吉田山田、最高を更新し続けた15周年2DAYSライブ「あなたに手を伸ばすために音楽を作り続ける」

吉田山田が10月19、20日に東京・品川インターシティホールにて2DAYSライブ「吉田山田15周年記念 大感謝祭 2Days」を開催した。

DAY1

開演時間を迎え、吉田山田がステージに現れるとステージ中央で2人は抱擁を交わす。普段のライブで2人が舞台袖で行っているルーティンがステージ上で行われたことに客席からは驚きの声が上がった。背中を叩いてお互いを鼓舞した2人は正面を向き、吉田結威（G, Vo）の力強いカウントを合図に「ガムシャランナー」でライブを開始。吉田は相方とオーディエンスを鼓舞するように、煽るように声を上げ、ライブ序盤のテンションをグッと引き上げていく。2DAYSライブの初日は吉田山田が2人だけでステージに立つアコースティック編成で行われ、吉田はギターのみならずハーモニカやループマシンを用いて、山田義孝（Vo）はタンバリンやカズーを操り、ライブを華やかに彩った。

序盤のMCでの「15周年記念ということで、懐かしい曲もたくさんやる」という山田の宣言通り、「ツボミ」「カケラ」など10年以上前にリリースされた楽曲もセットリストに組み込まれた初日公演。2ndシングル「ツボミ」の演奏時には、ひさしぶりに披露されるためオーディエンスのクラップのタイミングが合わず、吉田が演奏を一時中断して手拍子のタイミングを改めて指南するひと幕もあった。懐かしい楽曲を披露して古い記憶が蘇った吉田は「どうしても歌詞が書けなくて、レコーディングスタジオに入らなければならない直前に、僕らと同じ苦しみを共有しようとチーフマネージャーが歌詞を書いてくれたことがあった」と回想。結果としてチーフマネージャーが書いた歌詞が採用されることはなかったものの、「思い出しただけで泣きそうになっちゃった。愛だよね」と2人は笑い合った。

懐かしい楽曲でファンと共に過去を振り返った直後には、まだリリースされていない新曲「恋」「こと葉」が並べられ、一気にムードは一変。さらに今年の夏にリリースされたばかりの「線香花火」の演奏では、配信音源とは異なるミニマルな編成で楽曲の新たな魅力を掲示した。

15年という歳月を振り返りながら、吉田は「会えなくなってしまった人たちもたくさんいる。楽しいだけで音楽をやっていた過去の自分とは変わってきた」と語り始める。さらに彼は、15年の活動の中で出会い、この日の会場に足を運んでくれているファンに向けて「ついてきてほしいとかそういう言葉ではなくて。僕はもう同志だと思ってるから。またどこかでお会いしましょう」と再会を約束。さらに彼は本編最後の楽曲として「約束のマーチ」を奏で始める。吉田山田のライブにとって欠かすことのできないこの曲の歌唱中、感極まった山田は「出会ってくれてありがとう」と叫び、15年分の感謝の気持ちを歌と声で伝えた。

アンコールでは吉田1人がステージに立ち、“鳥人間”に扮した山田が客席に登場するサプライズも。オーディエンスの目の前で“空への渇望”を独白した山田は、羽の生えた衣装で羽ばたきながらステージに舞い戻り、「鳥人間になりたい」を熱唱。再び会場内のテンションを上げると、「てんてんてんて」「押し出せ」とアッパーチューンを畳みかける。「大感謝祭は2DAYSあるけど、初日に僕のすべてを出す」と言い切った山田は、コール＆レスポンスでも声を精一杯張り上げてオーディエンスを先導する。ひとしきり歌い終えた山田は「明日のことは1mmも考えなかった。最強の夜の証」と笑い、吉田山田のライブの最後を飾る「最後の歌」の演奏につなぐ。全17曲を歌い終えた2人は「今日聴いた音楽、言葉、今日の空気がちょっとでも残ってくれたらうれしい」「僕らは歌い続けるから。また会えるときまで、元気で」と言葉を残し、ステージをあとにした。

DAY2

2日目の「大感謝祭」はアコースティック編成による初日公演と異なり、バンド編成で行われた。初日公演の1曲目が彼らのデビュー曲「ガムシャランナー」だったのに対し、2日目の1曲目はこれからリリースされる最新曲「銀河ラジオ」。オーディエンスはサポートドラマーが刻むビートに合わせて1曲目から手拍子を打ち、積極的にライブに参加した。ライブ序盤は「新しい世界へ」「RAIN」といったバンド編成で映える楽曲がセレクトされ、初日とはまったく異なる曲目でのライブにファンは大喜び。歌いながらテンションの上がった山田は「Color」の演奏中、客席に降りてコール＆レスポンスを煽ると、吉田からは「降りるのが早いよ！」と突っ込まれていた。

吉田は「2DAYSやると、空気が違う。昨日よりもちょっと緊張感が増している」と、同じ会場でもセットの違いやオーディエンスの空気感などでライブが変化することに触れ、山田は「緊張してたらもったいない」と自分のみならずライブを観ているオーディエンスの緊張をほぐすように呼びかけた。15周年という節目のライブということもあり、オーディエンスから多数の「おめでとう」の声が上がると、「言葉でありがとうと言っても伝えてきれない思いを、歌に込める」と返し、彼らはすぐに演奏を再開した。

「僕らのためのストーリー」では、吉田がギターを置いてボーカルに専念。吉田はバンドに演奏を委ね、ハンドマイクを手に相方と肩を並べて、豊かなハーモニーを会場内に響かせた。またこれまでの吉田山田のライブであればアコースティック編成で披露することが多かった「日々」を、あえてバンド編成の2日目に披露するなど、ファンの予想をいい意味で裏切る演出で両日にしっかりと見どころが作られていた。

代表曲「日々」のリリースから10年が経過したことについて触れた2人は、「日々」で描いた「家族」というテーマについて、家族を持つことで思いに変化が生じ始めていることを吐露。自らも父親になることで、早くに死別してしまった父親の心情に思いをめぐらした山田は、幼少期の写真をもとに書いた新曲「家族写真」を作り上げたことを報告し、ライブで初披露した。演奏後、吉田は「山田がこの曲を作ってくれたとき、すごく胸に刺さったし、心に残った。みんなにも好きなときに聴いてほしい」と話し、「家族写真」を含むEPを10月30日に配信リリースすることを告知。さらに来年2月には全国17都市を回るツアーを開催することも発表し、16年目の活動も充実することをファンに示した。

ライブ終盤、「イッパツ」「未来」「フリージア」とアッパーチューンを立て続けに披露し、クライマックスに向けて会場の熱量を引き上げていく吉田山田。「もう何百回、何千回と歌ってきたけど、一番の声を出す」と宣言して、2人は15年前の10月21日にリリースしたデビュー曲「ガムシャランナー」の演奏につなげる。会場を巻き込んで大合唱を生み出したのち、山田は「今まで歌った『ガムシャランナー』で一番テンション上がった。最高を更新しながら一緒に生きていけたらいいね」と、その手応えを口にした。

山田が息を切らすほどフルパワーのパフォーマンスを繰り広げたのち、本編最後を飾る楽曲として選ばれたのは、初日公演でも披露された「午前0時」。吉田のアコースティックギターによるシンプルで力強い初日の演奏とは趣を変え、重厚感あふれるバンドサウンドに乗せて、山田は楽曲の歌詞である「がんばれ」の言葉を繰り返した。

2日目のアンコールで吉田は「僕らが音楽を作る意味みたいなことを考えて。僕らが作った音楽は、皆さんに伸ばした“手”だと思う。その伸ばした手を、みんながつかんでくれたから今日がある。この手はあなたの背中を押すこともあるし、背中をさすることもあるし、握手をすることもある。これから先、いろんなことがあると思います。もし真っ暗になってしまったとき、無作為でいいから心の中で手を伸ばしてみてください。そのときに、僕らの手が当たるように、僕らも手を伸ばしていく」と、自身が音楽を作り続ける意味についての思いを明かした。

「恋」「魔法のような」の2曲を終え、大団円でライブがフィナーレを迎えたかと思いきや、客電が点灯してもオーディエンスは帰らず、ライブはダブルアンコールに突入した。再びステージに現れた2人は「すべてを出し切ったんだけどなあ」と笑いながら、オフマイクで歌うことを宣言。ステージ前方の客席近くまで歩み寄った2人は、アコースティックギターと歌声だけで「約束のマーチ」を届けた。最後の曲を披露し終え、初日の冒頭と同じく2人はステージ上で熱い抱擁を交わし、2日間にわたる「大感謝祭」の幕を閉じた。

セットリスト

吉田山田「吉田山田15周年記念 大感謝祭 2Days」DAY1 2024年10月19日 品川インターシティホール セットリスト

01. ガムシャランナー
02. 好き好き大好き
03. カシスオレンジ
04. ツボミ
05. カケラ
06. 恋
07. こと葉
08. 線香花火
09. 午前0時
10. 焼き魚
11. 街
12. YES!!!
13. 約束のマーチ
＜アンコール＞
14. 鳥人間になりたい
15. てんてんてんて
16. 押し出せ
17. 最後の歌

吉田山田「吉田山田15周年記念 大感謝祭 2Days」DAY2 2024年10月20日 品川インターシティホール セットリスト

01. 銀河ラジオ
02. 新しい世界へ
03. RAIN
04. Color
05. こと葉
06. 線香花火
07. 僕らのためのストーリー
08. 日々
09. 家族写真
10. イッパツ
11. 未来
12. フリージア
13. ガムシャランナー
14. 午前0時
＜アンコール＞
15. 音楽
16. 恋
17. 魔法のような
＜ダブルアンコール＞
18. 約束のマーチ