JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイト「ジョイオンプー」LINEスタンプ販売中

DISH//が水やり旅の最後に咲かせた笑顔、鳴らした“現在地”「DISH//で居続けることが正解だった」

DISH//(Photo by Ray Otabe)
3か月前2024年07月16日 12:02

DISH//が7月11日に東京・東京ガーデンシアターで、全国ツアー「DISH// HALL TOUR 2024『GARDEN』」のファイナル公演を行った。

DISH//の水やり旅、最後の1滴

開演時刻を回り東京ガーデンシアターの広いステージの幕が開くと、そこに広がっていたのは霧深い森の奥のような神秘的な光景。客席を埋め尽くす満員のファンの拍手に迎えられ、ボタニカルな装飾が施されたステージの中央へと進んだDISH//の4人は「DAWN」をオープニングナンバーとして届けた。星空の微かな光の中に4人のシルエットのみが浮かび上がるような照明演出は北村匠海(Vo, G)の豊かな歌声と矢部昌暉(Cho, G)、橘柊生(DJ, Key)、泉大智(Dr)の鳴らす音によるバンドアンサンブルを鮮やかに際立たせ、そのスケール感に満ちた演奏をオーディエンスは静かに熱い眼差しで受け止める。荘厳なオープニングを経て「おい東京、ファイナルだぞ! やれるね? いけんのね?」と北村が叫ぶと、照明が明転して「Dreamer Drivers」へ。4人のグッドバイブスな演奏に客席にも晴れやかなムードが広がる中、続く「HAPPY」では北村や橘が熱いシャウトに思いを乗せて聴衆のテンションをさらに引き上げてみせた。

4曲を終え挨拶の時間を取った北村は、全国9カ所11公演を回ってきたこの「GARDEN」というツアーについて「僕たちがバンド活動の中で出会ってきた曲、作ってきた曲に改めて出会い直して、水をやって、曲や時間を育てませんか?というツアーです」と思いを語り「最後の水やり、ラストの1滴。ぜひ最後まで注いであげてください」と観客に語りかけた。その言葉を体現するように、4人は「PM 5:30」「ありのまんまが愛しい君へ」といった楽曲の数々を、“今のDISH//”が鳴らす瑞々しいサウンドでオーディエンスへ届けてゆく。北村がステージの上を彷徨うように歩きながら歌った「君の家しか知らない街で」では、彼の豊かな表現力が凝縮された独白のようなボーカルに、橘のキーボード、矢部のギター、泉のドラムの繊細な音の1粒1粒が優しく寄り添う。流れるように展開した「缶ビール」はグルーヴィなライブアレンジが施され、うねるベースの上で橘が聴かせたラップが楽曲のスパイスとなって響いていた。「everyday life.」では歌詞のシーンに合わせて雨が降り、そして茜空が広がるライティングが美しく楽曲を彩る。「みんなの毎日を僕に肯定させてください」と温かな歌声を届けた北村の思いに応えるように、オーディエンスも大きなシンガロングの声を響かせて大きな一体感を形成した。

僕らはずっとこの気持ちを忘れない

フジテレビ系「めざましテレビ」のテーマソングとしてオンエア中の新曲「朝、月面も笑っている」でポジティブなメッセージを放つと、北村は「朝は誰にでも必ず来るものだから、大丈夫!と、意地張ってでもみんなに言いたかった曲です」と曲に込めた思いを語った。このMCの時間には、DISH//がツアー中にずっと育てていた鉢植えのミニトマトの苗に水をやった北村。ライブ中の“栽培活動”に矢部が「こんなライブある?(笑) いくらツアータイトルが『GARDEN』だからって!」と思わずツッコミを入れてもなお、北村はミニトマトの苗を愛でたりこぼした水をタオルで拭き取ったりと自由で、メンバーから「マイペースだなあ」とつぶやかれていた。

「これからやる曲は僕らが昔、あーでもないこーでもないって……『うまく曲書けないけどなんとかやるか』『お酒でも飲んじゃおうか』『僕カレー作ってきます』『おいしいです』みたいな時間が生み出した曲で。僕らはずっとこの気持ちを忘れないし、ずっとこういう精神でやっていくんだろうなと思います」。そんな北村の言葉とともに「ルーザー」をドロップし、赤裸々で熱い思いを歌と演奏に乗せたDISH//。「No.1」では疾走感に満ちた矢部のギターソロがパフォーマンスの勢いを加速させ、北村は強い眼差しで前を見据えながら聴衆を鼓舞するような歌声を響かせた。そして「This Wonderful World」「いつだってHIGH!」では、バンドのエネルギッシュな演奏にオーディエンスが息ぴったりのシンガロングとクラップで呼応。東京ガーデンシアターの広い空間には、心地良い高揚感と一体感が充満した。

何があってもDISH//で居続けることが正解だった

「全部出し切ってほしいんです。不完全燃焼で帰ってもらうわけにはいかないんですよ!」と北村がさらなる声を求め、橘がコール&レスポンスで会場全体を盛り上げてからは、「Vamping」でラストスパートをかけたDISH//。レーザー光線舞う中で北村と橘が鋭利なラップの応酬を見せてたちまち狂騒の空間を作り上げると、続く「B-BOY」でもラウドに暴れるドラムとギターの上で北村と橘の2MCがハイテンションなフロウを叩きつけた。エキセントリックで没入感に満ちた「星をつかむ者達へ」を経て、「自分が今持ってる感情、なんでもいいから! 僕たちと一緒に爆発させませんか?」と北村が訴え始まった「JUMPer」で会場の熱狂は最高潮に。矢部や橘もステージの左右端まで飛び出してオーディエンスを盛り上げる中、感情を爆発させてともに踊り、歌い叫ぶオーディエンスの声を北村は大きく手を広げて受け止めてみせた。

本編最後の曲を前に、北村は「気が付けば一番上が今年29で僕が27。ずいぶん大人になったなと思います」と切り出す。楽器経験がないまま駆け出したバンドの始まりまで遡った彼は「10代の頃から僕らは沸々と、自分たちで音楽を作りたい、スタッフと話し合いながらものづくりをしたいなと思っていた」と当時の心境を振り返り、そして「今の僕らは曲をイチから作るし、いいライブができたらスタッフさんと乾杯をしてDISH//への愛を語ったりする。気付けば僕らが本当にやりたかったことを、DISH//という場所でやれてるんだなって」と、13年の歩みを経てたどり着いた“現在地”を言葉にした。「続けることが正義。続けることが……何があってもDISH//で居続けることが正解だったと思います。それはみんなのおかげです、ありがとうございます」。そう感謝を伝えた北村は「今この場にいるっていうことは、ライブを観てきた数や時間関係なしに同じ熱量で好きでいてくれているってこと」と、同じ時間を共有するすべての人をまっすぐに等しい視線で見つめ「そんなみんなの明日を願って。明日がまたいい日になるよう、自分に期待して聴いてほしいなと思います」と「Brand new day」を贈った。

「ありがとう」が咲かせた笑顔の花

会場中の熱い「おかわり!」コールを受けてステージに戻り、「万々歳」でアンコールをスタートさせたDISH//。ギターをかき鳴らしながら軽やかなダンスステップを踏む北村と矢部、ショルダーキーボードを抱えステージ中央に飛び出した橘がキャッチーなパフォーマンスで魅せると、「KICK-START」では泉がダイナミックなドラムソロを轟かせてオーディエンスを圧倒した。そして「僕らには! もう1曲新曲があるんですね」という北村の言葉から、バンドはテレビアニメ「逃げ上手の若君」のオープニングテーマとしてオンエア中の新曲「プランA」をここで披露。ボーカルワークやサウンド、随所に差し込まれる合いの手に和のエッセンスを感じる、バンドの新境地を見せるこのアッパーチューンでオーディエンスの心を揺さぶった。

アンコールの3曲を終えると、北村は「今回のツアー、大事なメッセージを伝えたいポイントは全部柊生が作った曲だったから、ここは柊生に任せるって決めてた」と、最後のMCを橘に丸ごと託した。すると橘は「僕、最近自己肯定感がめちゃくちゃ低くて。自分でもなんでだかわからないんだけど」と吐露。想定外の言葉に客席中が静かに耳を傾ける中、彼は「でも、このツアーで助けられた瞬間がすごいあってさ。メンバーもそうだしスラッシャー(DISH//ファンの呼称)もそうだし、今日だってたくさんありました。それがすごく、僕の今の幸せにつながってる。こんな話あまりしないから照れ臭いけど、端から端まで、すべてを余すことなくみんなに伝えます。いつもありがとうございます」と、まっすぐに思いを伝えた。

橘の心からの「ありがとう」を受け取った北村は「いつもいつも ありがとうね」と、ラストナンバー「沈丁花」を歌い始めた。橘が言葉にした感謝、DISH//が歌に乗せた感謝は客席中に笑顔の花を咲かせ、そして会場中の大合唱を巻き起こす。ハートフルで温かなムードの中で曲が締めくくられると、橘は天を仰ぐようにしながら「ありがとう」と小さくつぶやいた。

なお、ライブの最後にはDISH//の新たなアリーナツアーが「DISH// ARENA TOUR 2024-2025」が11月30日、12月1日に東京・有明アリーナで、2025年1月8、9日に大阪・大阪城ホールで行われること、さらにシングル「プランA」が7月14日に先行配信、9月4日にCDリリースされることがメンバーの口から発表された。

セットリスト

DISH// HALL TOUR 2024「GARDEN」2024年7月11日 東京ガーデンシアター

01. DAWN
02. Dreamer Drivers
03. HAPPY
04. FLASH BACK
05. PM 5:30
06. ありのまんまが愛しい君へ
07. 君の家しか知らない街で
08. 缶ビール
09. everyday life.
10. 朝、月面も笑っている
11. ルーザー
12. No.1
13. This Wonderful World
14. いつだってHIGH!
15. Vamping
16. B-BOY
17. 星をつかむ者達へ
18. JUMPer
19. Brand new day
<アンコール>
20. 万々歳
21. KICK-START
22. プランA
23. 沈丁花

DISH// ARENA TOUR 2024-2025

2024年11月30日(土)東京都 有明アリーナ
2024年12月1日(日)東京都 有明アリーナ
2025年1月8日(水)大阪府 大阪城ホール
2025年1月9日(木)大阪府 大阪城ホール

JOYSOUND
JOYSOUND.COMカラオケ歌うならJOYSOUND

関連記事

「世界征服やめた」場面カット (c)「世界征服やめた」製作委員会

北村匠海が脚本・監督の短編映画「世界征服やめた」に萩原利久、藤堂日向、井浦新が出演 予告公開

5日
「COUNTDOWN JAPAN 24/25」ビジュアル

「CDJ」第1弾にUVERworld、Creepy Nuts、星街すいせい、Aqua Timez、ふるっぱー、緑仙ら

11日
SUPER BEAVER

SUPER BEAVERが「金子差入店」主題歌担当、SUPER EIGHT丸山隆平の主演映画

24日
不可思議/wonderboy

北村匠海がポエトリーラッパー不可思議/wonderboyの楽曲を映画化「僕の人生を変えた曲です」

26日
「EIGHT-JAM ゴールデンSP」出演者 (c)テレビ朝日

最強サビ名曲は?「EIGHT-JAM」ゴールデンSPにヒャダイン、あの、なにわ男子・道枝駿佑

28日
左からリョウガ(超特急)、ユーキ(超特急)、橘柊生(DISH//)。

リョウガ×ユーキ×橘柊生の前に現れた緑色の暴れん坊!爆笑の協力プレイに沸いた「ハイドアウト404」

約1か月
映画「金子差入店」出演者第2弾。上段左から川口真奈、北村匠海、村川絵梨、甲本雅裕。下段左から根岸季衣、岸谷五朗、名取裕子。

北村匠海が映画「金子差入店」に出演、罪を犯し拘置所に収容される役

約1か月
「SPOOKY PUMPKIN 2024」タイムテーブル

ピューロのハロウィン企画タイムテーブル発表、キティ&クロミの誕生日カウントダウンも

約1か月
「niko and...」ビジュアル

SuchmosのTAIKING&iriコラボ曲流れる、北村匠海×清原果耶「niko and...」新作ムービー公開

約1か月
DISH//

DISH//、Vaundy、マカえん、サウシー、サバシスター登場の「バズリズムLIVE」DAY4オンエア

約1か月