本日2月26日に行われた映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」の完成披露試写会に幾田りらとあのが登壇した。
“イソベやん”の中から
3月22日に前章、4月19日に後章が公開される映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」は浅野いにおの同名マンガを原作とするアニメーション作品。上空に巨大な宇宙船“母艦”が突如襲来した異常な世界で、日々の生活を謳歌する少女たちの姿が描かれる。幾田は主人公の小山門出、あのは“おんたん”こと中川凰蘭の声優を務め、2人で主題歌も担当している。
舞台上で“母艦”の1000分の1オブジェが大きな存在感を放つ中、幾田とあのは作中に登場する国民的マンガ作品のキャラクター・イソベやんをエスコートしながら試写会に登場。幾田とあのが挨拶したのち、イソベやんがモゾモゾと動き出したかと思えば、原作者の浅野も中から現れ、会場にどよめきを起こした。
幾田りら「相性がすごくいいなと思いました」
原作マンガの感想を聞かれた幾田は「まず浅野先生の絵力がすごくて。裏の裏の感情くらいまで出ているような表情だったり、こういう母艦の細かいディテールの迫力にすごくやられて。とにかくどんどんどんどん世界にのめり込んでいってしまう、そんな作品でした」と絶賛。あのも「門出とおんたんのほのぼのとした生活だったり、絵のタッチの柔らかさとは反して、ストーリーの鋭さとかいきなりくるリアルや絶望がクセになってどハマりしました」と語る。
本作で声優に初挑戦したあのは「詳しいことはわからないし、勉強してたとかは1mmもないんですけど、声が特徴があると言われることが多くて、なんとなく興味があったので、お話をいただけてよかったです」とコメント。「しかも大好きな原作のってことですしね」と司会に話を振られると「うん」と自然体で答え、会場に笑いを起こす。あのはおんたんについて「幼少期の頃と声の使い分けを意識しつつ、テンションが高いキャラクターでもあるので、ただうるさいだけにならないように抑揚とか発声の仕方は意識しました」と語り、「いろんな感情が入り混じるキャラクターなので、そこを汲み取りながら」と付け加えた。
一方、「私の演じる門出がそのまま“みんなの門出になるからそのままやってください”と言ってくださったので、その言葉を信じてしっかり臨もうという感じでした」と語った幾田。門出というキャラクターについて「周りの環境とか家族であったり、好きな人であったり、おんたんであったり、それぞれに接し方が違ったり、心の中で思ってることがあるんだけども、口に出したときに別の言葉になったり、裏に本当の感情が見える」ようなキャラクターだと分析し、「そういうしゃべり方を探していくのが難しかったんですけど、自分なりに向き合って声を入れさせてもらいました」と語った。
初めて2人で録音したシーンは喧嘩をするシーンだったとのことで、幾田は「実際に取っ組み合いをして、セリフだけじゃなくて、殴ったり殴られたりみたいな台本にはない音を入れるところがすごく難しくて」と回想。「満を持してみたいな空気で、本当にドキドキしながらだったけど、うまくいった感じがあります」とあのが手応えを明かすと、幾田も「お互い音楽をやってるから、間合いとかの相性がすごくいいなと思いました」と頷いた。
あの「“ワル幾田りら”を引き出した」
映画の前章の主題歌はano feat. 幾田りらによる「絶絶絶絶対聖域」、後章の主題歌は幾田りら feat. anoによる「青春謳歌」となることが発表されている。あのは作曲をTK from 凛として時雨が手がけ、フィーチャリングゲストとして幾田を迎えた「絶絶絶絶対聖域」について「普段のアーティスト活動では、聴けないような歌声だったりワードを(幾田から)聞きたいなと。僕は普段シャウトとかデスボイスを使うのが好きで、それを幾田りらにやらせたい!と思って。“ワル幾田りら”を引き出しました」と語り、自身が書いた歌詞については「いつも真剣なんですけど、今までにないくらい真剣に、寝る時間を削って白目剥きながら書いたのですごく思い入れがあります」とコメント。この曲で幾田はTKに直接シャウトを教えてもらったという。
一方、幾田は自身が作詞作曲した後章の主題歌「青春謳歌」について「原作のマンガを読み終えたときに、ここでどんな音楽がここで流れてきてほしいかをすごく考えて、2人のくだらない日常の会話が聞こえてくるような曲が絶対欲しいと思った」と説明。ゲスト参加したあのは「自分の楽曲にはないような感じだったり、すごく日常にフィットするというか、いつ聞いても心地いいメロディだったので、家でも口ずさんじゃってます。歌ってても楽しいし、すごく素敵な曲です」と楽曲について語った。この曲には2人が音楽番組の収録の合間などに録音した実際の会話も使用されているとのことだ。
浅野いにお「お二人、紅白出てるんですよ?」
自身の作品が初めてアニメ化されるにあたり、キャスティングやオーディションにすべて参加したという浅野。「キャラクター的に難しいだろう、おんたんのオーディションから始まったんですけど、あのちゃんにテストしてもらったときに現場の雰囲気が一変する感じがあったので、僕の中ではその段階で確定だった」と振り返り、「そのあと普通の女の子である門出の人選は難しくないのかなと思ったんですけど、普通でありながら、あのちゃんの横に並んでバランスがいい人って誰なのか?ということで暗礁に乗り上げたんです」と明かす。その後、プロデューサーに幾田を提案されたという浅野は「実際言われてみると、この組み合わせ以上のものはない。この絵面を見てもわかると思うんですけどバッチリなんですよ。“原作者がどうしてもと懇願してます”という申し添えを付けて快諾していただいた」と太鼓判を押した。
浅野はここ数年でさらに知名度を増した主演の2人について「お二人、紅白出てるんですよ? 最初にあのちゃんのオーディションがあったときはここまで有名になるとは思わなかった。幾田さんも決まったあとにYOASOBIの曲があんなに有名になって。すごいと思いませんか?」と率直な思いを吐露。「同じ業種の人たちにどうやったらこんなキャスティングができると聞かれるらしいんですけど、巡り合いというかたまたまなんですよ」と感慨深げに語った。
そして最後の挨拶で浅野は、本作が実は制作の途上にあり、公開までにまだまだ作業が必要であることを告白し、アニメ化は本当に大変な取り組みであることを熱弁。「主演のお二人、あのちゃんといくらちゃん……いや幾田さんは本当にかけねなく素晴らしい演技をしてくださいました。アニメーション『デデデデ』にとってお二人は絶対の存在なんだなと思いました」と語りつつ、「マンガ原作の映像化というのは本当にいろいろなことがありますが、これは“お祭り”ですからどうか皆さん楽しんで帰ってください」と観客に呼びかけた。