楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第23回は、aiko、あいみょん、いきものがかり、斉藤和義、椎名林檎、フジファブリック、ポルノグラフィティ、宮本浩次ら、そうそうたるアーティストのレコーティングやライブをサポートするドラマー・玉田豊夢さんが登場です。
構成 / 丸澤嘉明
ドラムフレーズが好きな曲とその理由
リタ・クーリッジ「Fever」(ドラム / ジム・ケルトナー)
詩の世界をドラムで語るような音とプレイ。
「Fever!」からのフィルインが、翻弄され正気を失っていく心を体現しているようでとてもスリリング。
Led Zeppelin「D'yer Mak'er」(ドラム / ジョン・ボーナム)
冒頭のフィルイン。
音、内容、重さ、勢い、すべてにおいて100億点満点。
16分裏からスタートしていて少しトリッキーに聴こえるけどインテリな感じではなく、熊が丸太を振り回しているような豪快さがポイント。
The Rolling Stones「Start Me Up」(ドラム / チャリー・ワッツ)
冒頭のフィルイン。
こんなにシンプルでハッとさせるフィルインはありません。
ハイハットで匂わせて1拍目にスネア、2拍目と3拍目にキック。
小節の頭がわからなくなるようなトリッキーさがあるのに狙っている感じが一切しないのがチャーリー・ワッツの魅力。
自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること
その楽曲が生まれたときからそこに存在しているかのような自然さや説得力を持たせられたらと常々思っています。
寄り添うようなフレーズもトリッキーなフレーズも同じように考えています。
自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマー
ライデン湯沢、川西幸一、古田たかし、青山純、村上"ポンタ"秀一、林立夫、高橋幸宏、中村達也、池畑潤二、沼澤尚、ジョン・ボーナム、ジェームス・ギャドソン、バーナード・パーディ、ジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ガッド、トミー・リー、パット・トーピー、スチュワート・コープランド、チャーリー・ワッツ、ジム・ケルトナー、ラス・カンケル、トニー・ウィリアムス、エルヴィン・ジョーンズ
玉田豊夢
1975年生まれ、大分出身。12歳頃から廃材などを用いて製作した自作のドラムセットを叩き始め、20歳頃からライブやレコーディングでのサポート活動を開始。これまでにaiko、あいみょん、絢香、いきものがかり、小谷美紗子、斉藤和義、THE BEATNIKS、椎名林檎、Superfly、浜崎あゆみ、フジファブリック、星野源、ポルノグラフィティ、宮本浩次、レキシら数多くのアーティストのライブやレコーディングをサポートしている。また中村一義を中心に結成された100sや松原秀樹、森俊之、田中義人らとともに結成されたC.C.KINGなどのバンドにも参加し、幅広い活動を行っている。
玉田豊夢 (@TomTamada) / X
玉田豊夢シグネチャースネアドラム - CANOPUS