていて。見ていると笑顔になったり、がんばろうと思えたり、心が動いたり。そういう人でいたいなって、アイドルって私の人生の目標だなって思います。これからもみんなのアイドルでいたいです」と言葉を重ね、「こうやって15年ステージに立ち続けてこれたのは、みんなが……本当にみんながたくさん応援してくれて。ライブをやるって言ったらこうやって集まってくれて。隣を見たらメンバーがいて、前を向いたらモノノフさんがいて、こんなにたくさんの人と一緒の時間をこうして過ごせているのが本当に幸せです」と胸の内を伝えた。

ラスト、4人そろって締めの言葉を述べようとすると、客席からは再び「世界のももクロナンバーワン!」コールが。ももクロとモノノフがお互いの絆を確かめ合い、それをさらに強固なものへと変えた「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」。4人はお決まりのZポーズでこのライブを締めくくり、会場に大きな余韻を残してステージをあとにした。

なお2日目公演の模様を生配信したRakuten TVでは、明日5月19日20:00よりリピート配信を実施。その後、20日23:59まで見逃し配信が行われる。

ももいろクローバーZ「代々木無限大記念日 ももいろクローバーZ 15th Anniversary」国立代々木競技場第一体育館 セットリスト

2023年5月16日

SE. overture~ももいろクローバーZ参上!!~
01. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
02. ダンシングタンク♡
03. ピンキージョーンズ -ZZ ver.-
04. サラバ、愛しき悲しみたちよ
05. Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~
06. 吼えろ
07. stay gold
08. 労働讃歌
09. Z女戦争 -ZZ ver.-
10. 笑一笑 ~シャオイーシャオ!~
11. Nightmare Before Catharsis
12. CONTRADICTION
13. ワニとシャンプー
14. MYSTERION
15. キミとセカイ
16. コノウタ
17. ツヨクツヨク -ZZ ver.-
18. クローバーとダイヤモンド
19. スターダストセレナーデ
20. 走れ! -ZZ ver.-
<アンコール>
21. ヒカリミチ
22. いちごいちえ
23. あの空へ向かって

2023年5月17日

SE. overture~ももいろクローバーZ参上!!~
01. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
02. ダンシングタンク♡
03. ピンキージョーンズ -ZZ ver.-
04. サラバ、愛しき悲しみたちよ
05. Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~
06. 吼えろ
07. stay gold
08. 労働讃歌
09. Z女戦争 -ZZ ver.-
10. 笑一笑 ~シャオイーシャオ!~
11. Nightmare Before Catharsis
12. CONTRADICTION
13. ゴリラパンチ
14. MYSTERION
15. BIONIC CHERRY
16. コノウタ
17. ツヨクツヨク -ZZ ver.-
18. クローバーとダイヤモンド
19. スターダストセレナーデ
20. 走れ! -ZZ ver.-
<アンコール>
21. ヒカリミチ
22. いちごいちえ
23. あの空へ向かって

撮影:上飯坂一、増田慶、小境勝巳

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