シタール奏者の石濱匡雄とタブラ奏者のU-zhaanが出演するイベント「ベンガル料理にコイして。vol.3」が、2月23、24日の2日間にわたり福島・郡山市立中央公民館および郡山公会堂で開催された。
「ベンガル料理にコイして。」は養殖鯉の市町村別生産量1位を誇る郡山市が、鯉食を広めるために2022年から行っているキャンペーンイベント。インドのベンガル地方で鯉が常食されているという共通点から、ベンガル料理に精通した石濱とU-zhaanが講師となり、料理教室やトークライブで鯉の魅力を広く紹介した。
1日目「石濱匡雄×ユザーン 極上のベンガル鯉カレー料理教室」
石濱とU-zhaanが講師を務める料理教室には、事前抽選で選ばれた21名が参加。調理メニューはメインとなる「鯉のジョル」と副菜の「鯉の頭とキャベツのゴント」「ダール」「冬花衣のバジャ」という4品で、郡山の鯉と名産野菜をふんだんに使って作っていく。まずは鯉の切り身に下処理を施す作業からスタートするも、参加者は家庭ではなかなか調理する機会が少ない鯉の頭に興味深々。鯉の頭を写真に収める参加者たちに石濱が「その写真、いつ見返すの?」とツッコむ場面もあった。また石濱はベンガル料理に合うというインド米・バスマティの調理方法を伝授する中で「スズメにバスマティをあげたら食べなかった。あとで調べたら、日本のスズメは新米の香りに反応するらしい」という雑学を披露した。
一方で日本米、バスマティライス、ジャスミンライス、ポンニライスを常備しているというU-zhaanは「バスマティは家にあると便利ですよ。パラパラになるからチャーハンにも使ってもおいしい」と米へのこだわりを見せた。石濱は「ゴント」の調理工程で鯉の頭を潰しながら「これで見た目がすごく悪くなって、すごく食べにくくなるけど味はおいしくなる」と解説。U-zhaanも「インドで初めてこれを食べたとき、ゴミが出てきたのかと思った」と見た目の悪さを危惧しながらも味には太鼓判を押した。料理が完成したあとの試食会では、U-zhaanや石濱が本場仕込みの“手食”をレクチャーし、終始和やかな雰囲気の中で料理教室を終えた。
2日目「石濱匡雄×ユザーン インド古典音楽&トークコンサート ~ベンガル料理にコイして~」
2日目は230名限定の無料コンサート&トークイベントが開催された。会場では石濱が前日から仕込んだ「特製ベンガル鯉カレー」を、“いい鯉”の語呂にちなんだ151食分、キッチンカーで販売。あたりにスパイシーな香りが立ち込めた異国感あふれる空間を舞台に、2人がシタールとタブラでインド音楽を奏でた。舞台演出には昨年に引き続き、VJ mitchelが参加。前回よりグレードアップしたという機材を用い、より緻密かつ鮮やかな映像で観客を魅了した。
トークコーナーにはこのイベントの企画者である郡山市鯉係前係長・小林宇志氏が進行役として登場。イベントタイトルにもある「ベンガル料理」の特徴を聞かれた石濱は「インドのベンガル地方では川魚をよく食べます。特に鯉は食卓に3日連続で並んでも誰も文句を言わないほど一般的」と、鯉が常食されていると語る。一方、郡山は鯉の養殖高が日本一でも消費が少ないという。そのことについてU-zhaanは、消費者の身近で販売されていないことが問題だと言及。イベントの第1回で客席に「自宅で鯉料理を作ったことがある人」と質問した際には0人だったと振り返るが、「あれから2年も経ったから増えているかもしれない」と同じ質問をしたところ数名の手が上がった。石濱とU-zhaanはこのイベントと連動した鯉カレーを手軽に作れる冷凍ミールキットも手がけており、昨年は地元小学校の家庭科の授業で石濱のレシピを使った鯉カレーを作るカリキュラムがあったほど。「ほら! だいぶ増えてきたじゃないですか」とPR効果を実感して喜んだ。
トークコーナーのあとは石濱とU-zhaanが2曲目の演目として、インドの舟歌がベースとなっているゆったりとした曲調の古典音楽を披露。さらにアンコールでは北国・郡山に合わせて細川たかし「北酒場」のカバーに初挑戦し、会場を大いに盛り上げた。
なおU-zhaanは3月2日24:55から福島中央テレビで放送される音楽番組「二畳半レコード」にゲスト出演する。
福島中央テレビ「二畳半レコード」
2024年3月2日(土)24:55~25:10