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ART-SCHOOL×The Novembers、互いへのリスペクトを胸にツーマン開催 カバーも飛び出した一夜

ART-SCHOOLのライブの様子。(Photo by AZUSA TAKADA)
3か月前2024年08月22日 11:04

ART-SCHOOLが8月19日に東京・WWW XでThe Novembersをゲストに迎えてツーマンライブ「ART-SCHOOL 2 MAN LIVE『Bring 2 Life a Vision vol.2』」を行った。

「Bring 2 Life a Vision」は今年4月に始動したART-SCHOOLのツーマン企画で、今回が2回目の開催となる。ART-SCHOOLとThe Novembersが対バンライブを行うのは、2016年7月開催の「KINOSHITA NIGHT×首」以来約8年ぶりのこと。お互いの楽曲をカバーする場面もあり、2組にとって特別な一夜となった。

The Novembers

先攻のThe Novembersはシンセポップ要素の強いナンバー「Morning sun」でライブを開始。眩い光をバックに晴れやかなアンサンブルを一気に解き放ち、朝焼けを思い起こさせるような美しく幻想的な世界へとオーディエンスを誘う。鮮烈なギターサウンドで始まった「Misstopia」では、小林祐介(Vo, G)の温かみのあるまっすぐな歌声が響き渡った。そしてThe Novembersはなりふり構わず衝動を爆発させるように「dysphoria」「こわれる」を立て続けにプレイ。唯一無二の響きを持つ絶叫と激しい音像にオーディエンスは心を高鳴らせた。

「ウユニの恋人」でたゆたうようなメロディアスなアンサンブル紡いだThe Novembers。心踊るような軽やかなビートを「Seaside」で生み出したあと、彼らは心臓の鼓動のような力強いビートを軸に「BOY」で熱のこもったサウンドを打ち鳴らした。「BAD DREAM」では小林が拳を突き上げ、魂を呼び起こすような熱いシャウトをハンドマイクで響かせる。さらにその勢いを加速させるように、彼らは「Xeno」ですさまじいエネルギーを放ち、観る者を圧倒した。

ここで「私事なんですが、今日はすごく特別な日です。栃木の田舎の高校生だった僕が、今はなき宇都宮のタワーレコードで『LOVE/HATE』というアルバムを試聴したのがART-SCHOOLとの出会いでした」と話を切り出した小林。子供の頃からロックバンドが好きだったという彼は「テレビの向こうで輝かしいスターが晴れやかな世界にいて、憧れるわけなんだけど、いつの間にか僕は自分とは違う世界なんだなって思うようになった」と話を続け、「ART-SCHOOLは僕がそれまで憧れてきたどのアーティストともどのバンドとも違って、『お前もステージに立っていいんだ』って言ってくれた気がしたんです。なんでかわからないけど、試聴機の前で涙があふれて止まらなかったのを今でもすごく覚えています。あんなに暗い歌なのにね(笑)。あふれちゃったんです」と当時を振り返った。

その後「僕にとってすごく特別な曲がART-SCHOOLにあるので、そのカバーをやって終わりにしたいと思います」と小林が告げ、演奏し始めたのはART-SCHOOLの楽曲「SWAN SONG」。ずっしりとしたビートにたおやかなギターの音色が重なり、小林がゆらめくような幻想的な歌声を響かせる。最後には希望を感じさせる温かなアンサンブルを場内いっぱいに響かせ、4人は楽しげな様子でアクトを終えた。

ART-SCHOOL

The Novembersからバトンを受け取ったART-SCHOOLは「Moonrise Kingdom」でライブをスタート。疾走感と浮遊感を兼ね備えた厚みのあるシューゲイザーサウンドでフロアを満たした。「BOY MEETS GIRL」では木下理樹(Vo, G)の熱いシャウトに会場が大きく沸き立つ。さらにその勢いのまま、彼らは躍動感のあるビートを軸に「FLOWERS」「real love / slow dawn」を爽快にプレイした。「The Novembers、今日はありがとうございます。カッコいいなあ」と戸高賢史(G)が述べると、木下は「やっぱりカッコいいよね。リハから観てて、俺はこういう人たちとやるんかあって」とファンのように目を輝かせる。「アマチュア感覚か(笑)」と戸高にツッコまれ、木下は「アマチュア感覚だよね。カッコいいなあって」としみじみ。「勝ちに行かないと! 今日は先輩っぽいところを見せなきゃいけないんです」と戸高に奮起させられた木下は、1stフルアルバム「Requiem for Innocence」収録の「アイリス」「欲望の翼」で胸を焦がすような透明感のある美しい歌声を響かせた。

ひさしぶりの披露となる「JUNKY'S LAST KISS」でグランジ要素の強いサウンドをダイナミックに鳴らしたART-SCHOOL。ここで戸高は「The Novembersを初めて聴いたのは、確か『She Lab Luck』という曲かな。荒削りな感じなんだけど、疾走感があってすごくカッコいいなと思って、ちょっと嫉妬したのを覚えています。今でも相変わらず、歪で官能的でロックで色気があってロマンティックで、もう毎回ライブを観ると嫉妬しちゃいますね」とThe Novembersの魅力を語る。木下も「インディーズデビュー当時くらいから僕はThe Novembersのファンで、ずっと好きで。あんなに素晴らしいことを言ってくれるとは思ってなくて、うれしいです」とART-SCHOOLとの出会いを語った小林のMCに感激した。

「バンドを長く続けるということは簡単なことじゃない。僕らも来年25周年になるらしいんですけど、The Novembersも自分たちのスタンスや芯みたいな部分は変わらないままずっと面白いことをやり続けてて、ずっと尖ってて、ずっと温かくて、めちゃくちゃカッコいいなと思います」と戸高が話し、「僕らもカバーをやってみたいと思います」と演奏し始めたのはThe Novembersの楽曲「最近あなたの暮らしはどう」。オレンジ色の光をバックに紡がれる美しい音像にオーディエンスはじっくりと浸っていた。

「Novembersのメンバーが好きだって言ってくれた曲をやります」と戸高が宣言すると、5人は「SKIRT」を演奏。さらに「サッドマシーン」「エイジ オブ イノセンス」をエネルギッシュに放ったあと、そのままなだれ込むように「ジェニファー'88」で疾走感のある演奏を繰り広げた。最後にART-SCHOOLが演奏したのは「Bug」。心地のいいシューゲイザーサウンドをゆったりと紡ぎ、5人はステージをあとにした。

アンコールを求める拍手に応え、再びステージに現れた木下は「The Novembersと、来てくれたお客さん、どうもありがとうございました。またThe Novembersとはすぐやりたいなと思っています」と話し、戸高も「来年結成25周年なので、何かしら出てくれないかなと思っています」と期待を膨らませた。アンコールでART-SCHOOLが届けたのは「刺青」。メロディアスなサウンドと胸をくすぐるような切ない歌声を響かせ、ドラマティックにツーマンライブを締めくくった。

なおART-SCHOOLは12月11日に東京・LIQUIDROOMでツーマンイベント「ART-SCHOOL 2 MAN LIVE『Bring 2 Life a Vision vol.3』」を開催する。3回目となる「Bring 2 Life a Vision」にはAge Factoryが出演する。

セットリスト

「ART-SCHOOL 2 MAN LIVE『Bring 2 Life a Vision vol.2』」2024年8月19日 WWW X

The Novembers

01. Morning sun
02. Misstopia
03. dysphoria
04. こわれる
05. ウユニの恋人
06. Seaside
07. BOY
08. BAD DREAM
09. Xeno
10. SWAN SONG(ART-SCHOOL Cover)

ART-SCHOOL

01. Moonrise Kingdom
02. BOY MEETS GIRL
03. FLOWERS
04. real love / slow dawn
05. アイリス
06. 欲望の翼
07. BUTTERFLY KISS
08. JUNKY'S LAST KISS
09. 最近あなたの暮らしはどう(The Novembers Cover)
10. SKIRT
11. サッドマシーン
12. エイジ オブ イノセンス
13. ジェニファー'88
14. ロリータ キルズ ミー
15. Bug
<アンコール>
16. 刺青

ライブ情報

ART-SCHOOL 2 MAN LIVE「Bring 2 Life a Vision vol.3」

2024年12月11日(水)東京都 LIQUIDROOM
<出演者>
ART-SCHOOL / Age Factory

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