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ジャニーズ事務所新社長・東山紀之、会見でジャニー氏の性加害を謝罪「人類史上最も愚かな事件」

左から井ノ原快彦、東山紀之、藤島ジュリー景子氏。
約1年前2023年09月07日 12:04

株式会社ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受けて創設された外部専門家による再発防止特別チームが8月29日に調査結果報告書を提出。これを受けたジャニーズ事務所の記者会見が本日9月7日に東京都内で行われた。

今年3月、イギリス・BBCによるドキュメンタリー「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」の公開に端を発して大きく報道されるようになった喜多川氏の性加害問題。5月31日にジャニーズ事務所はガバナンス上の問題点の把握と再発防止策の策定と提言を受けるための特別チームを発足させた。29日に公開された報告書では、ジャニー氏が1950年代から2010年代半ばまで多数の未成年者に対して性加害を行っていた事実を認定。ジャニー氏の性嗜好異常、藤島ジュリー景子氏の実母で前代表取締役副社長のメリー喜多川氏による隠蔽がこれらの原因であり、ジャニーズ事務所の同族経営の弊害やずさんな管理体制、ガバナンスの脆弱性が背景にあったとして、被害者の救済措置制度の構築、ジュリー氏の代表取締役社長辞任をはじめとしたガバナンス強化を提言していた。

ジュリー氏は引責辞任、新社長に東山紀之が就任

会見は14:00に始まり、約4時間10分にわたって報道陣からの質問が出尽くすまで行われた。登壇したのはジュリー氏とジャニーズアイランド代表取締役の井ノ原快彦(20th Century)、東山紀之、ジャニーズ事務所顧問である西村あさひ法律事務所の木目田裕弁護士。最初に4人は深々と頭を下げ、多数の報道陣のフラッシュを浴びた。

会見の冒頭、ジュリー氏は「特別チームによる調査結果と提言が公表されましたが、ジャニーズ事務所といたしましても、個人といたしましても、ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております。被害者の皆様に心よりお詫び申し上げます」と、喜多川氏による性加害の事実を認めて謝罪。ファンや関係者らにも謝罪の意を述べ、「特別チームの提言を真摯に受け止め、9月5日をもって経営責任を取り代表取締役社長を引責辞任いたしました。新しい代表取締役社長は本日同席しております東山紀之が務めさせていただきます」と、すでに社長の座を退き後任に東山を据えたことを明かした。さらに代表取締役副社長の白波瀬傑氏も引責辞任したこと、被害者に対しては会社としての補償を行っていくこと、ジュリー氏は社長辞任後も当面の間は代表取締役に留まるが、被害者への補償やタレントへの心のケア以外の業務には関わらないことも説明した。

続いて東山は「まずは喜多川氏の性加害を認め、ここで謝罪させていただきます。被害に遭われた方々、長きにわたり心身ともにつらい思いをさせて本当に申し訳なく思います」と創業者の性加害を謝罪。「この事実に真摯に向き合うため、私は年内をもって表舞台から引退をします。今後は人生をかけてこの問題に取り組んでいく覚悟であります」と、芸能界を引退し代表取締役としての職務に専念することを発表した。そして東山は「被害者の方々への誹謗中傷は今後やめていただきたいと思います」と呼びかけ、被害者への補償に誠心誠意取り組むこと、外部からCCO(チーム・コンプライアンス・オフィサー)を招聘し再発防止のための体制づくりやガバナンスの再構築に務めることを明言した。

芸能界引退を前提とした打診、東山は「サンデーLIVE!!」をすでに降板

東山が社長就任の打診を受けたのは8月頭、特別チームの調査報告書と提言が発表される前だったとのこと。話を受けた東山は誰にも相談せず、一晩考えて受諾したとのことで「できるできないではなく、やるかやらないか。自分の運命だと思って引き受けました」とそのときの心境を語り、10月からは主演舞台「チョコレートドーナツ」、12月にはディナーショーが控えていることから実質的に社長としての業務に専念するのは2024年からになるとの見通しを示した。

また、ジュリー氏は東山を後任に選んだ理由を「今回の問題を振り返って反省したとき、当時のジュニアと経営陣の間に溝があったのも大きな原因。長く所属してタレントの気持ちがわかる人がトップに立っていただくのは重要と思って依頼いたしました」と明かした。そして「『二足のわらじは難しいと思うので、その覚悟を持ってお願いできないか』ということを申しました」と芸能界引退を前提として依頼したとも話した。なお東山はテレビ朝日系の報道番組「サンデーLIVE!!」のメインキャスターを務めてきたが、「平等性を持たないといけない」という判断から先週9月3日の放送を最後に番組を降板したことも発表した。

性加害に対する認識は? 井ノ原快彦「得体の知れない空気はあった」

会社の取締役として、また所属タレントとして、喜多川氏の性加害に対する認識があったかという質問に対しては、ジュリー氏は5月に公開した動画の中で「知らなかった」と発言したことについて「私が直接被害について聞いたことがなかったということであり、もちろん報道や暴露本が出ているということは存じていました。当時確かめなかったというのが私の責任であり、親族であっても物を申せなかった。親族だからこそもっとできることがあったのではないかと反省している」と説明。東山も「噂としてはもちろん聞いていましたが、恥ずかしながら何もできず何の行動もしておりませんでした。もし物申す勇気があったら変わっていたのかもしれないと思うとやりきれない。反省を込めて今後は対応していきたい」と述べた。

一方、小学校6年生のときに入所した井ノ原は、当時すでに出版されていた性加害に関する暴露本などをもとに「仲間たちも『そうなのかな』という噂はしていましたね。そうなったらどうしよう、という話もしていました」と、ジュニアたちの間で噂は広まっていたと告白。「僕らの関心事というのはそれを一旦置いて、小学生や中学生でしたから『踊りがもっとうまくなりたい』とか『デビューしたい』とか、そういう気持ちのほうが大きかったです」と振り返りつつ「ただやはり、被害に遭っても相談できない、得体の知れない『それには触れてはいけない』という空気はありました」と、当時の状況を赤裸々に明かした。

喜多川氏へ「かける言葉はない。本当なら彼がここにいるべきだった」

調査報告書で「解体的出直し」を提言されながらも、加害者となった喜多川氏の名前を冠した「ジャニーズ事務所」という名称を存続させることに関しては、東山が「名前を変え再出発したほうが正しいのかもしれません。ただ、ジャニーズというのは創業者の名前でもあり初代のグループでもありますが、タレントさんが培ってきたエネルギーやプライドの表現の1つでもある」と説明。ただし提言を受けた8月29日以降、「そこからの作業でできることには限界もあった。この期間にまずできることをまずしようと」として会見を急いだという状況を明かし、「本当に大変な、人類史上最も愚かな事件だと思います。大変な道のりですが一歩を踏み出さないといけないと感じています」と、今後の新体制づくりへの心境を語った。

性加害の背景となったジャニーズ事務所の同族経営という体制に関連し、現在ジュリー氏が100%を保持する会社の株式が今後どうなるのかという質問には、ジュリー氏が「100%の株主、代表取締役として補償について議論していく立場のほうがよいという判断で留まっている。補償が速やかに進めば代表取締役から降りることを考えており、同族経営が今回の問題の一端であるというご指摘もいただいているので、今後どうしていくのがよいのか協議していきたい」と述べた。

喜多川氏へこの状況下でどういう言葉を伝えたいかを尋ねられた東山は、厳しい表情で「かけるべき言葉は特にございません。本当ならここに彼がいて、皆さんからの質問を彼が受けるべきだった」と即答。「やっていることは鬼畜の所業だと思っています。今となっては愛情というのはまったくなくなりました」と断罪した。井ノ原も「僕もかけるべき言葉はありません。『これから変えていきます』と、彼にではなく皆さんにお伝えしたい。『ジャニーさんだったらどうするだろう』という思いは今後徹底的に排除したい」と話し、ジュリー氏も「私は皆さんの前で本当に謝罪してほしいと思います」と語った。

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