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サカナクション「怪獣」MVで山口一郎は何に抗っているのか / &TEAMからの最高なホワイトデーの贈り物

再生数急上昇ソング定点観測
4か月前2025年03月28日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで3月14日から3月20日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、5位に米津玄師「BOW AND ARROW」の羽生結弦によるショートプログラム映像が登場した。曲に合わせて羽生が華麗にスケーティングをするこの映像は、公開から10日間で340万回再生を突破し、日の出の勢いを見せている。

14位にはME:I「MUSE」のMVがランクインした。これは4月16日にリリースされる3rdシングルの表題曲。MVはガラケーやMP3プレイヤーなど、平成を感じる演出が印象的だ。

19位に登場したのはLE SSERAFIMの「HOT」。3月14日にリリースされた5thミニアルバムの表題曲で、2分28秒からの海をバックに踊るシーンは“美しい”という表現がしっくりくる。

38位にはRyosuke Yamadaこと山田涼介(Hey! Say! JUMP)の「RED」がランクインした。これは4月16日にリリースされる初のソロアルバム「RED」のリード曲。情熱的な歌詞と華やかな曲調とのコントラストが魅力的に感じた。

人気ダンスグループの新曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。

サカナクション「怪獣」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場1位

サカナクションの約3年ぶりとなる新曲「怪獣」は、アニメ「チ。 ―地球の運動について―」のオープニング主題歌。サカナクションにとって初のアニメ主題歌で、構想に2年を費やしたそうだ。

去年10月19日に配信されたYouTubeライブ「サカナクション山口一郎の今夜も雑談中。」内で、山口一郎(Vo, G)は楽曲制作の途中経過を報告。それによると約1分30秒のアニメ尺までは、これまでと同じく薄暗くした部屋にこもって、昼夜問わず曲を作っていったという。しかしフル尺を作ろうとした際、抱えているうつ病が原因で体調不良になり、制作は難航した。

これにより山口は、寝食を忘れて楽曲作りに没頭する、これまでの制作スタイルを変えることを決意する。規則正しい生活を送り、制作時間を決めたうえで曲作りに励むことにした山口。当時の心境について彼は、先述した配信で以下のように話している。

「(『怪獣』の曲作りを通して)新しい習慣を身につけて新しい自分になるんだ、と言ってきた。言うのは簡単だけど、実際にやるのは半端ない難しさだなって感じています」
「自分が今まで感動してきたものって、(中略)例えば戦争を経験してきた方とか学生運動の時代とか、今の時代とは違う緊張感の中で生活してきた人たちが醸し出してきたモノだったり。そういった緊張感のあるモノに感動してきたからこそ、自分もそういう精神状態に持っていきながら(曲を)作っていた。そのことに慣れていたせいで、今のやり方に切り替えるのは難しいけど、ちゃんと自分が納得いく着地の仕方を探している段階です」

スタッフやバンドメンバーが山口の体調を心配したため、一時は制作中止の話も浮上したという。そんな窮地の中、山口の心の支えとなったのはファンレターだった。ファンの手紙を読んで彼が気力を取り戻し、完成させたのが「怪獣」である。

同曲のMV監督を務めたのは「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」「夜の踊り子」「新宝島」「忘れられないの」など、サカナクションの楽曲ではおなじみの田中裕介。今作のMVはサカナクション史上最も物語性が高く、無限にループする地下通路が舞台になっている点はホラーゲーム「8番出口」へのオマージュを感じさせる。

3月16日の「サカナクション山口一郎の今夜も雑談中。」に出演した田中は、MVのコンセプトについて次のように話した。

「今まで見せたことがない山口一郎のつらい姿を見せようと思い、壁に挟んで圧迫死するアイデアがベースにありました」
「あとはモンスターの“怪獣”と、飼い慣らす意味の“懐柔”の2つの意味を込めています」

MVで山口が持っている卵が表しているのは、彼の信念。しかし、それを捨てさせて懐柔しようとする者が次々に現れる。卵を守り抜いた山口だが、次に襲いかかるのは彼を潰そうとする左右の壁だ。その壁が何を表しているのかというと、“同調圧力”である。壁に潰されそうになった山口が、身動きが取れないながらも卵を持った手を伸ばし、それを通行人に渡したところで映像は幕を閉じる。そのラストシーンは、あらゆる困難に立ち向かいながらリスナーに音楽を届けようとする山口の姿と重なって見えた。

&TEAM「Big好き(suki)」Special Video for LUNÉ

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場66位

「Big好き(suki)」は去年10月にリリースされた配信シングル「十五夜(Jyuugoya)」のカップリング曲で、“君”に対する好きという感情を包み隠さずポップに歌ったラブソングだ。今年2月に東京・東京ガーデンシアターで開催されたファンミーティング「2025 &TEAM FANMEETING ‘&︎❤︎’」にて、&TEAMはこの曲のすべての振付がついたパフォーマンスを初披露し、歌に合わせて指で“LOVE”マークを作る動きなど、キャッチーなダンスが話題となった。

ホワイトデーである3月14日の午後3時14分に公開された「『Big好き(suki)』Special Video for LUNÉ 」は、LUNÉ(&TEAMファンの呼称)に贈るプレゼントとして、撮影企画を&TEAMが自ら考案した映像。きらびやかなに輝くネオンやライトを背に、カウボーイコアのファッションをしたメンバーが優雅にパフォーマンスする姿が印象的だ。

コレオグラフィはメンバーのKが担当。ハットを生かした動きが随所に盛り込まれており、MVのロケーションや衣装との親和性も高い。3月23日には1月に神奈川・Kアリーナの「D.U.N.K. Showcase in K-Arena Yokohama」で披露された「Big好き (suki)」のライブ映像が公開されているので、こちらも併せてチェックいただきたい。

STPR Creators「PEACE(2025ver.)」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場93位

すとぷり、Knight A - 騎士A -、AMPTAKxCOLORSというSTPR所属グループ3組15人が集結したユニット・STPR Creators。2023年8月1日から1カ月間にわたって、メンバーそれぞれのYouTubeチャンネルで「マインクラフト」をベースにしたゲーム配信企画「いちごマイクラ」を行い、グループの垣根を超えたシャッフルチームで対抗戦を繰り広げた彼らは、ゲームの結果が発表された8月31日、STPR Creatorsとして初めての楽曲「PEACE」を発表した。この曲で彼らは、心が晴れやかになるようなさわやかなメロディに乗せて、一度きりの人生で“君”と出会えた喜びや、2人で楽しく進んでいくことなどを歌で表現した。

その「PEACE」発表から約1年半が経った3月17日に公開されたのが、「PEACE(2025ver.)」である。今回は2024年8月にSTPRからデビューしたグループ、めておら - Meteorites -の6人も加わったことで、声の個性や厚みも増している。全員で歌うパート、所属グループで歌うパート、個人で歌うパートに加え、現在実施中のグループ横断動画企画「STPR紅白合戦」の紅組・白組で歌うパートや、3月16日まで行われていたゲーム企画「STPRスプラ杯」のチームごとで歌うパートなども盛り込まれており、STPR所属クリエイターの動画配信を視聴しているリスナーが、より楽しみながら聴ける1曲となっている。

YouTubeのコメント欄では「なーくん(ななもり。)が『集まろ』って言ったからすとぷりができて、すとぷりが『集まろ』って言ったから今があるんだよね。『歴史を作ろう』ってマイクラとか歌みた、スプラ杯、すとふぇすって当たり前に楽しんでるけど、みんなと歴史を共有してるって思うと泣けてくる」など、この曲に彼らの歴史を重ねて感動する声が多数見られた。

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