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Mrs. GREEN APPLEが航海へ!荒波を越えてたどり着いた、虹のかかる晴天の海

左から藤澤涼架(Key)、大森元貴(Vo, G)、若井滉斗(G)。(撮影:田中聖太郎写真事務所)
11か月前2023年08月05日 3:06

Mrs. GREEN APPLEのアリーナツアー「Mrs. GREEN APPLE ARENA TOUR 2023 "NOAH no HAKOBUNE"」が昨日8月4日に愛知・Aichi Sky Expoで終幕した。この記事ではメジャーデビュー記念日の7月8日に行われた埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演の模様をレポートする。

今年結成10周年を迎えたミセスは「Mrs. GREEN APPLE 10th Anniversary Celebration」と称してさまざまな活動を行っている。7月5日には5thアルバム「ANTENNA」をリリース。7月8日から8月4日にかけてアリーナツアーを開催し、その後8月12、13日に埼玉・ベルーナドームで初のドーム公演「Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”」を実施する。「NOAH no HAKOBUNE」と冠されたアリーナツアーの舞台となったのは一隻の“船”。2019年12月から行われたアリーナツアー「Mrs. GREEN APPLE ARENA TOUR / エデンの園」ともどこかリンクするような世界観の中でライブが行われた。

小鳥のさえずりや船乗り場を彷彿とさせるカンカンという音を聞きながら、2万人のオーディエンスはいよいよ訪れる出航の時を待っていた。会場が暗転し、スクリーンに映し出されたのは吹き荒れる嵐の映像。激しい雷鳴が轟く中、船は荒れ狂う海を進んでいく。船の甲板を模したステージには多数の“船員”が登場するも、激しい嵐を前に立っていられず倒れ込んだ。ミュージカルのような演出に引き込まれていると、会場の中央に設置されたセンターステージに大森元貴(Vo, G)、若井滉斗(G)、藤澤涼架(Key)が登場。3人は360°を囲む観客に手を振って挨拶をしてから、花道を歩いて甲板のほうへと進んだ。「NOAH no HAKOBUNE」と題されたツアーのオープニングを飾ったのは、カリブ海を思い起こさせるナンバー「Viking」。荘厳な空気をまとったイントロの鍵盤をバックに、大森が「いけるか、方舟!」と出航を告げた。大森がバッと両手を広げると、船員たちは操られたかのように雷鳴の中で一斉に踊り乱れる。舞台では炎が吹き上がり、迫力のあるパフォーマンスと重厚なアンサンブルに観客はあっという間に呑まれていった。さらに激しい雨に打たれながら、メンバーは「アウフヘーベン」を続ける。疾走感のある鍵盤の音色とリンクするように船員たちは激しく船を駆け回り、カオティックな光景が観る者の目を奪った。

やがて嵐は止み、船の前に広がったのは凪いだ海。雲の切れ間から光が差して青空が広がっていく。舞台のミラーボールが眩い輝きを放ち、スタートしたのは「CHEERS」。観客の腕に付けられたライトバンドの光が色を変えながらキラキラと揺れ、カラフルな世界が瞬く間に会場に広がった。「『NOAH no HAKOBUNE』へようこそ! 元気にしてますか?」と大森が挨拶し、快晴の下で映画「ONE PIECE FILM RED」への提供曲「私は最強」を歌い始めると会場がさらに沸き立つ。海原が広がる景色の中、メンバーは晴々とこの曲をプレイし、すさまじいエネルギーで場内を満たした。「もっといけるんじゃない?」と大森が煽ると「VIP」の演奏に突入。躍動感のあるリズムに乗ってオーディエンスは一斉にジャンプし、煽られるがままに全力でコールを飛ばした。近未来的な空間へとステージが切り変わり、流れるような大森の歌声でスタートしたのは新曲「Blizzard」。大森は傾斜になった舞台に腰掛け、幻想的な空気が漂うサウンドをバックに美しいファルセットで歌を紡いだ。

甲板の前に広がったのは、星空が見える夜の海。飾り気のないシンプルなバンドアンサンブルに乗せて、大森は優しく語りかけるように「Hug」を歌い上げた。そして夜空に月が浮かび上がると、藤澤が繊細なタッチで鍵盤を奏で、「私」をドラマチックに演奏し始める。月の光に照らされながら、大森は1つの物語を紡ぐように切ない歌声を響かせた。やがて訪れた晴々とした空の下、大森は「『EDEN no SONO』から約3年が経って、またこうして2023年夏に『NOAH no HAKOBUNE』を開催できて幸せでございます!」と改めて挨拶。「今日はみんなで荒波を乗り越えようということですけども、準備はいいですか?」と告げ、「StaRt」「ニュー・マイ・ノーマル」を続けてプレイして会場を盛り上げた。

会場の照明が暗くなり、シリアスな空気の中でスタートしたのは最新アルバムの中でもっともエッジの効いた「Loneliness」。サイケデリックなグラフィックをバックに、大森は花道に進み出て、ドープな雰囲気が漂うこの曲をゆらゆらと体を揺らしながら感情的に歌った。その後、若井がステージ横から光を浴びながら、ブルージーなギターソロを披露。エモーショナルに速弾きを繰り広げ、会場を大きく沸かせて「インフェルノ」へとつなげた。炎が吹き上がるステージで「インフェルノ」を力強く演奏したあと、エレガントな装いのダンサーを交えて彼らが届けたのは「Love me, Love you」。メンバーはショーホールのような空間で華やかに演奏し、舞踏会のような光景を生み出した。

メンバーが一度ステージを去ったあと、会場には再び嵐が訪れた。雷鳴を経て、場内に流れる神秘的なサウンドにファンがざわめく。誰もいない舞台の上段に降臨したのは、正体不明のシンガーソングライターSiipの姿だった。驚きの声が上がる会場に、2021年10月にリリースされたSiipの楽曲「scenario」がそっと流れる。繊細な歌声で紡がれる言葉をバックに、Siipはおぼつかない足取りでゆっくりと花道を進み、オーディエンスの前から姿を消した。

衝撃的なシーンを経て、まだ余韻の残るステージにミセスが登場し、「HeLLo」で演奏を再開した。「みんなで一緒にジャンプしましょう!」という藤澤の掛け声を合図にオーディエンスは笑顔で一斉に飛び跳ねる。「ダンスホール」ではダンサーたちとともに大森がダンスを繰り広げ、最後に銀テープが鮮やかに宙を舞った。

「Folktale」ではマジックアワーの美しい空が映し出される。幻想的な景色の中、船が海を進んでいくと、光り輝く大樹へとたどり着いた。1本の樹が育っていく様子が描かれた「EDEN no SONO」における同曲の演出ともリンクする映像を経て、場面は暖炉のある部屋に転換。温かみを感じさせるオレンジ色のライトに照らされた部屋で、大森はアコースティックギターを手に、全編スウェーデン語のケルト調の楽曲「norn」を優しく歌い上げた。そして「鯨の唄」で舞台は鯨がゆったりと泳ぐ海の中へ。スクリーンに映し出された鯨が海面へ上がると、そこには美しいオーロラの景色が広がった。

ここで大森は「ちょっとお話しするんですけど、今年結成10周年なんですよ、僕ら」と話を切り出し、「本日デビュー8周年ということで、ありがとね。噂によりますと、総ストリーミング再生回数が47億再生を超えたり、Spotifyのデイリーで日本で一番聴かれたアーティストになったりしたらしくて。すごいんだけどさ、そのすごさとかじゃなくて、ともかく今僕ら楽しいんですよ。そういうふうに毎日やりがいを持って向かえるものを皆さんによって作られてる感じがして、本当に感謝しています。ありがとうございます。自由に表現させてもらって、なりたかったミュージシャンに皆さんにさせてもらってます」と感謝の思いを述べた。その後「なんか夏だね。暑くなってきたよね」という大森の次の曲を匂わせる発言に、観客はすぐに反応。期待に満ちた眼差しを受け、彼らが代表曲の1つ「青と夏」を投下すると、オーディエンスの大合唱が夏の始まりに響き渡った。

ライブも終盤を迎え、披露されたのはコカ・コーラのキャンペーンソングとしてオンエア中の新曲「Magic」。キラキラと降り注ぐ無数の光の粒をバックに、大森は軽やかに歌を届ける。開放感あふれるサウンドにつられるように観客は自由に体を揺らして歌い、客席にはリングライトによる光の海が広がった。白い光に照らされながら、大森がそっと歌い始めたのは「Soranji」。壮大なアンサンブルとたおやかな歌声で愛情と希望に満ちたメッセージが届けられた。

大森に話を振られ、若井は「この10周年というタイミングでこうして“NOAH no HAKOBUNE”というアリーナツアーを回ることができて本当にうれしいです。皆さんのおかげです。ありがとうございます!」と述べ、「ここからの景色も本当にすごい。ライトバンドも付けてくれていて。この船全体、みんな一緒に楽しめてるなという感じがして、うれしかったし楽しかった!」と声を弾ませる。藤澤も「いやー、楽しいね。けっこう懐かしい曲もやったじゃない。『この曲、いつかアリーナとかでできたらいいな』というふうにメンバーの間で言ってた曲もあった。今日こうやってみんながめちゃくちゃ楽しんでくれてるのを見て、すごくうれしくなりました。ありがとうございました!」と感慨深げに語った。大森は「みんなでノアの方舟に乗りながら、荒波を乗り越えてるんですけど、起伏があったり情緒があるのが生活しているうえで必ずあることだなと思っています。でも、絶対大丈夫ですからね。僕らも導かれたように今日意味のある日を過ごせたなって3人とも実感できています」と確かな口調で話す。そして大森が「なるようになるね。フェーズ2、なるようになったね。この先もなるようになるね。僕はすごく今楽しくて、本当にりょうちゃんと若井に感謝してます。ありがとう!」と素直に思い伝えると、若井は「照れるね」、藤澤は「こんなことステージ上で言われたことないよ」とそろってはにかんだ。

「皆さんへの感謝の気持ちとこれからの祝福を乗せて、最後に歌いたいなと思います。今日は一緒にいてくれてありがとうございました。なるようになるぞ、人生! そう信じような!」という大森の言葉を経て、彼らは「ケセラセラ」を演奏。日々を生きる人々に祝福の言葉とエールをまっすぐに贈る。最後に船から見えたのは、虹がかかった澄み渡るような青空。美しい紙吹雪に彩られながら、3人は笑顔で花道を歩いてステージを去っていった。

アンコールを求める拍手に呼ばれて、再びステージに登場したミセス。リラックスした様子の彼らは、アルバムのラストを飾るナンバー「Feeling」をセッションを楽しむように軽やかに届けた。演奏を終えた3人は手をつなぎ、「ありがとうございました!」とおじぎをする。そして彼らは甲板の先で手を振り、大喝采を浴びながら昇降台に乗ってステージをあとにした。その後、観客を乗せた船は海中へ。スクリーンには「To be continued Atlantis」の文字が浮かび上がり、オーディエンスは物語の続きに思いを巡らせた。

Mrs. GREEN APPLE「Mrs. GREEN APPLE ARENA TOUR 2023 “NOAH no HAKOBUNE”」2023年7月8日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト

01. Viking
02. アウフヘーベン
03. CHEERS
04. 私は最強
05. VIP
06. Blizzard
07. Hug
08. 私
09. StaRt
10. ニュー・マイ・ノーマル
11. Loneliness
12. インフェルノ
13. Love me, Love you
14. scenario by Siip
15. HeLLo
16. ダンスホール
17. Folktale
18. norn
19. 鯨の唄
20. 青と夏
21. Magic
22. Soranji
23. ケセラセラ
<アンコール>
24. Feeling

Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”

2023年8月12日(土)埼玉県 ベルーナドーム
2023年8月13日(日)埼玉県 ベルーナドーム

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