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GLAYが“幽霊”たちを呼び起こしたレア曲満載「ハイコミ」ツアー終幕 30周年に向けて出帆

TERU(Vo)(撮影:田辺佳子)
3か月前2023年12月24日 15:07

GLAYの全国アリーナツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023-The Ghost Hunter-」が昨日12月24日に愛知・ポートメッセなごや第一展示館公演をもってファイナルを迎えた。

“幽霊”を呼び覚ますオープニング

「HIGHCOMMUNICATIONS TOUR」は2003年から不定期で実施されている、「あえてコンセプトを決めない自由度の高いライブパフォーマンスを行うこと」をテーマとしたファンから人気の高いツアー。「The Ghost Hunter」と銘打たれた今回のツアーは、JIRO(B)作曲、TAKURO(G)作詞のミドルチューン「THE GHOST」をコンセプトに、今年3月から6月にかけて行われた「The Ghost of GLAY」の続編として企画され、これまで“Ghost(幽霊)”のように隠れていたGLAYの楽曲に光を当てる内容に。とはいえ、2024年にデビュー30周年を迎えるGLAYのオリジナル曲は実に400曲以上。1曲でも多くGLAYの隠れた名曲を届けたいというメンバーの思いから、「The Ghost of GLAY」から構成はもとより盛り込まれる楽曲もほぼ一新するという、チャレンジングなセットリストが用意された。

六道輪廻図をモチーフにしたコラージュアートが大きく映し出されたのち、スクリーンには「The Ghost Hunter」の文字が浮かび上がる。すると暗闇の中で、「3年たったらあの木の下で もう一度逢えないかな?」と噛み締めるように歌うTERU(Vo)の声がひと筋の光のように響いた。2020年春から2023年に至るまで世界中を翻弄し続けた新型コロナウイルス。GLAYはコロナ禍の歳月と合致する「3年後」をライブのオープニングで届けることで、ファンとともに声を出し、歌える日が再び訪れたことを証明した。

愛を込めたBUCK-TICKカバー

TERUが「OK、熱くいこうぜ!」と叫んだことを機に投下されたのは、2007年リリースのシングル「鼓動」のカップリング曲「棘」、HISASHI(G)節全開の「デストピア」の2曲。「棘」はタイトル通り棘をモチーフにした映像が、「デストピア」では無機質な近未来の景色がスクリーンに浮かび、それぞれの曲の世界観を視覚的に伝える。めくるめくパフォーマンスに熱狂するファンを前に、TERUは「クリスマスイブなのにこんなにたくさんの人に来ていただけて幸せです。せっかくのイブにライブなので、クリスマスムードは心にしまって」と冗談めかしつつ、コロナ禍での日々を振り返り「今を大切にしないといけないんだと感じた。未来があるという希望もありますけど、何があるかわからないので今、この瞬間を楽しんでほしいと思います。心を込めて歌うし、心を込めて演奏するので受け取ってください」と自分たちのパフォーマンスがクリスマスプレゼントであることを伝える。

その後のブロックで披露されたのは「海峡の街にて」を皮切りに心の機微を細やかに表現したミディアムチューンの数々。「生きがい」のブレイクでは、TERUとHISASHIが向かい合い、BUCK-TICK「JUPITER」を披露する場面も。HISASHIは丁寧にギターを奏で、TERUは亡き櫻井敦司へのリスペクトを込め、彼がつづった言葉を歌い上げる。先輩バンドへと愛のこもったパフォーマンスに、温かな拍手が沸き起こった。

TERUらしい姿に観客も思わず

JIROの豪胆なベースプレイが冴える「Lock on you」が始まると、ファイヤーボールとレーザーが飛び交い、会場内の熱気がグッと高まっていく。そんな中TERUは歌詞の世界を表現するように、大胆に肩をはだけさせ観客を蠱惑するも、照れ臭くなってしまったのか途中で笑い出してしまう。実にTERUらしい姿に観客も思わず笑う場面もあったが、「Beautiful like you」で空気は一変。マイクスタンドを力強く握り締めたTERUは、情感豊かな声で言葉1つひとつに思いを乗せていく。その後ろには流星が夜空を彩る景色が広がり、1万人のオーディエンスを優しく包み込んだ。

穏やかな空気を引き継いだ「STREET LIFE」の余韻が残る中、村山☆潤(Key)が奏でるロベルト・シューマンのピアノ曲「トロイメライ」の柔らかな旋律が観客の耳をくすぐる。しかし次の瞬間にはソリッドなトラックが流れだし、サクライケンタ編曲の「Pianista」へ。JIROのなめらかなベースラインを筆頭に、複雑なアンサンブルを卓越したプレイで紡いでいく演者たち。躍動的なパフォーマンスをドローンカメラがさまざまな角度から切り取っていると、TERUがその中の1台を手にし、優しい眼差しを向ける。広い会場の隅々にいる観客も楽しめる心遣いに、ファンは興奮しどおしだった。

ファンとの関係を歌った「Buddy」

ライブも後半戦に差しかかった頃、TAKUROは「デビュー時はバンドとファンという朧げな関係でしたが、うれしいときも悲しいときも今は同じ時代を一緒に生きるみんなとは、見えない絆みたいなものでつながっているんじゃないかなと思います」と切り出す。彼が「今で言えばBluetooth的な? Wi-Fi的な? 僕には見えます、皆さん1人ひとりとつながっていることが。その絆をどう名付ければいいか、ずっと考え続けていました。考え続けた結果、曲を書いてきました。僕らと皆さんの歌です……」と口にすると、GLAYは長年ともに歩んできたファンへの思いを素直につづった「Buddy」を高らかに奏でた。

心をときめかせるキラキラとした音像が楽しいポップチューン「SEVEN DAYS FANTASY」、HISASHIの歪んだギターが炸裂する「Young oh! oh!」とアップテンポな楽曲に続いたのは、2010年リリースの「Chelsea」。キャノン砲から放たれた金銀のテープが弧を描き祝祭感を演出する中、TERUはJIROにマイクを向け歌うように促す。笑顔を浮かべたJIROは「もっと声をbaby」と低く甘い声で叫び、オーディエンスの歌声をさらに引き出した。

「Last Song! 暴れろ!」。そんなTERUの言葉に続いたのは「HIGHCOMMUNICATIONS TOUR」では欠かすことのできない「HIGHCOMMUNICATIONS」だ。唸りを上げるJIROのベースに、刺激的に響くTAKUROとHISASHIのギター、TOSHIの豪快なリズムに村山の弾くきらびやかな旋律。5人が奏でるアンサンブルを浴びたTERUは、髪の毛をかきあげオールバックになると、腕を突き上げて絶唱。まるでまだライブが始まったばかりかのような気迫たっぷりのパフォーマンスで、本編に幕を下ろした。

力強く響く1万人の「SOUL LOVE」

アンコールではメンバーそれぞれが現在の心境をトーク。TERUが「2023年はライブをたくさんやれてGLAYとして、バンドマンとしてとても幸せな1年でした。それも皆さんのおかげです。今日も超満員で本当にうれしいです。皆さんの笑顔で、声で僕らは活動できているのでこれからも素敵な笑顔を見せてください」と語れば、TOSHIは「来年GLAY30周年、僕が(ドラマー活動)40周年ですが、またその次の周年に向かってスタートを切れるようなライブをたくさんやっていきたいと思います。応援よろしくお願いします!」と意気込む。TERUが「いつものアレ聞いてないなあ」と思わせぶりに口にすると、TOSHIは「名古屋最高! GLAY最高! 俺も村潤も最高!」とシャウト。しかしその途中でTERUが、TOSHIの名前を呼んでしまうというハプニングが発生し、ステージも客席も笑いで包まれた。

村山は「2023年たくさんGLAYと一緒にステージに立てて本当に楽しかったです」と述べ、「来年も再来年もその先も末長くサポートできるようにがんばるんで応援よろしくお願いします」とTOSHI同様にGLAYを支え続けることを宣言。JIROは「最高のライブで僕も弾いてて『あ、そうか、こういう感じで弾けばいいんだ』という発見があったり、まだまだ演奏されてない曲でこれやったら喜んでくれるんじゃないかなという曲がツアーで見つかったので、今後のGLAYにも期待していてください」と真摯に口にするも、ひと呼吸置いて「ここまでがDVD用です……君、デビューして何年?」とTERUをいじり始める。小さく「29年」と答えるTERUの横で、JIROは「いやあ今日は本当に最高のライブでした」と笑い、「来年はたくさんシングル曲をやるんで」とデビュー30周年に向けて布石を打った。

温かなムードを作り出した「とまどい」を経て口を開いたのはHISASHI。「こんな素敵な仕事納め、そして29周年納め……ありがとうございます。こんな素晴らしいライブの中で憎まれ口なんて言えないよ。本当にありがとうございます」と普段なシニカルなトークはお預け。「コロナ禍の中で僕らはいろんなことを学びました。そのコロナ禍に私がYouTubeに最初にアップした動画があるんですけど。『この曲をまた歌える日が来ることを願って』と言っていた曲で、これをみんなと歌って2023年を納めたいと思います」と「SOUL LOVE」へとつなげる。メンバーは美しく力強く響く1万人のファンの合唱に耳を傾け、温かな視線を何度も客席に向けた。

サプライズだらけのアンコール

アンコールのラストナンバーは80KIDZリミックスバージョンの「THE GHOST」。ホールツアーでオープニングを飾っていた曲を、アリーナツアーではアップデートした形で最後に据え、GLAYの進化を見せる形で「The Ghost Hunter」はフィナーレへ。

と思いきや、メンバーが去った瞬間に場内が暗転し、スクリーンにはデビュー30周年の予定が次々と映し出される。アニバーサリーシングルのリリースに怒髪天との対バン、埼玉・ベルーナドーム公演2DAYS、初の夏フェス出演、そして尾田栄一郎が描いたキービジュアル公開と、あまりに豪華な“クリスマスプレゼント”にファンは大興奮。サプライズはこれで終わらず、観客がスクリーンからステージに視線を移動させるとそこにはメンバーの姿が。TERUの「カモン、TOSH!」のシャウトを口火に、GLAYとTOSHI、村山の6人はライブの定番曲である「誘惑」を叩き込む。2時間半を超えるステージを終えながらも衰えることのないエネルギッシュなプレイに観客も熱狂。最後に「Because I love you(なぜならあなたを愛しているから)」というフレーズをメンバーとともに歌い、「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023-The Ghost Hunter-」のフィナーレを彩った。

セットリスト

GLAY「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023-The Ghost Hunter-」2023年12月24日 ポートメッセなごや第一展示館

01. 3年後
02. 棘
03. デストピア
04. 海峡の街にて
05. Missing You
06. 生きがい
07. 刻は波のように
08. Lock on you
09. Beautiful like you
10. STREET LIFE
11. Pianista
12. Believe in fate
13. Buddy
14. SEVEN DAYS FANTASY
15. Young oh! oh!
16. Chelsea
17. HIGHCOMMUNICATIONS
<アンコール>
18. とまどい
19. SOUL LOVE
20. KISSIN' NOISE
21. THE GHOST(80KIDZ Remix)
<ダブルアンコール>
22. 誘惑

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