Reolのライブツアー「Reol Oneman Live 2023/24 "UNBOX" black」が、2月18日に神奈川・神奈川県民ホールにて千秋楽を迎えた。
一番最高の景色を
昨年12月に開幕した「Reol Oneman Live 2023/24 "UNBOX"」は最新アルバム「BLACK BOX」を携えてのツアーで、「完全ネタバレ厳禁の黒箱。秘密主義者様推奨。」という「black」と、「都度ネタバレ上等の白箱。変化と進化を愉しめるお客様推奨。」という「pure」の2つのコンセプトを掲げて行われた。「black」は実際に足を運ぶまでは内容が一切伏せられていたが、蓋を開けてみればReolらしいサプライズと刺激に満ちたステージが展開された。
「Reol airline」のCAに扮したReolによる最終搭乗アナウンスと、機内における注意事項の案内というユーモアたっぷりの前説を経てライブはスタート。待ち構えていたファンの目の前には人1人が収まる黒い立方体、つまりは“ブラックボックス”が。紗幕が開きステージ上にスモークが充満し、箱の中にReolのシルエットが浮かび上がる。ホールを震わせるような大歓声の中、彼女がオープニングナンバーとして熱唱したのは「最終搭乗案内」の意味も持つ「Final Call」。観客全員が“搭乗”したことを見計らった彼女は、空間を切り裂くようなハイトーンボイスで「VIP KID」を歌いながら箱を抜け出し、ステージの中央へ。ボンテージ風の衣装、網タイツとロングブーツという刺激的なファッションに身を包み、「BLACK BOX」の楽曲と、自身の代表曲とも言える「第六感」や突飛な演出で魅了した「シンカロン」など新旧織り交ぜたセットリストをもとにボルテージの高いステージを披露していく。
Reolは「なんだか今日という日が来てほしいような、来てほしくないような気持ちでステージにきました。最終日なので回ってきたツアーの中で一番最高の景色を作りたいと思います」という言葉を体現するように、楽曲の世界観を的確に表現した映像演出を交え、ときにダンサーを従えながら一挙手一投足に魂を込めパフォーマンス。オーディエンスはその姿を目に焼き付けんとばかりに、真剣にステージに目を向けつつ、シンガロングをしたり、歓声を上げたりと熱狂的に盛り上がった。
角刈り女子“エリナ”の登場に騒然
ビートを重視したReolの楽曲の中枢を担うベーシストとドラマーによるセッション、楽曲を艶やかに彩るダンサー4人によるパフォーマンスを挟み、Reolは和を意識した華やかな衣装にチェンジ。「煽げや尊し」「宵々古今」でお祭り騒ぎに拍車をかけ、オーディエンスとのコール&レスポンスを大いに楽しみ、一丸となった客席の反応に「超いい感じじゃん!」と喜びを爆発させた。だが、続く「さよならのすゝめ、今日のつづき」「染」で会場のムードは一変。湿り気を帯びたReolの狂おしい歌声に、観客は真剣な眼差しをたたえ聴き入る。そんなしっとりしたひとときも束の間、スクリーンには重厚な刀が投影され「切っ先」への口火を切る。ダンサーが殺陣を思わせる舞を踊る中、Reolは絶唱を繰り返しながら、淡い色彩の衣装をダンサーによって脱がされ、白と黒をベースとしたファッションへと早着替え。ライブが後半戦に差しかかったことをそのいでたちで匂わせた。
しかし「まだお楽しみはこれから」とばかりにReolは本編のラストブロックでサプライズを用意していた。「Boy」で強固な一体感を会場に生み出したあと、再び箱の中へと戻っていった彼女。「DDD」が始まると同時に、Reolとアタック西本(ジェラードン)扮する角刈り女子“エリナ”が箱を突き破って現れた。予想外のゲストに観客は大興奮。ミュージックビデオの世界を再現するようにReolとエリナはハンドマイクでステージを練り歩き、親しげにハイタッチを交わす。「最高だったよ!」とReolが絶賛すると、エリナもまんざらでもない様子で「どう?」と観客の歓声を求める。そのまま2人は漫才のような掛け合いを繰り広げ、会場に笑いを巻き起こした。
Reolが観客に伝えた5つの言葉
その後のMCでReolは「びっくりした? これが『UNBOX』です!」と多種多様な演出について述べ、ツアーのテーマがイリュージョンであったこと、ツアーに参加するファンが自分の想像以上に喜んでいる姿に愛を感じたことをうれしそうに語る。「生きてるといろいろあるけど、それでも私たちは挫けず、音楽に頼ったり、芸術に頼ったりしてまた進んでいく」と自分に言い聞かせるように口にすると、「本当に幸せな時間をありがとうございます。私はReolとして歌うときが、一番自分が自分である瞬間だと思ってます」と客席をまっすぐ見つめる。そして「自分に言ってあげたい言葉、誰かに言って欲しかった言葉を5つ持ってきました」とすうっと息を吸い込む。彼女の口から高らかに放たれたのは「私たちは強い。私たちは気高い。私たちは凛々しい。私たちは人に優しい。私たちは誰がなんと言っても、何があっても美しい。絶対に……」というポジティブな言葉たち。Reolはその言葉を胸に自身と観客を肯定するように「綺羅綺羅」を歌い上げ、本編を「赤裸裸」でフィニッシュ。クライマックスでステージを覆っていたスモークが晴れると、Reolの姿は忽然と消えていた。
イリュージョンのように去っていったReolが次に姿を見せたのは、1階席の中通路。騒然となる客席の間を縫って、彼女は「劣等上等」を歌い、コロナ禍には敵わなかったオーディエンスとの触れ合いを存分に楽しむ。「こんな演出をさせてもらえる日が戻ってくるなんてすごくうれしいです」「こうして皆さんと巡り会えて本当に生きててよかったと思います」と喜びを噛み締めつつ、「本当に終わりたくないです」と終演を惜しむReol。最後に彼女は10年前にリリースした自身のデビュー曲「No title」を観客とともにシンガロングし、8月に控える東京・日本武道館での同名のワンマンライブへの伏線を張って「Reol Oneman Live 2023/24 "UNBOX" black」の幕を引いた。
セットリスト
Reol「Reol Oneman Live 2023/24 "UNBOX" black」2024年2月18日 神奈川県民ホール
01. Final Call
02. VIP KID
03. 第六感
04. ウテナ
05. SCORPION
06. Ms.CONTROL
07. GRIMOIRE
08. secret trip
09. ミラージュ
10. シンカロン
11. - interlude -
12. -ムーブのための試奏曲 Nr.4-
13. 煽げや尊し
14. 宵々古今
15. さよならのすゝめ、今日のつづき
16. 染
17. 切っ先
18. Boy
19. DDD
20. TAKE OFF
21. 綺羅綺羅
22. 赤裸裸
<アンコール>
23.劣等上等
24. No title
ライブ情報
Reol Oneman Live「No title」
2024年8月17日(土)東京都 日本武道館