ケイタイモの娘＆息子、長女さん（14歳）、長男くん（10歳）、次男くん（7歳）インタビュー

作家 / イラストレーターのしまおまほさんがミュージシャンのお子さんにインタビューする連載「しまおまほの おしえて！みゅーじしゃんのこどもNOW」。ミュージシャンが子育てについて語るインタビュー記事は世の中に数あれど、当の子供たちはミュージシャンという仕事を持つ親の存在をどのように思っているのでしょう？ 自身もお子さんを持つしまおさんが、子供たちへのインタビューを通してパパママミュージシャンの日常の姿に迫ります。今回のゲストはWUJA BIN BINをはじめとするバンド活動と並行して、マンガ家 / イラストレーターとしても活躍するケイタイモさんの3人のお子様。そう、ケイタイモさんがInstagramで連載しているマンガ「家も頑張れ お父ちゃん！」に登場する、あの“長女、長男、次男”です。日頃から作品を愛読しているというしまおさんも“ご本人登場”にテンションが上がっている様子。ケイタイモさん一家行きつけのカフェでお話を聞きました。

取材・文・イラスト / しまおまほ　ヘッダーイラスト / ケイタイモ

キャラ立ちした仲良し3姉弟

ケイタイモ　ほらほら、もう携帯はいいんじゃない？

長男　はい、これ描（えが）いています～。ナニ描いていると思う？（スマホのアプリで何か描きながら）

ケイタイモ　ちゃんとみんなに画面見せないとわかんないよ。

まほ　（覗き込んで）顔かな？

長男　これナニ描いてる？

次男　んー……ハルク？

長女　グリーン？

長男　正解。「レインボーフレンズ」（Robloxでプレイできるホラーゲーム）のグリーンでした。

まほ　知らない～、そういうのがあるんだ。

長男　フンフン～♪ これはナニ描いてる？

長女　えー、スイカ？

長男　正解。

次男　すご。これ、スイカかぁ？

ケイタイモさん一家行きつけのカフェの大きなテーブルに奥からケイタイモさんご夫婦、テーブルの角を挟んで長男Kくん（小4）、長女Mちゃん（中2）、次男Aくん（小1）が座っています。ケイタイモ家の子供たちはすでにそれぞれスマホを持っていて、自分たちで管理しているそう。

まほ　3人、仲良しですね。いつもこんな感じですか。

ケイタイモ　そうですね。

長女　Kがいつも1人でなんかやってるから、ここ2人（自分と次男を指差して）で遊ぶことが多いかもしれない。

ケイタイモ　外遊びになれば一緒に遊んだりね。

長女　楽しそうにしてるとKが来てくれる。

ケイタイモ　長男は1人の世界が好きな子で。

長男　……カワグチコだとちょっと寂しいなーって思って。

まほ　ん？

ケイタイモ　ついこの間、移動教室で初めて家族から離れたんです。河口湖に2泊だったんですけど。ホームシックになったって（笑）。

まほ　初めてだったらしょうがないね～。そっか、そのときの気持ちが心にまだ残ってるんだね。

夢はウサイン・ボルト超え！からの……

この日、長男Kくんと次男AくんはおそろいのTシャツを着ていました。

まほ　かわいいTシャツですね。

母　ここ2人はすぐどこかに行っちゃうから、このあと公園に行く予定なんで、発見しやすいように。

まほ　なるほど（笑）。

長女　Aが陸上やってるから、家族で競技場にも行ったりする。

まほ　小1で陸上!?

母　まだ“かけっこ”習ってるって感じですけど。

ケイタイモ　目標教えてあげて。

次男　え～～～～っと……。

まほ　どんな目標だろう？

次男　ウサイン・ボルトを超える！

まほ　えっ！ それは相当すごい目標。

ケイタイモ　ですよね（笑）。

母　その先があるんだよね？ 目標達成したあとは……レッサーパンダの飼育員になるっていう。

まほ　ギャップが……！ バズるよ、その経歴（笑）。でも、パンダじゃなくて、レッサーパンダなんだ？

長女　動物園に行って惚れたらしい。

次男　幼稚園のときにバスに乗って、ズーラシア（よこはま動物園ズーラシア）に行って観た。そのあともう1回観に行った。

母　2度目は家族でね。

まほ　ハマったんだ～。

ケイタイモ　レッサーパンダとは関係ないけど……次男の幼稚園、湘南乃風の若旦那が出身なんだって。

まほ　「ケイタイモの息子は若旦那の幼稚園の後輩らしい」。音楽ナタリー豆情報入りました（笑）。

次男　これが一番好きな昆虫（と言ってスマホの画面を見せてくる）。

まほ　あれ？ レッサーパンダではなく昆虫？ すご！ デカい！

次男　ヘラクレスオオカブト。昆虫展で撮った。

まほ　昆虫も好きなんだね。レッサーパンダと、どっちが好きなの？

次男　え～、どっちも。

まほ　あ、レッサーパンダかと思いきや。

次男　（ボソっと）魚も好きだよ。

まほ　へえ～！

次男Aくん、スイッチが入ったようで家族で鴨川シーワールドに行ったときに自分のスマホで撮った写真を次々と見せてくれます。

次男　これがアザラシ。あと、これはミズクラゲ。

まほ　よく水族館行くの？

次男　うん。

長女　えのすい（新江ノ島水族館）も行ったし。

次男　クラゲも大好き。

長女　えのすいのクラゲ展、行かなきゃ。

次男　カツオノエボシ見てーよー。

長女　魚はKがすっごく詳しい。

ケイタイモ　本当に。この人（長男）はすごいんですよ。

ケイタイモ　水族館に行くと、Kに魚が自然と寄ってくるんだよな。

長女　ウツボに囲まれたり。

長男　ねえ、お父さん、これ見てー。

ケイタイモ　うん？

長男　世界一デカいサメって言われてるやつ。

ケイタイモ　メガロドン？

長男　そう。

しばらく会話の輪から離れてゲームをしていた長男Kくんですが、わたしたちが魚の話を始めると、また話に加わってきました。

長男　メガロドンは600万年前に絶滅したという……。

まほ　メガロドン……（検索して）ふーん、古代の巨大ザメなんだ。初めて知ったよ。体長20m…ってビル6、7階分!?

長男　こっちはぁ、クラーケンとブループ。

まほ　クラーケンとブループは巨大UMAなのね。

長男　クラーケンって、100m超えるんだよ。ブループは215mで……。

長女　Kは未確認生物とか好きで。あと、怖い話も。Aと2人でよく話してる。

母　ちょっと不思議な話でいうと……長男が幼稚園時代に、通園の途中に必ず同じ場所で下を向いてちっちゃくなって歩いてるってことはありましたね。

ケイタイモ　何かに邪魔されてる……ってね。

まほ　ちっちゃい子がよく見えない敵と戦ってるけど、それともホントに何かいたのか……。

長女　今は全然フーン♪とか言いながら通ってるけど。

次男　オレ、列車も好き。

まほ　お（笑）。

次男　（スマホの写真を見せながら）これ、ロマンスカー。あと、これは東京駅の上の新幹線がよく見えるところから撮った新幹線。

まほ　多趣味なんだねえ～。

ケイタイモ　岡本太郎も好きなんだよな。

次男　太陽の塔も見てーよー。

まほ　趣味が幅広くてビックリなんですけど～。

次男　なぞなぞも好き！

お父さんがミュージシャンってこと先生にバレちゃった

一方、お姉ちゃんのMちゃん。吹奏楽部でトロンボーンを担当しているそうです。

長女　本当はバスケ部に入りたかったんだけど、バスケ部の仮入部の時期に熱出しちゃって、もう吹奏楽部しか残ってなくて。

まほ　病欠でも入部できなかったんだ。厳しいんだね。

ケイタイモ　でもけっこうがんばってるよな～。

まほ　バッグに付けたキーホルダーもトロンボーンだね。

長女　うん、吹奏楽部、楽しい。後輩もかわいいし。

まほ　Mちゃんが楽器やっていること、ケイタイモさん的にはうれしかったりします？

ケイタイモ　部活でスカパラの「Paradise Has NO BORDER」を練習してるらしくて。北原さん（東京スカパラダイスオーケストラのトロンボーン奏者・北原雅彦）に会ったときに伝えたら、長女がトロンボーンを選んでいることにすごい喜んでくれて。

まほ　北原さんが喜んだんだ（笑）。

ケイタイモ　長女は最近ギターとかベースも教えてほしいって言い出して。

まほ　音楽、好きになったんだね。

長女　お父さんがミュージシャンってこと、顧問の先生にバレちゃった。

まほ　言ってなかったの？

長女　うん。友達とお父さんのYouTube観てたら先生が来て……。

ケイタイモ　へー、そうなんだ。なんの映像だろう。

長女　WUJA BIN BIN。

まほ　どうだった？ 反応は。

長女　「今度、特別講師に呼ぶ？」とか言われて、「あ、はぁ、あは～」って答えといた。

まほ　（笑）。

ライブ行くと「ホンモノだー！」とか言われて変な感じ（笑）

まほ　お父さんがマンガ描いてるじゃん？ 自分たちのことが描かれてるのってどんな気持ち？

長女　んー、ライブ行くと、インスタ見てる人に「ホンモノだー！」とか言われて変な感じ（笑）。

ケイタイモ　（笑）。

まほ　それ、わかるわ。わたしも今日会って思ったもん。「ホンモノだ！ 思ったよりみんな大きい！」って。

長女　マンガでは、けっこう昔のこと描いてあるから。

ケイタイモ　お姉ちゃん、昔はおてんばだったけど今はホント落ち着いたもんなあ（しみじみ）。勝手にお神輿の列についてっちゃったりしてたし。長男も次男もお父ちゃんの言うこと聞いてるのか聞いてないのか……ていうか、聞いてないだろ？

次男　うん。

ケイタイモ　うん、じゃねーよ（笑）。

長女　でも、お父さんもけっこー問題児だったって聞いたよ。

まほ　そうなんですか？

ケイタイモ　ハッハッハッハ。

まほ　ごまかしてる感すごい（笑）。

ケイタイモ　うちの母親に息子たちが暴れたこととか話すと「何言ってんの、アンタのほうがひどかったわよ」とか言われちゃって（笑）。それ考えると、あんまり怒ってもなあ、と。

長女　お父さんには怒られても言い返せる。

ケイタイモ　あら、そうなの（笑）。

長女　お母さんのほうが怖い。

母　ウフフフフ。

次男　（突然）おい!!!

長男　ヘヘヘへ！

まほ　ん!? どうした!?

少し前からゴニョゴニョふざけ合っていた長男Kくんと次男Aくん。KくんがAくんをからかって、何やら兄弟ゲンカが始まったようです。

次男　ムカつく……。

長男　フンフン♪

次男　ウググ……（長男くんに近付く）。

ケイタイモ　おいおいおいおい、やめやめやめやめ……。

母　ハイハイ、もうおしまい。

長男　フンフン♪

余裕な態度……というより、むしろ上機嫌なKくんとイラ立ちを隠せないAくん。気分を変えようと大好きな虫に絡めた質問をしてみました。

まほ　ねえねえ、Aくん、お父さんを動物で例えると？

次男　ええーーー、なんだろう……。んーんー。

長女　キリンとか？

母　首長いから？

次男　いや、違う……。んーんーんー。

まほ　昆虫でもいいよ。

次男　んーんー、あ、わかった、あれだ。

まほ　何なに？

次男　ゴライアスオオツノハナムグリ。

長男　ゴライアスオオツノハナムグリ！

まほ　（検索して）……どこらへんが？

次男　んー、なんかこのあたり（羽）が顔でえ～。

まほ　ああ、この模様があるあたりがケイタイモさんが今日かぶってる帽子っぽいから？

次男　そう。

ケイタイモ　帽子かい（笑）。でも、お父ちゃんゴライアスオオツノハナムグリ好きだからうれしいなあ。

お父さんをカッコいいと思う瞬間は？

ケイタイモさんがトイレに立ったので、お父さんを一番カッコいいと思う瞬間について、3人に聞いてみました。

長女　ライブのときカッコいいって思う。

次男　（すぐさま）オレも！

まほ　Aくん、即同意したね。

次男　（長男を指さして）Kは、ライブのとき楽屋で踊ってる。

長女　Aも楽屋にいるじゃん。

まほ　2人は楽屋で楽しんでるんだね。

長女　お父さんの三つ編みは、私がしてる。

まほ　それって日常的に？

長女　ううん、ライブのとき。ライブのときしか三つ編みしないから。

まほ　そうなんだー。Mちゃんがヘアスタイリストなんだー。素敵！

長女　生まれたときからお父さん、髪型がああだから……私は逆にあれが普通だと思ってた。

まほ　あー、なるほど。

長女　ほかのお父さんの髪型が、変わってるなーって思ってた。

まほ　（笑）。

ケイタイモ　（トイレから戻る）

長女　ねえ、お父さんがその髪型にしてるのって、若いときにBAさん（WUJA BIN BINのボーカル）の家に行ったときに切ってからでしょ？

ケイタイモ　そうそう、その場のノリで切って。まあでも歴史好きだから、中国の清の時代を思いながら、みたいなね。で、それ以来、ずっとこの髪型だからなー。いつ切ろうか、とも考えたりするんだけど。

まほ　ケイタイモさんが弁髪じゃなくなったら、寂しいなあ。ねえ。

長女　うん！（キッパリ）

2人の弟を見守り、まとめる長女Mちゃんと、醸し出す雰囲気からスケールの大きさを感じずにはいられない自由でマイペースな長男Kくん、そしてちょっとおマセでみんなからかわいがられている次男Aくん。

マンガで読んでいた一家がそのまま目の前に現れた不思議な時間でした。ケイタイモさん、兄弟ゲンカをいさめつつ、お姉ちゃんの話に頷きつつ、歴史の話をちょいちょい挟みつつ……優しい瞳で家族を見つめていました。

家も頑張れお父ちゃん！

ケイタイモ

音楽家 / 作曲家 / マンガ家 / イラストレーター。トレードマークは弁髪。1999年にMONGHANGにてデビュー。2003年にキーボード奏者としてBEAT CRUSADERSに加入する。2011年に自らがリーダーを務めるWUJA BIN BINを結成。同バンドでは作詞作曲・ベースを担当している。また、ikanimo、HEAVENLY BOYS、ATOM ON SPHERE、須藤寿 GATALI ACCOUSTIC SET、MUSIC FROM MARS、cooking songs、el tempo directed by KAVKA SHISHIDOのメンバーとしても活躍している。Instagramで、マンガ「家も頑張れおとうちゃん！」を毎日更新中。同作品は2019年に文藝春秋より書籍化されている。10月1日に東京都台東区入谷にカフェ＆ギャラリー・GONZUIをオープンした。

ケイタイモ　KEITAIMO(@k_e_i_t_a_i_m_o) ｜ Instagram
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しまおまほ

1978年東京生まれの作家、イラストレーター。多摩美術大学在学中の1997年にマンガ「女子高生ゴリコ」で作家デビューを果たす。以降「タビリオン」「ぼんやり小町」「しまおまほのひとりオリーブ調査隊」「まほちゃんの家」「漫画真帆ちゃん」「ガールフレンド」「スーベニア」「家族って」といった著作を発表。最新刊は「しまおまほのおしえてコドモNOW！」。イベントやラジオ番組にも多数出演している。父は写真家の島尾伸三、母は写真家の潮田登久子、祖父は小説家の島尾敏雄。

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