銀杏BOYZが47都道府県ツアー「世界ツアー弾き語り23-24 ボーイ・ミーツ・ガール Boi Meets Girrrl」の最終公演を7月12日に東京・浅草公会堂で開催した。
銀杏BOYZが峯田和伸の弾き語りと岡山健二(Dr)、加藤綾太(G)を迎えた特別編成でライブを展開した本ツアー。各公演には大木温之(ピーズ)、友部正人、ホフディラン、ホリエアツシ(ストレイテナー)などのゲストが出演し、最終公演にはTOMOVSKYが出演した。
TOMOVSKY
TOMOVSKYは右足でバスドラムを踏みながら、エレキギターで弾き語りを披露。レゲエアレンジで「脳」を演奏し、「58歳になってました!」と口にしたかと思えば「うたうごじゅうはっさーい!」と節を付けながら歌う。自由奔放なステージに観客が笑みを浮かべる中、TOMOVSKYの現住居の初めての来客が峯田であったことを告げる曲「ミネタ君がこの部屋の最初のお客様」がスタート。同曲は約15秒で終了し、続けて「部屋にいすぎだ」が届けられた。
「夜中、一度、風が、止まる」で海と陸という壮大なテーマが歌われたのち、「大事な2曲を飛ばしていた!」と口にするTOMOVSKY。童謡「かえるのうた」のメロディに乗せた「日本酒雨割り」、井上陽水「少年時代」のメロディに乗せた「夏のアリは早歩き」が続けて披露され、TOMOVSKYの哀愁漂う口笛が場内にこだました。
四つ打ちのバスドラムに乗せて届けられたのは「SKIP」。曲が進むにつれて演奏は徐々に熱を帯びていき、それに呼応するように観客の手拍子が大きくなっていく。「我に返るスキマを埋めろ」では弾き語りとバスドラムのみとは思えない抜群のグルーヴが生み出され、しゃがれた歌声が観客の情緒を揺さぶる。サビでおなじみの掛け合いが繰り広げられたのち、最後に再び「うたうごじゅうはっさーい!」と歌うTOMOVSKY。持ち時間ぴったり、40分で彼はステージをあとにした。
銀杏BOYZ
アコースティックギターを弾きながら、開始早々声を張り上げていく峯田。「シベリア鉄道乗り換え、浅草駅で降ります」と歌詞を替えて「新訳 銀河鉄道の夜」が歌われる。「この会場には、学校に行けない高校生や、引きこもりや、優等生や、学校の先生や、看護師や、サラリーマンや、バツイチや、いろんな人がいます。1人ひとり、どうか今日だけは楽しんで帰ってください!」と告げられたのち、「NO FUTURE NO CRY」が演奏された。
「夢の中でいいから出て来いと思うけど、全然出てきてくれないの、イノマー(猪股昌也)は。でも今日、このへんにいるんじゃないかな。お祝いで」と語り、客席の隅のほうに目をやる峯田。「夢で逢えたら」が始まり、優しくもあり、切なくもあるアコースティックギターの音色に、ハーモニカの音が重なっていく。サビでは観客の大合唱が巻き起こり、峯田は「“曲はまるで自分の子供のようだ”ってよく聞くけど、自分はまだ独身で、子供もいないので、全然わかんないんです。でも子供のような気もする、なんとなく。『夢で逢えたら』も僕の子供のうちの1人だとしたら、拍手してもらって、一緒に歌ってもらって、すっげえ喜んでると思う! どうもありがとう、かわいがってくれて」とうれしそうな表情を浮かべた。
峯田がTOMOVSKYを知ったのは小学6年生のとき。彼は「子供でもねえし、大人でもねえみたいな時期に出会って。カステラ(TOMOVSKYが在籍していたバンド)の歌は、ちょうど僕の気持ちとぴったりでした。今も変わらずTOMOVSKYとして、何十枚もアルバムを出してるって、カッコいいですよね。子供のときにカッコよかった人って、やっぱり今でもカッコいいですよね」とTOMOVSKYへの憧れを語った。
6本の弦がすべて切れてもおかしくないほどの力でギターをかき鳴らす峯田。「エンジェルベイビー」が観客の感情を昂らせたのち、「恋は永遠」では天高く届くような、優しい歌声が響き渡った。The Beatles「She Loves You」の一節を歌った峯田は、そのままの勢いで「いちごの唄」を披露。コール&レスポンスが繰り広げられ、観客の声もまた優しく響いた。「二回戦」が始まると、加藤と岡山がステージに登場。ギターボーカル、リードギター、ドラムという3人編成になって、ライブが続いていく。
バックスクリーンに真っ赤な夕焼けが映り、「ぽあだむ」で加藤のカッティングギターが炸裂。「健二くん、この歌、うちの母ちゃんが大好きだから大事に歌ってな」という峯田の言葉で「骨」が始まると、岡山が少年のような儚い声で主旋律を歌う。3人が轟音を鳴らし、岡山が立ち上がってシンバルを叩いたのは「光」。場内のボルテージが急上昇する中、峯田は「どんな世の中になろうが、音楽さえあれば楽しく生きていられるわ。どんな家で生まれようが、貧乏だろうが、金持ちだろうが、親が何してようが、音楽が好きだったらいつだってここで集まれる。また新しいアルバム出して、また全国ツアーするから!」と観客を鼓舞する。3人は圧倒的な無敵感を帯びながら「少年少女」「BABY BABY」を立て続けに披露する。いつの間にか立ち上がり、大歓声を上げる観客。歪んだエレキギターと力強いスネアが轟き、もはや“弾き語り”ではない豪華なライブが展開された。
アンコールに応えてステージに戻ってきた峯田は「なんとなく僕たちは大人になるんだ」を歌唱。アコースティックギターの音色と観客の温かい手拍子が混ざり合った。色とりどりのライトが目まぐるしくフロアを駆け巡る中、最後には再び加藤と岡山が加わり「DO YOU LIKE ME」が演奏される。曲が終わると同時に、「僕たちは世界を変えることができない!」と口にする峯田。手に持っていたマイクを地面に投げ捨て、彼はそのままステージをあとにした。
セットリスト
銀杏BOYZ「世界ツアー弾き語り23-24 ボーイ・ミーツ・ガール Boi Meets Girrrl」2024年7月12日 浅草公会堂
TOMOVSKY
01. 脳
02. 干支が一緒58歳
03. ミネタ君がこの部屋の最初のお客様
04. 部屋にいすぎだ
05. 目をとじるな
06. 夜中、一度、風が、止まる
07. 日本酒雨割り
08. 夏のアリは早歩き
09. SKIP
10. ひとりに戻るんだ
11. 我に返るスキマを埋めろ
銀杏BOYZ
01. 新訳 銀河鉄道の夜
02. NO FUTURE NO CRY
03. 若者たち
04. 夢で逢えたら
05. 漂流教室
06. エンジェルベイビー
07. 恋は永遠
08. いちごの唄
09. 朝立ち
10. 二回戦
11. もしも君が泣くならば
12. ぽあだむ
13. ナイトライダー
14. FRIENDS(ENDLESS SUMMER)
15. 骨
16. GOD SAVE THE わーるど
17. 光
18. 少年少女
19. BABY BABY
20. 僕たちは世界を変えることができない
<アンコール>
21. なんとなく僕たちは大人になるんだ
22. DO YOU LIKE ME