戸塚祥太(A.B.C-Z)が10月22日より全4公演のソロライブツアー「Solo Tour 2024 guerrilla love」を開催した。
1999年春に事務所に入所し25年のキャリアを積んできた戸塚だが、ソロライブの開催は今回が初。戸塚は「自分が何者なのかを明らかにする為にも一度ひとりでステージに立たなきゃ」という思いから、初のソロライブを決めたという。10月22日と23日に大阪・BIGCAT、10月26日と27日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)にて行われたライブではソロ曲や未発表の新曲、さらに自身がリスペクトするアーティストのカバー曲などをバンド編成のパフォーマンスで披露した。この記事では10月26日の東京公演の模様をレポートする。
新曲「guerrilla love」で幕開け
Zepp Hanedaの広いフロアを埋め尽くした観客は、開演直前から手拍子と「とっつー!」コールを送る。エルヴィス・プレスリーの「Love Me Tender」がオープニングSEとして流れる中、戸塚はバンドメンバーのPAKshin(Key)、田中匠郎(Dr)、クマガイユウヤ(G)、カナミネケイタロウ(B)とともにステージに現れた。黒いサングラスをかけた戸塚は手にしたウイスキーのボトルの中身を一口飲み込み、ギターを下げてマイクに向かう。1曲目を飾ったのはいきなり新曲の「Guerrilla Love」。ヘヴィなロックサウンドに乗せてラップ調のボーカルを聞かせる戸塚にオーディエンスは早くも順応し、歌詞に合わせて「L! O! V! E!」というコールを届けた。
「歌って踊ってジャンプして、幸せになろう!」とフロアに呼びかけた戸塚は「ドラマ」「君といた」と、ポップなナンバーを連投。現在開催中のA.B.C-Zの全国ツアー「A.B.C-Z Concert Tour 2024 F.O.R」でも披露している、最新アルバム「F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。」収録のソロ曲「月に行くね、光の連続」は、エモーショナルなバンドアレンジとの化学反応でツアーとはまた異なる表情を見せるひとときとなった。
洋楽カバーにポエトリーリーディング、多彩な表現を展開
戸塚は「見ての通り、バンドスタイルでやらせてもらっています」とメンバーに視線を送り、観客に向けて「ライブハウスということでこういう環境に不慣れな人もいるかもしれないけど、自由に歌って踊って騒いでほしいです」と呼びかける。最初に披露した「Guerrilla Love」は2020年に制作した曲だったと明かした戸塚は「まだまだ新曲を用意してます!」とファンの期待をさらに高めた。
その言葉通り、戸塚とクマガイ、カナミネが横並びで同じステップを踏んで場内を沸かせた「Departed」、フォークやブルースの要素を取り入れたメロウなナンバー「散歩」と、新曲を2曲連続で披露。さらにイントロのギターを自ら奏でたArctic Monkeysの「Knee Socks」、このツアーのためにアコースティックスタイルのアレンジを施したというThe 1975の「Sex」と、洋楽のカバー曲も演奏された。「大人っぽい雰囲気の、いい感じのムードになってきたので……」と語った戸塚は、ここで親交の深い詩人の黒川隆介をゲストに呼び込み、自作の詩「河に」と、黒川の詩「君は知っているか」「帰途」のポエトリーリーディングを披露した。
他者との関係性や生きることの意味をそれぞれ異なる言葉でつづった詩を読み終えたあとは、戸塚と黒川がしばし語り合う。黒川に「ニュースで見ましたけど『長髪の似合う芸能人』4位だそうで」と水を向けられた戸塚は「ありがとうございます。じゃあ1位は永野さんかな?(笑)」と笑顔で返す。大阪公演でサプライズゲストとして呼び込まれたという黒川は「詩人を『サプライズで出したい』って、相当変わった人ですよ(笑)」と評しつつ「言葉遣いが素晴らしい詩人だし、戸塚祥太というアーティストがどう成り立っているのかがわかるライブです」と戸塚とそのステージを絶賛。戸塚は照れ隠しのように髪を掻き上げて永野の決めポーズを真似してみせ、フロアの笑いを誘った。
SMAPや錦織一清もカバー、先輩たちへのリスペクトを表す
バンドを代表してマイクに向かったPAKshinにも「初めてのバンドスタイルで、ここまでのステージを披露しているフロントマン。すごいことですよ」と賛辞を送られた戸塚は「先輩たちの曲もカバーさせてもらおうと思います」と次の曲を紹介した。ここで披露したのはSMAPの「Fly」と、錦織一清の「Replicant, Resistance」。戸塚は「Fly」では艷やかなボーカルで、「Replicant, Resistance」ではしなやかなダンスで観客を魅了し、そのエンターテイナーぶりを存分に発揮する。ファンキーなソロ曲「Lonely Dancer」はミラーボールがきらめく中で披露され、妖艶な世界にフロアを染め上げた。これらの3曲では観客によるスマートフォンでの撮影も許可され、オーディエンスは大切そうにそれぞれのスマホに戸塚の姿を収めていた。
昨年開催の舞台「ABC座 星劇場2023」でお披露目されたソロ曲「If you don't know break up you don't know love」では鏡や椅子を用いたパフォーマンスを繰り広げ、観客の目を釘付けにする。フロアと笑顔を交わしながら「Dolphin」「トキメキイマジネーション」を歌ったあと、本編最後に披露された曲は「星が光っていると思っていた」。曲のエンディングでは「僕はずっと、星が光っていると思っていた」と語る戸塚のセリフに合わせてメンバー1人ひとりに当たっていたピンスポットが消えていき、最後はフロア上方のミラーボールだけに光が当たるという鮮烈な幕切れを迎えた。
息を呑んでいた観客が夢から覚めたようにアンコールを求める手拍子を繰り返すと、戸塚とバンドメンバーが再びステージに登場。戸塚はアンコールで披露する曲を「自分が一番リスペクトして、世界で一番カッコいいと思っているグループの曲を歌いたいと思います。皆さんもたぶん知っていると思います」と思わせぶりに紹介した。ここで歌われたのはA.B.C-Zの「頑張れ、友よ!」。戸塚はステージの隅々まで行き来し、フロア前方から2階席最後方まで目線を送りつつ、曲に込められたメッセージを全力で届ける。歌い終えた戸塚はメンバー全員とハグを交わし、フロアに投げキッスを送って名残惜しそうにステージをあとにした。
セットリスト
戸塚祥太「Solo Tour 2024 guerrilla love」2024年10月26日 Zepp Haneda(TOKYO)
01. Guerrilla Love(新曲)
02. ドラマ
03. 君といた
04. V
05. 月に行くね、光の連続
06. Departed(新曲)
07. 散歩(新曲)
08. Knee Socks(オリジナル:Arctic Monkeys)
09. Sex(オリジナル:The 1975)
・Poetry「河に」「君は知っているか」「帰途」
10. Fly(オリジナル:SMAP)
11. Replicant, Resistance(オリジナル:錦織一清)
12. Lonely Dancer
13. If you don't know break up you don't know love
14. Dolphin
15. トキメキ イマジネーション
16. 星が光っていると思っていた
<アンコール>
17. 頑張れ、友よ!(オリジナル:A.B.C-Z)