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Number_iが盆栽にたとえて歌ったファンへの思い / 椎名林檎はPerfumeのっちの本気が観たい!

再生数急上昇ソング定点観測
6か月前2024年06月07日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで5月24日から5月30日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および急上昇ランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、トップ100に24本もの動画が初登場。18位にNewJeansの「How Sweet」、31位にTREASUREの「KING KONG」、34位にaespaの「Armageddon」、36位にSEVENTEENの「Cheers to youth」とK-POPの話題曲が4曲ランキング入りする結果となった。なおNewJeans「How Sweet」はCoke STUDIOセッションの動画も46位にランクインしている。

10位には米津玄師の「毎日」が初登場。毎日同じことの繰り返しで、フラストレーションが溜まる様を「意味がない? くだらない? それはもうダサい? 無駄でしかたない? グダグダグダグダグダ わかってんだクソボケナス これが僕の毎日」とストレートに表現している歌詞が話題になっている。

22位にはKing & Princeの「moooove!!」がランクインした。YouTubeのコメント欄では、STARTO ENTERTAINMENTに所属する14組のアーティストが集結したイベント「WE ARE! Let's get the party STARTO!!」で彼らのファンになったという人々が絶賛コメントを書き込んでいるのが目立ち、新たにキンプリ担を拡大していることがわかる。

30位は5月27日放送のフジテレビ系ドラマ「366日」第8話にてオンエアされた、HYの「366日 feat. 長田庄平(チョコレートプラネット)」。長田のまっすぐ歌う姿やハモリのうまさに魅了された視聴者が多かった。

37位には、ずっと真夜中でいいのに。による映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」の主題歌「嘘じゃない」がランクイン。登場人物・ツムギの名前にかけて「紡いでゆく発明」というフレーズがあったりと映画に寄せた面もある一方で、「空想のずる休み 身動きとれない 不登校な日常は」という、新曲を発表するまでの約1年間を想起させる歌詞があったりと、ずとまよの活動とリンクする部分も多い。

稀に見るほどたくさんの新曲がランキングに入り、さまざまなジャンルの曲が並んだ今週は下記の3曲をピックアップ。

Number_i「BON」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場1位

3月1日週から12週連続1位だったCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」とアニメ「マッシュル-MASHLE-」のコラボMVを抜いて初登場1位になったのが、5月27日に公開されたNumber_iの新曲「BON」のMVだ。この曲は同日にリリースされたミニアルバム「No.O -ring-」のリードトラック。Number_i はデビュー曲「GOAT」のMVが公開から3日足らずで1000万再生を突破し、日本人男性アーティストのMVとして最速記録となったが、今回「BON」にてわずか1日半で1000万再生の最速記録を更新した。

「BON」は“盆栽”をモチーフにした楽曲で、歌詞にもメロディにも和のテイストが強く盛り込まれている。Number_iは5月26日にInstagram公式アカウントでライブ配信を実施した際、視聴者から「BON」についての質問を募集。この曲のプロデュースを担当した平野紫耀は、リリックの中にメンバー3人の名前を隠していることを明かした。また、質問が多く寄せられた曲中の「針金」という言葉について「盆栽は針金を巻いて自分好みの形にしていくんですけど、一番いい形をファンの皆さんと自分たちで一緒に作り上げていくという意味を込めて『君 Like a 針金』という歌詞にしました」と解説。盆栽である自分たちが成長していく際に、ファンが針金となって巻き付いて一緒に成長することで、Number_iは最高にカッコよくなれるという意味なのだ。

MVについては、今回も3人のスキルフルなダンスに魅了されるのはもちろんのこと、とにかく随所に遊び心が感じられる。2分50秒で唐突に映像のテイストが変わり、団地の広場でメンバーが子供たちに紙芝居を披露するというシュールな展開に。ラストに2010年頃にネットミームになった「チャリで来た」のプリクラのポーズをしたり、ザ・ドリフターズのたらい落としのパロディをしたりと、小ネタが満載だ。51秒のシーンで映る、SNSで話題となったミツバチの格好をして走るおじさんのオマージュに思わず笑ってしまう。

さらに1分45秒からはフィギュアになった3人が登場し、筋斗雲のような黄色い雲に乗ったり、桃白白のようにピンクの柱に乗ったりして空を飛ぶという、「ドラゴンボール」を思わせる場面もある。これに関しては、3月に亡くなった鳥山明の追悼という意味だけでなく、以前から世界的にラッパーの間で「ドラゴンボール」ネタを盛り込むのが流行っていることも意識しているのかもしれない。

ちなみに「BON」が収録されているミニアルバム「No.O -ring-」は、メンバー3人が曲ごとにプロデュースを手がけており、神宮寺勇太プロデュースの「SQUARE_ONE」はPUNPEEが楽曲提供したことでも話題になっている。平野はこのミニアルバムについて「曲から入って自分たちにたどり着いてほしい」と話しているので、こちらもぜひチェックいただきたい。

椎名林檎とのっち「初KO勝ち」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場24位

5月27日、椎名林檎が“7人の歌姫”たちと共演したアルバム「放生会」をわずか2日後にリリースすると発表し、そのうち6曲のMVを翌28日にYouTubeにて連続で公開した。その中の1曲がのっち(Perfume)をゲストボーカルに迎えた「初KO勝ち」だ。これまでPerfumeのメンバーがソロでボーカリストとして活動したことはなく、「初KO勝ち」はPerfumeの楽曲とは曲調や歌い方、ボーカルのエフェクトなどがまったく違うこともあり「のっちってこんな歌い方もできるのか」と話題になっている。

20年前からのっちにラブコールを送っていたものの、これまで共演が実現しなかったという椎名は、このアルバムに参加してもらうため、「多くの人が思っている印象とは違った一面をもつ、自分の中で考えているのっち」というイメージで先に曲を書いてからオファーをしたという。2人で歌うことを前提に当て書きされたこの曲には、歌詞の中にのっちの出身地の広島弁「見舞ったんさい」「認めざるを得んのう」、椎名の出身地の博多弁「ばってん」といった方言が盛り込まれている。6月3日、TBS系音楽番組「CDTV ライブ! ライブ!」に2人が出演した際に椎名は、広島弁で歌うのっちの歌い方について「西の方言を歌うときに今までとは違った響き方がして、極道感というか呉の港が見えました」とコメントした。

この曲の歌詞がのっちをイメージして書かれたことは随所で感じることができ、例えば「会心の一撃」というフレーズは、「のっちはRPGが好き」というファンにはおなじみのエピソードからきていそうだ。曲名の意味については、「初KO勝ち」つまり「初ノックアウト勝ち」、略して「初のっち」なのでは、という面白い考察をしている人もいた。

終盤にのっちが叫ぶ「本気が観たい!まだ自分を解き放てる」というリリックについて、椎名がのっちに対して「まだ見せてないところをもっと見せてほしい」と発破をかけるメッセージなのではないか?という説を、この曲を聴いたリスナーの多くが唱えている。歌い手として一流でありながら、プロデュースの天才でもある椎名林檎と、自分を解き放って、今までに見せなかった表現方法をもってその期待に120%で応えたのっち。「初KO勝ち」という曲は、そんな2人でなければ決して生まれることはなかったはずだ。

BABYMETAL & Electric Callboy「RATATATA」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場60位

「RATATATA」はBABYMETALと、ドイツのエレクトロコアバンド・Electric Callboyのコラボ曲。リリース直後の5月25、26日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催されたBABYMETAL主催フェス「FOX_FEST」で初披露され、2日合わせて3万人の観客を沸かせた。

最近は「Light and Darkness」や「METAL KINGDOM」など、ダークでカッコいい路線だったBABYMETALが、「RATATATA」ではクラブで流れるようなキャッチーなダンストラックの上でかわいく笑顔で歌っている。初期のBABYMETALのような雰囲気の曲を、今の3人が楽しそうに歌う姿は、多くのファンから歓迎をもって受け入れられている。ちなみにMVの中で壁を壊して隣の部屋からやってくるシーンは、今回のような異ジャンルコラボで話題になった1986年リリースのRun DMC×Aerosmith「Walk This Way」のMVのオマージュに感じられる。

YouTubeのコメント欄では「公開後たった9日で9カ月前にアップされた『メタり!』の閲覧数を超えた!」「ベビメタ史上最速での1000万回再生となりそう。つまり『ギミチョコ!!』に優る代表曲になるだろう!」などの声が挙がっており、実際に今までにない勢いで再生数を伸ばしている。ドイツではYouTubeミュージックビデオランキング、楽曲ランキングともに3位と大ヒット中だ。世界中で今後「RATATATA」がどれほどの注目を浴びるのか期待したい。

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