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Corneliusのこれまでをセトリで表現、まさかの初期曲も飛び出した30周年アニバーサリーライブ

「Cornelius 30th Anniversary Set」東京・東京ガーデンシアター公演の様子。(撮影:濱田英明)
3か月前2024年07月13日 12:06

Corneliusのワンマンライブ「Cornelius 30th Anniversary Set」が、7月7日に東京・東京ガーデンシアター、本日13日に京都・ロームシアター京都で開催された。

フリッパーズ・ギターの解散から約2年経った1993年9月に、小山田圭吾のソロユニットとして始動し、初の音源となるシングル「THE SUN IS MY ENEMY 太陽は僕の敵」をリリースしたCornelius。その後も年代ごとに変化しながら独自のサウンドを追求し続け、国内外のさまざまなアーティストに多大な影響を与えてきた。今回のライブはそんなCorneliusの活動が30周年を迎えたことを記念して企画されたもの。公演前にリリースされたばかりの新曲から、最近ではセットリストに入ることのなくなった初期の曲まで、キャリアを総括するあらゆる曲が披露された。このライブでは初日の東京ガーデンシアター公演の模様をレポートする。

Corneliusのあらゆる側面をアピールする30周年のステージ

オープニングはおなじみの「MIC CHECK」。ステージ前に吊られた幕に、オシロスコープの波形のような緑の線で描かれたアニメーションが流れていく。堀江博久(Key, G / Neil and Iraiza)、あらきゆうこ(Dr / MI-GU、SMORGAS)、大野由美子(B, Key / Buffalo Daughter)、そして小山田のシルエットが投影されたのと同時に、幕に映ったのはこれまでにCorneliusが発表してきたたくさんの作品のジャケット。ライブの開演を待ちわびたファンから歓声が沸く中、来場者に向けた「Thankful To Be Here」というメッセージが大きく映し出された。

そして幕が振り落とされて4人が姿を現し、「火花」でライブがスタート。映像やライティングと一体化した緻密なパフォーマンスにより、広大なホール空間が一瞬にして別世界に変わる。その後もバンドは、「Point Of View Point」や「Audio Architecture」で長年追求し続けてきた映像と生演奏のシンクロというアプローチを見せたり、「サウナ好きすぎ、より深く」「Too Pure」でアンビエント色の強い最近のモードを見せたりと、Corneliusのあらゆる側面をアピール。「Another View Point」のパフォーマンス中には小山田の過去映像が上映され、オーディエンスは貴重なシーンを懐かしみながら、迫力ある演奏を楽しんでいた。

意外な選曲に客席から驚きの声が

「Count Five or Six」「Helix / Spiral」を経て披露されたのは、ライブ2日前に配信リリースされたばかりの「MIND TRAIN」。Neu!を思い起こさせるような、スペーシーで酩酊感に満ちたサウンドとビートが、観客を9分間のトリップに誘う。続く「霧中夢 - Dream In The Mist」ではメンバーを覆い隠すように大量のスモークがステージ上に充満。演奏する4人の姿が見えないまま、サーチライトのように客席を照らすいくつもの光の筋や、強烈に明滅するストロボなどの照明演出が不思議な世界を作り出し、オーディエンスはその一部始終を固唾をのんで見つめていた。

「蜃気楼」を演奏し終えた4人が少し間をおいて奏で始めたのは、アニメ映画「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」のエンディングテーマである青葉市子とCorneliusのコラボ曲「外は戦場だよ」。メンバーの影を印象的に使う、これまでとは一風違ったシンプルな照明演出の中で、大野由美子がメインボーカルとなって優しく伸びやかに歌い、意外な選曲に客席から驚きの声が上がる。

高橋幸宏の存在感が会場を感傷で満たす

「Wataridori」で再びオーディエンスをチルアウトさせ、いよいよライブは終盤に。近年のCorneliusのライブでは基本的に3rdアルバム「FANTASMA」以降の曲でセットリストが構成されているが、ここで披露されたのは2ndアルバム「69/96」に収録された「Brand New Season」。かつて小山田はこの曲をライブで歌う際に、間奏で観客の中から1人をステージに上げて、一緒にテルミンでエルヴィス・プレスリー「Love Me Tender」を演奏することが定番になっていたが、この日は彼1人でテルミンを披露した。

30年間の歴史を振り返る内容であったのと同時に、全編にわたってギタリストとしての小山田の魅力をたっぷり味わえたこの日のライブ。空気を切り裂くようなギターソロを響かせた「いつか / どこか」など、トリッキーなフレーズは爆音でオーディエンスを圧倒する場面も多く見られた。終盤に披露された「Turn Turn」は、高橋幸宏と細野晴臣のユニット・SKETCH SHOWのカバー。かつて小山田はMETAFIVEとしてこの曲をライブでカバーしたことがあるが、この日はCorneliusバージョンとして再構築したものが観客に届けられた。さらに続けて彼らは、小山田が作詞作曲を担当したMETAFIVEの曲「環境と心理」もパフォーマンス。CorneliusだけでなくMETAFIVEでの小山田の活動も振り返ったこれら2曲は、昨年亡くなった高橋幸宏の存在感を聴く者に否応なく感じさせ、広いホール内を感傷で満たした。

まさかの1stアルバム収録曲連発にオーディエンス興奮

そんな流れの中で「STAR FRUITS SURF RIDER」がスタートすると、天井から吊られた大きなミラーボールが光を放ち、会場は幻想的な雰囲気に。最後に小山田がアコースティックギターに持ち替えて、来場者に別れを告げるように「THANK YOU FOR THE MUSIC」を歌い始め、幸せな空気がホールの隅々まで広がっていった。しかしライブはここで終わらない。「THANK YOU FOR THE MUSIC」のアウトロで、小山田は90年代に愛用していたフライングVに持ち替え、バンドはCorneliusの1stシングル「THE SUN IS MY ENEMY 太陽は僕の敵」のイントロを演奏。Corneliusの原点でありながら近年は演奏されることがなかったため、予想外の出来事にこの日一番の大歓声が沸き起こった。この曲はイントロで終わり、そのまま2ndシングル「PERFECT RAINBOW」に突入。さらに「(YOU CAN'T ALWAYS GET)WHAT YOU WANT」「THEME FROM THE FIRST QUESTION AWARD」と、小山田は1stアルバム「The First Question Award」の収録曲を矢継ぎ早にメドレーで歌いつないでいく。そして再び「THANK YOU FOR THE MUSIC」のアウトロに戻り、ライブ本編は終了。思いがけないエンディングに会場は興奮に包まれた。

アンコール1曲目は「E」。小山田がコールした数字の数だけバンドが楽器をストロークするというくだりで、小山田はマイクスタンドを客席に向けて、観客があちこちで叫ぶ数字を聞きながらその通りに演奏した。これまでのCorneliusのライブでお決まりのように行われてきたこういったコーナーも、この日は30周年記念ということで漏れなく盛り込まれることになった。その後、小山田はこの日初めてのMCとしてメンバー紹介をして「じゃ、30年前の曲をやります」とひと言。ついさっき披露されていた1stアルバム「The First Question Award」の収録曲は短いメドレーのみだったが、ここでは「THE LOVE PARADE」がフルサイズで演奏され、懐かしさに浸るファンの幸せな気持ちが会場を満たしていった。そして最後に小山田は「あなたがいるから」を歌唱。ライブを終え、横並びになって一礼するメンバー4人に向けて、惜しみない拍手が送られた。

セットリスト

「Cornelius 30th Anniversary Set」2024年7月7日 東京ガーデンシアター

01. MIC CHECK
02. 火花
03. Point Of View Point
04. Audio Architecture
05. サウナ好きすぎ、より深く
06. TOO PURE
07. Another View Point
08. Count Five or Six
09. Helix / Spiral
10. MIND TRAIN
11. 霧中夢 - Dream In The Mist
12. 蜃気楼
13. 外は戦場だよ
14. Wataridori
15. Brand New Season
16. いつか / どこか
17. Turn Turn
18. 環境と心理
19. STAR FRUITS SURF RIDER
20. THANK YOU FOR THE MUSIC
<アンコール>
21. E
22. THE LOVE PARADE
23. あなたがいるなら

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