長瀬有花のワンマンライブ「Eureka」が8月25日に東京・LIQUIDROOMで開催された。
「Eureka」は、“2.5次元アーティスト”を標榜する長瀬が初めて開催した有観客ライブ。チケットはソールドアウトし、3次元の長瀬をひと目見ようとたくさんのファンが足を運んだ。バックバンドには磯貝一樹(G)、角田隆太(B)、宮脇翔平(Key)、工藤誠也(Dr)、Shoubun(Manipulator, Sax)が参加。高い演奏力に裏付けされた巧みなバンドアレンジで、全20曲が披露された。
ゆっくりとステージの幕が開き、姿を現したのは2次元の長瀬。「fake news」でライブをスタートさせた彼女は、間髪いれずに「駆ける、止まる」を歌い始める。曲が中盤に差しかかったところで突如演奏がストップし、静寂に包まれるフロア。息を呑む観客に向けて長瀬が「長瀬有花、ライブ、エウレカ……」とささやく。けたたましいオープンハイハットのカウントで演奏が再開されると長瀬が3次元の姿で登場し、場内にはファンの大歓声が轟いた。
「白昼避行」のギターソロに乗せて長瀬は「今日の楽しみ方は自由です! 拳を上げてもいい、手を振ってもいい、ゆらゆら揺れてもいい、ただじっと長瀬を見つめているだけでもいい。他の人と違うことを恐れないで。あなただけの楽しみ方を長瀬に見せてください!」と呼びかける。“だつりょく系アーティスト”を自称する彼女らしいメッセージに、ファンは大きな歓声と拍手で応えた。緑のレーザー照明がフロアを駆け巡る中、パソコン音楽クラブの提供曲「近くて、遠くて」が披露され、続けて長瀬は「アーティフィシャル・アイデンティティ」を投下。キャッチーなギターリフに乗せて甘い歌声を届けた。サックスの大人びた音色が響き渡ると「とろける哲学」がスタート。バンドメンバーが繰り出すプログレッシブな演奏に、長瀬がトリッキーなフレーズを重ね、初の有観客公演とは思えぬライブ力の高さを見せつけた。
場内をダークな雰囲気に変えた「ハイド・アンド・ダンス」を経て、「この曲は大好きなチロルチョコさんとのタイアップソングです!」という長瀬の言葉で始まったのは新曲「むじゃきなきもち」。ダンサブルなベースラインの上で、長瀬の歌声とサックスの音色が絡み合う。目まぐるしくビートが変化していく狂詩曲「アフターユ」が観客の感情をこれでもかと揺さぶったのち、バックバンドによるフュージョン風の幕間演奏から途切れることなく「やがてクラシック」へ。観客の手拍子に乗せて、サックスを交えた豪華なバンドサウンドが響き渡った。
長瀬はメロウナンバー「異世界うぇあ」でフロアを恍惚とした空気で満たす。続く「微熱煙」では角田がコントラバスを弓弾きして荘厳な音色を響かせ、新曲「宇宙遊泳」では長瀬の切なげな裏声が天高くこだました。簡潔なバンドメンバー紹介を経て、さらに曲を畳みかけていく長瀬たち。「今日とまだバイバイしたくないの」が始まると四つ打ちのビートに合わせてシンガロングが巻き起こり、長瀬は橙色のライトに照らされながら「オレンジスケール」を歌い上げた。「プラネタリネア」で爆音のパフォーマンスを届けたかと思えば、「ブランクルームは夢の中」でクールな16ビートが刻まれる。ラストナンバー「ほんの感想」まで全20曲、さまざまなジャンルの楽曲が演奏され、長瀬の凄まじい対応力が強く印象付けられた。
「長瀬有花 LIVE "Eureka"」2023年8月25日 LIQUIDROOM セットリスト
01. fake news
02. 駆ける、止まる
03. 白昼避行
04. ライカ
05. 近くて、遠くて
06. アーティフィシャル・アイデンティティ
07. とろける哲学
08. ハイド・アンド・ダンス
09. むじゃきなきもち
10. アフターユ
11. やがてクラシック
12. 異世界うぇあ
13. 微熱煙
14. 宇宙遊泳
15. みずいろのきみ
16. 今日とまだバイバイしたくないの
17. オレンジスケール
18. プラネタリネア
19. ブランクルームは夢の中
20. ほんの感想