ゲームが大好きなPerfumeののっちさんが、ゲームに関わるさまざまな人々に会いに行くこの連載。これまではのっちさんが実際にやりこんだゲームをテーマにすることが多かったのですが、今回はまったくの初心者である「ポケモンカードゲーム」がテーマです。
2022年に一番遊んだゲームが「ポケットモンスター バイオレット」だったというのっちさんは、これをきっかけにポケモンそのものに興味を持ち始め、日本初の本格的トレーディングカードゲームであるポケカにもチャレンジしてみることに。そこで開発を手がける株式会社クリーチャーズを訪問し、イチからいろいろなことを教えてもらいました。
前編となるこの記事では、ポケカの周辺グッズや対戦ルールなどについて学びつつ、実際にカードバトルに初挑戦。後編では開発スタッフの方々との対談で、長い歴史のあるポケカがどのように作られているのかにのっちさんが迫ります。
取材 / 倉嶌孝彦・橋本尚平 文 / 橋本尚平 スチール撮影 / 上山陽介 動画撮影 / 桑田吏功・田村竜雅 動画編集 / 森田哲史 動画ディレクション / 塚本真央・川口聡 ヘアメイク(のっち) / 大須賀昌子 題字 / のっち
壁一面ポケカ模様! 巨大ポケカ彫刻! 美しいオフィスにびっくり
取材日の時点ではポケカを触ったことすらなかったのっちさん。いつもとは少し違って「イチから勉強させてもらいます!」というモードでクリーチャーズのオフィスにやってきました。
エントランスに足を踏み入れるなり、のっちさんはその美しい内装にびっくり。真っ白な壁を切り抜いて作られたポケカの模様が壁一面に並ぶ、まるで大量のポケカに包まれているような光景に、「えっ! なんでこんなことしようと思ったんですか……?(笑)」と驚きの声を上げます。
壁を眺めていたのっちさんは、1枚だけ周りと違う、炎のマークのカードを発見。実はこの部屋いっぱいに付いている無数のカードの中には、エネルギーカードの模様が描かれたものが混じっているんです。そのカードは基本エネルギーの数だけ9種類あるらしいのですが、案内していただいた社員さんもすべての場所は把握していないそう。のっちさんはその遊び心たっぷりなインテリアデザインに感心しつつ、夢中でほかのエネルギーカードを探し始めました。
壁にはそのほか、ポケカをモチーフにした大きな彫刻も飾られています。これはアメリカの現代アーティスト、ダニエル・アーシャムさんによる「1000年後にポケモンが発掘されたとしたら」をテーマにした作品シリーズ。2020年からいろいろな美術館を巡回して展示されたのち、クリーチャーズが購入したんだそうです。
こちらは1999年に発売された最初の英語版ポケカのリザードンを忠実に再現した彫刻です。作品の一部は結晶化していて退廃した雰囲気に。目の前で作品を見たのっちさんは「うーん、これはカッコいい!」と唸ります。
クリーチャーズのオフィスは九段下駅のそばのビルに入っているため、窓からは日本武道館やその周囲のお堀を一望することができます。なかなか見ることがない角度からの武道館を興味深く眺めるのっちさん。思わず「池、すごっ」とポツリ。
カフェスペースはポケモンだらけ、カウンターはあのカフェを再現
別のフロアにはカフェスペースもあり、いたるところにポケモンたちが。ソファの上にたくさん並んでいるピカチュウのぬいぐるみは、形や表情がすべて違うそうで、のっちさんは「ホントだ、目の光の入り方も違う!」「この子が一番好きかなー?」と1つひとつチェックしていました。
カフェスペースの一角には、Nintendo Switchソフト「帰ってきた 名探偵ピカチュウ」に登場するハイハットカフェを再現したカウンターが。ここには株式会社ポケモン代表取締役社長、株式会社クリーチャーズの創設者である石原恒和さんが自ら焙煎したコーヒー豆や、マグカップなどお手製の陶芸作品が並んでいます。これらコーヒーは社員の方は自由に飲んでいいんだとか。
「ええっ! めっちゃいい匂い……!」と、のっちさんはコーヒーに興味津々。コーヒーグラインダーを見て「いいなあ、おうちで使ってみたいなあ。思い切って買っちゃおうかな……」とうらやましがるなど、コーヒー好きとしての一面を垣間見せていました。
ポケカのおねえさんといっしょに、パック開封を初体験
ポケカの遊び方を習得したいのっちさんのために、最初に先生として来ていただいたのは“ななっぷる”さん。ポケモンカードのYouTube公式チャンネルで日々ポケカの楽しさを届けている「ポケカのおねえさん」です。
「のっちさんがポケモンカードに興味を持ってくださってるということで、すごくうれしいです!」と、ななっぷるさんは笑顔で挨拶。のっちさんにポケカをより楽しく遊んでもらえるようにと、私物も含めて周辺グッズをたくさん持ってきてくれていました。どんなグッズがあるのか、さっそく教えてもらいましょう。
テーブルに並べられたグッズの中から、最初にのっちさんが気になったのはプレイマット。これはポケカで対戦するときにテーブルに敷くもので、バトル場、サイド、デッキ、ベンチ、トラッシュ、スタジアムという、カードを置く場所が描かれているので対戦時にわかりやすくなります。
のっちさんが「みんなこのプレイマットを自分で持ってるんですか?」と聞くと、ななっぷるさんは実際に自分が使っている1人分サイズのハーフプレイマットを見せてくれました。
「自分の好きなポケモンが描かれてるプレイマットを持ち歩いている人は多いです。やっぱりテンションが上がるんですよね(笑)」というななっぷるさんの説明を聞き、のっちさんは「私けっこう形から入りたいタイプだから、これをゲットするのはいいかもしれない。ホゲータとかミライドン、カメックス、ガラルのすがたのニャースとかのプレイマットがあったら欲しいなあ……」とつぶやいていました。
続いてななっぷるさんが紹介してくれたのは、自分のデッキを持ち歩くためのデッキケース。対戦で使う60枚のカードや、ポケモンが受けたダメージの量がわかるようにカードに乗せるダメカンなどを収納することができます。ふわふわしたピカチュウのぬいぐるみ型デッキケースが、のっちさんの物欲を刺激します。
そしてこちらはデッキシールド。対戦に使うカードを保護してきれいに保つためのスリーブで、1枚ずつこの袋に入れるんです。
ななっぷるさんの「カードを傷から守ってくれるだけでなく、これに入れているとシャッフルがしやすくなります。あと、何より見た目がカッコいいじゃないですか。いろんなデザインがあるんですが、例えば『リザードンを使ったデッキを組んでみたよ』というときに、この悪テラスタルリザードンのデッキシールドに入れていたらやっぱりテンションが上がりますね」という解説を聞き、のっちさんは「なるほどー。1枚1枚をこの中に入れてたら、カードにより愛着が湧きそう」と納得していました。
ピカチュウがいっぱい描かれてるこちらはコレクションファイル。最大20枚のリフィルで360枚のポケカを収納できます。自分が好きなポケモンをどんどん入れていくも良し、ポケモンずかんのナンバー順に並べるも良し。大事なカードの整理がはかどります。
初めてのポケカを開封で「のっちさんの引きが本当にすごい!」
ひと通りのグッズ説明を終えたななっぷるさんに、「ではのっちさん、こちらにポケカのパックがあるので一緒に開けませんか?」と誘われたのっちさん。ドキドキしながら、いよいよ初めてポケカを開封します。
ななっぷるさんが持ってきてくれたのは「黒炎の支配者」の拡張パック。1袋にランダムで5枚のカードが入っています。「やっぱキラキラした、レア度高いのを当てたいですね」と言うのっちさんに、ななっぷるさんが「パッケージにいる、悪テラスタルリザードンexが目玉ですね。これが当たったらうれしいです」と教えてくれました。
パックを開封して1枚ずつチェックしていくと、何やらキラキラしたカードが……!
のっちさんが引いたカードは、ラッパーでもあるジムリーダーのライム。レアリティはSR(スーパーレア)です。一緒に見ていたななっぷるさんは「おおっ! 待って! めっちゃすごいものを当ててしまいました!」「めちゃくちゃ珍しいのに、1 パック目で当ててしまった!」とびっくり。
1パック目でいきなりSRを引いたのっちさんは、「こんなにうれしいんだ! 楽しい!」と開封の楽しさを存分に味わっていました。
それを見たななっぷるさんは「のっちさんの引きが本当にすごい! やっぱり持ってますね!」と、その強運に思わず笑ってしまいました。
ポケカバトルに挑戦! 勝負の行方は……?
そしていよいよ実際にポケモンカードで対戦してみることに。のっちさんはルールを説明してもらいつつ、ななっぷるさんに横からサポートしてもらいながら、ポケモンカード開発チームのゲームディレクター・小林康平さんを相手に初のバトルに挑みます。
7月に発売された「exスタートデッキ」は、強力な“ポケモンex”を1枚含む、対戦に必要なカード60枚が1箱に入っている、初めての人でもすぐに遊ぶことができるスターターキット。今回はその8種類の中から、自分のデッキを1つ選んで対戦することにしました。伝説のポケモン・ミライドンが好きなのっちさんは雷タイプのデッキ、小林さんは炎タイプのビクティニのデッキをセレクト。「『ポケモン バイオレット』の中で一緒に旅したポケモンで遊べるの、うれしい」と、のっちさんは始まる前からすでに楽しそうです。
最初に山札の中身が均一に混ざるようにシャッフルをします。このやり方について、小林さんはテーブルに1枚ずつ順番に並べていくディールシャッフルをオススメしていましたが、のっちさんは麻雀牌をシャッフルするようにかき混ぜ始めました。
始めに自分の山札から、手札として7枚を引きます。その手札の中に“たねポケモン”のカード1枚があれば、最初に戦うポケモンとして「バトル場」に、ほかにも“たねポケモン”があれば「ベンチ」に、それぞれ裏向きにセット。“たねポケモン”が1枚もない場合はもう一度シャッフルして選び直します。
次に山札から6枚引いて、表面を見ずに「サイド」に置きます。この「サイド」に置いた札は相手のポケモンをきぜつさせるたびに1枚取って手札に加えることができ、先に自分の「サイド」を全部取ったプレイヤーが勝ちになります。
自分の手札にエネルギーカードがあったら、「バトル場」のポケモンにつけることができ、そのポケモンのカードに書かれたエネルギーのタイプと数が合っていれば、ワザを使うことができます。ダメージを受けたポケモンには、どれくらい攻撃を受けたのかわかるようにダメカンを乗せます。ダメカンが増えてHPがゼロになったら、そのポケモンは“きぜつ”してしまうので、ベンチから代わりのポケモンを「バトル場」に出します。
ななっぷるさんからの助言を受けて、バトルを助けてくれるグッズ「ハイパーボール」のカードを使うことにしたのっちさん。そこに書かれた「このカードは、自分の手札を2枚トラッシュしなければ使えない。自分の山札からポケモンを1枚選び、相手に見せて、手札に加える。そして山札を切る」という指示を見て「やることが多い……!」と少々混乱気味でしたが、真剣にルールを学びながらゲームの流れを覚えていました。
手札に「進化ポケモン」があったら、「たねポケモン」のカードに重ねることで進化させることができます。のっちさんはバトル場のズピカをハラバリーに進化させ、「エレキバレット」のワザを使って小林さんのカルボウを一撃で倒しました。
時間の都合もあって途中で終了しましたが、のっちさんも対戦の雰囲気は味わえた様子。ルールを覚えながらの初プレイだったため「やってるときは頭がいっぱいですね(笑)」と笑いつつも、「1匹1匹のポケモンが、どういう攻撃ができるのかをちゃんと覚えれば、すごく楽しくプレイできそうな気がしました」と、ポケカ人気の理由に納得していました。
のっちさんと小林さんの対戦の模様は動画で公開しているので、詳しい内容はこちらをご覧ください。
ななっぷるさんと小林さんにいろいろと教えてもらったことで、知識ゼロの状態からビギナーにランクアップすることができたのっちさん。後日公開の後編ではのっちさんが、小林さんとプランニングディレクターの塚本さんに、より深いポケカの魅力についてインタビューします。
<後編に続く>
(c)Daniel Arsham Courtesy of NANZUKA (c)2023 Pokémon. (c)1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
