ゲスの極み乙女の全国ツアー「ナイトクラビング」の最終公演が8月20日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催された。
「ナイトクラビング」は、台湾・Zepp New Taipei公演を含む全16公演が行われたツアー。「星降る夜に花束を」で最終公演の幕が開くと、休日課長(B)の唸るようなベースに乗せて、川谷絵音(Vo, G)が早口で歌詞を紡いでいく。ちゃんMARI(Key)のピアノが流麗に響いた「サカナの心」に続き、「サイデンティティ」では哀愁と熱情が入り混じった空気が場内を満たした。チョッパーやタッピングなどの奏法を駆使したベースソロ、グルーヴィかつ華麗なキーボードソロ、タイトな音色を存分に響かせたドラムソロを経て、4人は「パラレルスペック」を演奏。無数の真っ赤なライトが場内を駆け巡ったのち、サビでは水色のライトがカタルシスを演出した。
「そろそろ『ゲスの4か条』を言いたくない?」という川谷の言葉で始まったのは「ホワイトワルツ」。ほな・いこか(Dr)が「私の美貌に惚れなさい」と客席を挑発し、大歓声を巻き起こす。休日課長とファンによるコール&レスポンスをきっかけに「ドレスを脱げ」が披露されたのち、川谷は「ホールをもっとライブハウスにしたい! ゲスの極み乙女と一緒に遊びませんか!」と呼びかける。そして歓声を上げながら飛び跳ねるファンに向けて「アソビ」が投下された。
川谷は全国ツアーを振り返って「ホールのほうがやっぱり慣れてる。ライブハウスは目線が怖かった。ずっと見てるから。ちょっと目つぶってほしいなと思った(笑)」と語り、最新アルバム「ディスコの卵」から「シアラ」「晩春」を歌唱。「ハツミ」の中盤で無音の時間が生み出されると、観客は息をのむように4人のシルエットを見つめる。「ユレルカレル」ではピンスポットライトに照らされたちゃんMARIがエモーショナルに鍵盤を弾き倒し、川谷とほな・いこかの声が切なくこだました。
緩急を自在に操りながらライブを展開していくゲスの極み乙女。ベースソロ、ピアノソロ、ドラムソロが再び炸裂した「スレッドダンス」が終わると、場内はしっとりと憂いを帯びた空気に包まれる。「キラーボール」の間奏部分では休日課長が初めて渋谷で飲んだ日のエピソードを語り、そこにちゃんMARIが即興BGMを弾くというひと幕も見られた。
川谷は「ひさしぶりにライブハウスでツアーができてよかった。今まで行けてなかったところにも行けて。近年稀に見る盛り上がりだった。ライブハウスの空気にいい意味で当てられて。今回のツアーを経て、ゲスの極み乙女をまた再構築していこうかなと思いました。ゆっくりでもいいから、一緒に歳を取って、曲もどんどん熟成されていって、ゲスの極み乙女というバンドがいい方向に向かっていくことを願ってる」と話し、「もう切ないとは言わせない」を演奏。しかしホールに漂うアンニュイなムードは、アンコール冒頭のほな・いこかによるグッズ紹介で打ち消される。さらに川谷と休日課長がタクシー運転手にまつわるエピソードトークで会場の笑いを誘い、場内はすっかり和気あいあいとした空気に。4人は最新アルバムの収録曲「ハードモード」「ゴーストディスコ」を演奏し、「jajaumasan」「song3」を畳みかける。ラストナンバー「シアワセ林檎」では川谷の伸びやかな歌声に観客がシンガロングで応じ、場内に心地よい一体感が生まれた。
セットリスト
ゲスの極み乙女 ワンマンツアー2024「ナイトクラビング」2024年8月20日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
01. 星降る夜に花束を
02. サカナの心
03. サイデンティティ
04. パラレルスペック
05. Funky Night
06. ホワイトワルツ
07. DARUMASAN
08. モニエは悲しむ
09. ドレスを脱げ
10. アソビ
11. シアラ
12. 晩春
13. ハツミ
14. ユレルカレル
15. スレッドダンス
16. crying march
17. キラーボール
18. もう切ないとは言わせない
<アンコール>
19. ハードモード
20. ゴーストディスコ
21. jajaumasan
22. song3
23. シアワセ林檎