レゲエサウンドクルー・LIFESTYLEが主催する「能登半島復興 Charity Event」が7月3日に石川・DOUBLE KANAZAWAで開催された。
LIFESTYLEはKOHEY、TAIKI、YUTAの3人編成で活動するクルー。地元・奈良とレゲエ激戦区・大阪アメ村を拠点に2009年から活動を続けており、2017年からは同世代のアーティストを集結させた“ワヤフェス”こと「WAH YAH FESTIVAL」を不定期で開催している。
不条理な現実と戦うレゲエのメッセージ性にかねてより共感し、これまでも災害復興支援や地域おこしの活動に関わってきたフロントマンのKOHEYは、今年1月1日に能登半島地震が発生すると、震災発生直後から炊き出しなどのボランティア活動に率先して取り組んできた。そんな彼が「レゲエであればこそできること」を自問自答する中で開催に至ったのが今回の「能登半島復興 Charity Event」だ。イベントに先立つ6月には、KOHEYの思いに共鳴した幅広い世代のレゲエアーティストが集結した楽曲「HINOMARU REVIVAL」が発表され、ミュージックビデオも公開された。
それぞれの復興への思いをぶつけ合ったサウンドセッション
入場料無料で開催され、エントランスには募金箱が設置された本公演。16:00開場、22:00終演のデイイベント形式であったことから、会場には長年のレゲエ好きと思しき中高年から2~30代、学校帰りの高校生や親子連れまで多数のレゲエ好きが集結した。会場のキャパシティから入場は500名限定とされていたが、可能な限り多くの人にイベントを楽しんでほしいという主催側の意思により、終盤には800名を超える人数が鮨詰めに。熱気のあまり空調が効かなくなる場面もあり、ある出演者は観客に「今日の日本で、ここが一番ヤバい場所だよな!?」と語りかけた。
イベント開始から20:00ごろまでは、9組のサウンドがそれぞれ20分の時間を使い、力のこもったMCを交えながら録り溜めた秘蔵のダブプレートを披露。出演サウンドの内訳は関西からLIFESTYLE含む4組、東北から1組、東関東から1組、石川から3組で、図らずも阪神・淡路大震災、東日本大震災、そして能登半島地震と大きな震災を経験した地域のサウンドが集結するという図式となった。
ジャパニーズレゲエ / ヒップホップのオールスターが集結
約3時間のサウンドセッションを経ても、なおあり余る観客のエネルギーを受け止めるのは、「HINOMAL REVIVAL」参加者を含む総勢15組のアーティストたちだ。まずはLIFESTYLEもプロデュースに参加する新世代シンガーソングライター808(ヤオヤ)によるショーケース。ピンク色の髪をなびかせ、若手らしからぬパフォーマンスで会場を盛り上げた。続いては関西出身の5人のディージェイによるラバダブセッション。POWER WAVE、一景という若手をRAY、APOLLO、寿君の3人が力強く引っ張るような構図で、APOLLOとRAYはスキルフルな早口スタイルの掛け合いを繰り広げた。ヒップホップシーンからはKOHEYの盟友であるジャパニーズマゲニーズが出演し、VIGORMANやCHEHONも登場。ショーの合間に孫GONGは石川県民を励ます言葉をかけ、音楽でつながる仲間達との連帯を言葉とパフォーマンスで示した。
クライマックスへと向かう復興祈念の宴の先陣を切ったのは、昨年凱旋ツアーを成功させた若手ディージェイの筆頭株にして、“ネオトキワムーヴメント”立ち上げ人のZENDAMAN。石川で過去から同名の「ゼンダマン」を名乗り活動する人物をステージに招待し、得意とする90年代ダンスホールスタイルでそのスキルを披露した。その後は2000年以降の日本のレゲエシーンを牽引してきたRYO the SKYWALKER、JUMBO MAATCH、CORN HEAD、NATURAL WEAPON、RUEEDが雪崩れこむようにマイクを回し、CHEHONとVIGORMANも再登場。ラストは「HINOMAL REVIVAL」参加アーティスト全員に加え、KOHEYもステージに立ち、大団円を迎えた。
なおイベントの最後には「HINOMAL REVIVAL」のヒップホップリミックスの制作がKOHEYから発表された。レゲエとヒップホップの架け橋となりながら次世代のストリートカルチャーのあり方を模索するLIFESTYLEの活躍に今後も注目だ。