江崎文武(WONK、millennium parade)初のソロツアー「はじまりの夜」が、8月5日に東京・めぐろパーシモンホール 大ホールでスタートした。
このツアーは江崎が5月に1stソロアルバム「はじまりの夜」をリリースしたことを記念して行われるもの。今作は江崎が谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」に着想を得て制作したコンセプトアルバムで、電灯が存在しない時代の日本の美の感覚と感性をもとに、日没から朝日を迎えるまでの陰翳の世界と交錯する光を音楽で表現している。ツアーもアルバムと同じコンセプトが掲げられ、初日となる東京公演にはレコーディングにも参加したSweet William、角銅真実、松丸契、mei eharaと、ラッパーの志人が特別ゲストとして出演した。
客電が消え、ステージにほのかな灯りが灯ると、大きな拍手に迎えられた江崎が単身ステージに登場。温かみのある音色のアップライトピアノと、華やかで張りのある音色のグランドピアノを使い分けながら、アルバム収録曲「陰翳礼讃」をはじめとするピアノソロをシームレスに披露し、静謐なムードの中に観客をいざなった。
ステージセットの転換を挟んだ2部が始まると、江崎のピアノソロから亀井友莉(Violin)、常田俊太郎(Violin)、須原杏(Viola)、村岡苑子(Cello)のストリングス隊を加えた編成に変化。そこへ入れ替わりでゲストも登場し、Sweet Williamがサンプラーを用いた遊び心のあるサウンドで「帷」をセッションしたかと思えば、松丸はサックスでジャジーなアンサンブルを披露した。一方志人は「ひかりのしっぽとかげのおっぽ」を朗読劇のように情感たっぷりな振付でパフォーマンス。角銅は「抱影」、mei eharaは「朝日のぬくもり」をそれぞれまっすぐな歌声で丁寧に歌い上げた。
アンコールで初めて口を開いた江崎は、会場の空気感を含め「ピアノの発表会みたいだった(笑)」とここまでを回想。「30代に入りましたので、これを皮切りに自分のルーツと向き合った音楽制作を続けていきたい。また大きなホールでコンサートができたらうれしいので、『はじまりの夜』がこれからも続くように皆さんと楽しんでいけたらいいなと思います。本当に今日はありがとうございました」と集まったオーディエンスに感謝を伝え、ライブの幕を下ろした。
なお「はじまりの夜」東京公演はStreaming+で配信も行われており、視聴チケットは8月11日21:00までイープラスにて販売中。購入者は8月11日23:59までアーカイブを観ることができる。
江崎文武「はじまりの夜」(※終了分は割愛)
2023年8月12日(土)大阪府 ATC南港サンセットホール
2023年8月13日(日)福岡県 福岡市美術館 ミュージアムホール
2023年9月22日(金)宮城県 宮城野区文化センター パトナシアター
2023年10月13日(金)北海道 渡辺淳一文学館 ホール
※江崎文武の「崎」は立つ崎が正式表記。