アニメ映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」の公開記念舞台挨拶が本日3月23日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、主演を務めた幾田りら、あの、アニメーションディレクターの黒川智之が登壇した。
浅野いにおのマンガをもとにした本作は、東京上空に巨大な宇宙船が突如襲来した世界を舞台にした“ディストピア青春日常譚”。絶望的に思えた異常事態が次第に日常へ溶け込んでいく中で、日々の青春を謳歌する少女たちの姿が描かれる。今作で幾田は小山門出、あのは“おんたん”こと中川凰蘭の声優を担当した。
幾田とあのの役柄に関して「声色はお任せ」だったというが、幾田は「ここはどういう背景でセリフを言っているのか?は監督をはじめスタッフの皆さんと、どのシーンでも必ず相談していて。ちょっとしたニュアンスを微調整しながら、助けていただきました」とアフレコを回想。あのも「以下同文……」と話して幾田に同意しつつ、「基本的には自由に任せてくださって、すごくやりやすかった。右も左もわからない状態だったけど、自分なりの中川凰蘭を吹き込む気持ちで胸を張ってました」と振り返った。
幾田とあのの声について、黒川は「この作品において、お二方以外はあり得ない。最初の収録の第一声から完成されていた印象でした。アフレコを重ねていくに従って、ドラマも展開して、役と芝居がシンクロしていく。奇跡が生まれる瞬間を目撃するような、毎回そういう感動にあふれたアフレコだったと思います」と絶賛。中でもお気に入りは、門出とおんたんが取っ組み合いのケンカをする場面だという。このシーンは黒川の希望で幾田とあのが同時に収録に参加し、黒川が信頼するアニメーターが2人の声に合わせる形で作画をしたそうで、黒川は「いわゆるプレスコというやり方です。とても力を入れていて。あそこの絵のお芝居は幾田さんとあのさんの声の芝居から出てきた取っ組み合い。前章の中でも一番好きなシーンです」と熱弁した。
このシーンについて幾田は「満を持してという感じで。殴ったり蹴ったりのシーンなんですが、手を振りかざすときの呼吸とか、2人とも音楽をやっているからなのか、意外と最初からうまくできて」と述懐する。あのも「ちょっと緊張感もあった中、相手が幾田さんだからうまくできた感覚。リズム感やタイミングは『せーの』でやっても合わないときもあるのに、呼吸、フィーリングがうまくいってうれしかった」と同意し、幾田は「ケンカしてるけど楽しかったよね」とほほえみかけた。
最後にあのは「初めて声優をしましたが、この何年か、自分の声が『邪魔だな』というか、何を言っても何をしても、声への批判が多かったり『気持ち悪い』と言われたりして、かわいそうだなと思っていた」と、自分の声に抱いていた思いを吐露。「今回、声で選んでもらって。こうやって声で人の人生、ストーリーを描くことができて。『声がいいね』という反響を聞いて。初めて自分の声を褒めてあげられる。僕自身もすごく救われた。本当にこういう機会をいただけて光栄です」と語った。そして幾田は「後章も“めちゃくちゃクソヤバい”展開になっているので、皆さんの中で熱くなっているものを再来月まで持ち続けていただいて、これからも一緒に楽しんでいけたら」と呼びかけ、舞台挨拶を締めくくった。
「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」は全国で公開中。後章は5月24日に封切られる。
(c)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee