楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第7回は、Ovallのドラマーであり、プロデューサー、ビートメーカー、シンガーとしてマルチに活躍するmabanuaさんに、オススメの楽曲を挙げてもらいました。
構成 / 丸澤嘉明
ドラムフレーズが好きな曲とその理由
The RH Factor「Kwah / Home」1:05~
ハイハットがなく、キックとスネアのみでグルーヴしているのでこれが最高にカッコいい!
キックとスネアの“間”だけでノリを作っているので僕の原点、すべての指標になるドラムです。演奏はジーン・レイクです。
細かいテクニックよりこういうことができるドラマーに自分は憧れることが多いですね。
The Philadelphia Experiment「Grover」0:00~
2拍目と4拍目のスネアはもちろん大事ですが、その前後にくっついている装飾音(ゴーストノート)が素晴らしい。
文字で言うと「ッタ」「タッ」の「ッ」の部分ですね。ここのキレが半端ない。通常装飾音は譜面上には書かれないので、そこをどうするかによって奏者のオリジナル性、グルーヴの粘りが出ます。演奏はクエストラブです。
Ryu Matsuyama「blue blur feat. mabanua」0:00~
自分がRyuくんたちと一緒に作った楽曲です。ど頭のフィルを頭拍がどこがわかりにくくすることで曲が始まったときの瞬発力や意外性を持たせることができます。
ドラムはバンドのJacksonくんですが、彼が完璧にそれを再現してくれました。その後はシンプルな70年代風のストイックなグルーヴが続くので、あえてそういったフィルインで色を付けるといったイメージです。
Mr.Children「Everything(it's you)」4:03~
歌物において鈴木英哉さんのドラムは僕の1つの指標になっています。
メロディアスな長めのフィルインはもちろん、この少し跳ねた、3連符のフィルインは楽曲のエンディングに相応しく華やかで、聴く人の気持ちをグッと惹きつける重要なパートになっていると思います。
曲中のレイドバックしたグルーヴも最高です。
自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること
楽曲とマッチしつつも自分だとはっきりわかってもらえるようなフレーズや音色、グルーヴを意識しています。
特に、音量の小さい、あまり聴く人が気に留めないような部分の演奏を大事にすることで全体に深みが増すと思うのでそこを気を付けています。
最近言っているのですが“裏地”にこだわるというイメージです。
自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマーや最近気になるドラマー
<影響受けた>
クエストラブ
スティーヴ・ジョーダン
ジーン・レイク
リヴォン・ヘルム
リンゴ・スター
<最近気になる>
ユセフ・デイズ Yesterday Princess (Stanley Clarke X Curren$y)
桑畑怜吾 Shuffle Blues Recording 4K
mabanua
バンドOvallのドラマーであり、プロデューサー、ビートメーカー、シンガーとしても活躍するマルチアーティスト。Ovallの活動と並行して2008年にソロ活動をスタートし、11月に初のソロアルバム「done already」をリリース。また星野源、椎名林檎、Official髭男dism、Chara、Gotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、矢野顕子、米津玄師、imase、VaVaなどのプロデュース、アレンジ、ドラマー、リミキサーを担うほか、CM楽曲や映画、ドラマ、アニメの劇伴も多数担当している。 最新シングル「So Real feat. Nicholas Ryan Gant & Suede Jury」が配信中。
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