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マイベストトラック2023 Vol.7 シンガーソングライター編

上段左から細井徳太郎、松木美定、みらん、下段左からmeiyo、ヨエコ、Reol。
2か月前2024年01月30日 10:02

2024年の幕開けに合わせ、音楽ナタリーではさまざまなアーティストに「2023年にもっとも愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全8本の記事を公開していく。今回は「シンガーソングライター編」として、細井徳太郎、松木美定、みらん、meiyo、ヨエコ(ex. 倉橋ヨエコ)、Reolが選んだ2023年の3曲を紹介する。

構成 / 高橋拓也

細井徳太郎

2023年たくさんの音楽を聴いて楽しんだり救われたりしてきました。中でも2023年リリースの作品で特に僕が愛聴していた3曲をご紹介します。(たくさん紹介したい音楽があったのでとっても迷いましたが…!)

石若駿「空に逢う、朝を待つ feat. 櫻/Ying、苗代尚寛、マーティ・ホロベック」

今や日本を代表するドラマーの1人である石若駿くん。彼の歌ものプロジェクト“songbook”。作詞作曲ピアノドラムアレンジに歌唱、ドラマーとしてではなく音楽家としての彼の側面を見ることのできるこのプロジェクト、こちらの最新作「Songbook6」より「空に逢う、朝を待つ」です。この曲は実は僕自身が作詞をした曲なのですが、彼からデモ音源が送られてきたときに、「近い場所遠い場所、世界中にいる友達に向けた曲にしたい」と語ってくれました。ヨーロッパで活躍しているオペラ歌手の櫻さんをボーカルに迎えて、柔らかくも切ない素敵な曲に仕上がっています。何度も聴いてなかなか会えない友達に想いを馳せていました。

くるり「California coconuts」

続いて、昨年アルバムの制作風景を映画にしたことでも話題になったくるりの「感覚は道標」より「California coconuts」。映画を石若駿くんの誘いで一緒に観に行ったのですが、なんというかバンドを続けることとか友達とひさびさに会うとか、すっごくいいな…とじーんと思いました。人との出会いの切なさと尊さをこの曲を聴くたびに思い出させてくれます。岸田さん佐藤さんの優しい歌声とハーモニー、20年ぶりにくるりで叩く森信行さんのふくよかで熱いドラム、とっても素敵です。

フー・ドゥ・ユー・ラブ「愛の旅」

最後の1曲は、ロックバンド、フー・ドゥ・ユー・ラブの1stアルバム「フー・ドゥ・ユー・ラブ」より「愛の旅」です。岩出拓十郎、村上貴一(キイチビール)、樋口拓美という、インディロックシーンのファンには知らない人のいない3人によるスリーピースバンドです。粗く歪んだギターに気怠いボーカル、これぞパンクロックという音色とビートのベースとドラム。落ち込んだ気分の日もこの曲を聴けば気分が晴れて、聴いているうちに音量をぐっと上げたくなる、そんな素敵な曲です。

<プロフィール>

細井徳太郎(ホソイトクタロウ)

1993年生まれ、群馬県伊勢崎市出身。高校生の頃からギターに触れ、大学時代にジャズ研究会でバンド活動をスタートさせた。大学卒業後は上京し、ライブハウスに勤めながら音楽活動を展開。ソロ名義だけでなくSMTK、タコ足イヤホンズといったバンドのメンバーとしても活動している。2023年10月に初のフルアルバム「魚 _ 魚」を発表した。

細井徳太郎のブログ等
Tokutaro Hosoi (@hosoitokutaro) | Instagram
細井徳太郎(@tokuta7o) | X

松木美定

ウォルター・スミス3世「Contra」

2014年にPart1とも言える「Still Casual」に出会い僕はコンテンポラリーの扉を開いたのですが、今作はそれの続きとも言えるアルバムです。
僕は複雑で小難しいコードという要素だけの曲にはまったく惹かれないのですが、ウォルターの楽曲には複雑さに加えやはり歌心があります(歌心があるかどうかは僕の個人的な趣味による判断ですが)。
このコンセプトのアルバムは10年近く出していなかったのですが、期待を裏切ることのない出来です。

Diskoria, Laleilmanino, BCL「Badai Telah Berlalu」

去年くらいからインドネシアのPOPSに興味がありちょくちょくと気になったアーティストの動向をチェックしているのですが、最高の曲が去年も出ていました。
最初から最後まで無駄のない、飽きのこない、不自然さのないアレンジの壮大なPOPS。かと言って重くもならず聴き心地はあくまでさわやか。歌唱のニュアンスとリハーモナイズが相まって後半は特に泣きそうになります。正直この曲のコンセプト、歌詞の内容などは調べていないのですが全部すっとばしても最高の曲です。
こういった知らなかった大きな音楽シーンを見つけると大海を知らない蛙のような途方もない気持ちになります。

中川理沙「HATENA?」

素晴らしい音楽家の中川理沙さんのアルバム「動物の庭」から。このアルバム自体が中川さんのメロディセンス大爆発の名盤でどれを選んでもよかったのですが、アレンジ、リハーモナイズ力も存分に発揮されているこの曲を選びました。
曲が短く無駄のない構成で、可愛らしさと油断できないアレンジが同居した名曲です。

<プロフィール>

松木美定(マツキビテイ)

1993年生まれ。静岡県出身。20歳の頃からピアノと作曲を独学で始め、モダンジャズの作曲家たちの作品を研究しながらオリジナル曲を制作する。2018年にLampの音楽を知ったことから邦楽に関心を抱き、松木美定名義での活動をスタートさせた。その後2019年からコンスタントに楽曲を発表し、2023年11月に初のフルアルバム「THE MAGICAL TOUCH」をリリースした。

松木美定 / Bitei Matsuki|note
松木美定 Bitei Matsuki (@matsuki_bitei) | Instagram
松木美定 Bitei Matsuki(@matsukibitei) | X

みらん

曽我部恵一「まる。」

むらかみなぎさ「デイリー」

田中ヤコブ「ミミコ、味になる」

去年大阪から上京し、ひとり暮らしをはじめ、寂しくなったらとりあえず外に出てイヤホンして歩く私に、「ああでも、みんなこんなふうかもな。求めすぎることも、捨てたくなることもあって、ぜんぶが生活としてここにあっていいものなんだよな。」と、落ち着かせてくれたのがこの3曲です。
誘導的でないのが今の私にとってよくて、独り言のような歌詞の中にたくさん本当のことがある。それらが支えになっているから優しくできたり、歌えるんだなって、聴くたびに胸が撫で下ろされます。
アンテナを張って音楽を聴くということをあまりしなかったけれど、去年はなんだか少しの音楽で充分でした。

<プロフィール>

みらん

1999年生まれのシンガーソングライター。2019年から関西を拠点に活動を開始し、2020年に宅録で制作した1stフルアルバム「帆風」を発表。その後、曽我部恵一や久米雄介(Special Favorite Music)をプロデューサーに迎えて数々の楽曲を制作し、2023年12月に3枚目のフルアルバム「WATASHIBOSHI」をリリースした。

miram official site
みらん (@mirams11) | Instagram
みらん(@m11ram_5) | X

meiyo

原口沙輔「ホントノ - 重音テト」

原口沙輔くんは以前から一目でわかるような天才で、年齢が若いとかそういう切り口で語るべきじゃない変態で大好きだったんですが、去年出した「人マニア」が素晴らしく。これを越える曲作れるのか…なんて思ってたら、まぁ軽々とブッ越えてきてもうヤダすきって感じです。何回聴いたかわかりません。映像もすばらし。

長瀬有花「プラネタリネア」

長瀬有花さんには楽曲提供したこともあるんですが、まぁ出す曲出す曲よすぎて、もはやただのリスナーになっちゃってるというちょっと不思議な関係。
コラボする相手が毎回ツボを押さえてて、「プラネタリネア」はペペッターズが作ってる。ペペッターズとも実は昔共演したことあるんですが、当時より圧倒的に唯一無二感増しててさらに好きになりました。

Knower「The Abyss」

Knowerは去年知って、一番聴いたと思う。僕、実は邦楽以外ほとんど聴かない人間なのですが、ドラマーが作ってるというところにシンパシーを感じたのか、なんなのか。(僕もともとドラマーなので)
僕が邦楽以外聴けない理由って、何言ってるかわからないとか演奏上手すぎて引いちゃうとか、突き詰めると音楽に対する向き合い方の違いが影響していると思ってるんですが、異常な中毒性、変なMV、それぞれの美学やユーモアを感じる演奏にやられちゃいました。

そんな3曲でした。2023年は新たな出会いに恵まれた年で、挙げた3曲と並ぶほど聴いた楽曲が山ほどあるんですがそれはまたどこかで。

では、股。

<プロフィール>

meiyo(メイヨー)

2015年からワタナベタカシ名義でソロ活動を開始し、2018年にmeiyoへと改名。2021年に自身の人生を題材にした楽曲「なにやってもうまくいかない」を発表するとTikTokを中心に大きな反響を呼び、同年ユニバーサルミュージックからメジャーデビューを果たす。2023年12月にはメジャー1stアルバム「POP SOS」を発売した。

meiyo - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
meiyo (@meiyo_music) | Instagram
meiyo(@meiyo_music) | X

ヨエコ

Kroi「Balmy Life(Kroi Live Tour 2022 "Survive")」

楽曲自体は2021年発売ですが、2023年発売のライブアルバムに収録されています。間奏のスキャットがたまらなく好きです。

マリーナ・ショウ「Street Walkin' Woman」

ライブに行くと、会話の部分もドラマーと再現してくれます! 一生聴ける曲その1です。

Jamiroquai「Virtual Insanity」

音大でクラシックを学んでいた頃なのに、一聴き惚れして以来、一生聴ける曲その2です。

<プロフィール>

ヨエコ

愛知県出身のシンガーソングライター。倉橋ヨエコ名義で音楽活動を開始し、“ジャズ歌謡”と形容されるサウンドで人気を博す。2005年にBabeStarからメジャーデビューするが、2008年に“廃業”を宣言して音楽活動を終了した。その後2023年7月にヨエコ名義で活動を再開。同年9月には約15年ぶりとなるアルバム「ニューヨエコ」をリリースした。

ヨエコ オフィシャルウェブサイト
ヨエコ(@new_yoeko) | X

Reol

XG「NEW DANCE」

大好き。軽快なギターのリズムに導かれてさわやかに踊るように駆け抜けていくような楽曲。XGはどの楽曲も素晴らしくて去年は「NEW DNA」をヘビロテしました。MVも楽しくて肩の力を抜いてくれます。まさにニューダンス。

iri「Season」

メロウな進行と低音で紡がれていく彼女の声が心地よい1曲。最終的に前向きであるもののかなりネガティブな感情やセンチメンタルな情景を経由していくところが、悩みながら考えながら生きていく人々の頭の中を鮮明に描写してくれているみたいで好きです。

ディーン「DIE 4 YOU」

ずっと待っていたディーンの新曲うれしい、そしてめちゃくちゃ好き! 変則なメロディリズムに実験的な姿勢も感じつつ、心地よく落とし込めるテクニックがすごい。「I'm Not Sorry」のような激しいアプローチから今作のようなバラード調まで引き出しがたくさんあるし、編曲も毎回学びがあります。リスペクト。

<プロフィール>

Reol(レヲル)

2012年から動画共有サイトにて歌唱動画や、自身が作詞を手がけた楽曲を投稿。2015年7月には、れをる名義でソロアルバム「極彩色」をリリースした。音楽ユニット・REOLでの活動を経て、2018年1月からはReol名義でソロ活動を行っている。2024年8月17日には自身初となる東京・日本武道館公演「No title」を開催する。

Reol オフィシャルサイト
Reol れをる (@rrreol999) | Instagram
Reol れをる(@RRReol) | X

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