Czecho No Republicが主催するライブイベント「DREAM SHOWER 2025」が10月5日に東京・豊洲PITで開催された。
「DREAM SHOWER」は、今年結成15周年を迎えたCzecho No Republicが初期から行ってきた自主企画イベント。7年ぶりの開催となった今回は、過去にも「DREAM SHOWER」に出演したことのあるgo!go!vanillas、sumika、SUPER BEAVERが集結し、音楽シーンをともに駆け抜けてきた4組が一堂に会する貴重なイベントとなった。
sumika
最初にステージに登場したsumikaは、片岡健太(Vo, G)が弾き語りで歌い始める「『伝言歌』」でライブを開始。観客がともにメロディを口ずさむ中、華やかなバンドサウンドが加わると、会場の空気は一気にヒートアップした。トップバッターとしての役割を全うし、大好きな先輩であるチェコの思いに応えるために「花火みたいなセットリスト」を作ってきたというsumika。「Lovers」「ふっかつのじゅもん」により場内がハッピーなムードに包まれる中、片岡はチェコを、そして自らを鼓舞するように熱い言葉を投げかけ続けた。そして「今日出てる3組は昔からの音楽の仲間。だけど今までのこととか、そのバンドが明日以降どんなことを抱えていくかなんて一切関係ない。今最高にカッコいいライブをすることだけを考えてます」と宣言。続く「運命」でライブの勢いをさらに加速させた。
「結成12年、仲間がいなかったら間違いなく足を止めていたと思います。俺たちが歩みを続けられているのは仲間の、そしてあなたのおかげ」という片岡の言葉を経て、sumikaは「雨天決行」を演奏。熱を帯びたバンドサウンドを届けながらも、MCでは「DREAM SHOWER 2016」出演当時を回想し、「みんなでプールに飛び込んだ」と裏話を披露した。彼らのラストナンバーは「Starting Over」。エネルギッシュな演奏を繰り広げてステージをあとにした。
go!go!vanillas
続いて登場したgo!go!vanillasは、牧達弥(Vo, G)の「今日はドリームじゃない。現実だ! 騒ごう!」という煽りを合図に「青いの。」でライブを開始。みずみずしいバンドサウンドで観客の手拍子を誘い、sumikaが作り出したポジティブなムードを引き継ぐような滑り出しを見せた。3曲目には、先月リリースされたばかりのEPの表題曲「SCARY MONSTER」を披露し、アグレッシブなライブを展開した彼ら。MCでは牧が「まあ、すごいメンツ集めましたな! すごい夜になるんじゃないの?」と観客に問いかけ、返ってきた歓声の大きさに「すごいパワーだね!」と目を見開いた。
さらに牧は、チェコが2030年の東京・日本武道館ワンマン実現を目標に掲げていることに言及し、「絶対行こうぜ、チェコ! 日本武道館へ!」とエールを送る。そして「この曲は俺から武井優心に捧げます」と告げて「Super Star Child」を演奏。シンパシーを感じているという武井に寄り添い、鼓舞するような歌を届け、観客には「みんなの声が俺たちの力になるんだよ。だからこれからもロックバンドを愛してやってください!」と伝えた。そしてラストは牧の「このイベントにでっかいでっかいロックンロールの魔法がかかりますように!」という言葉とともに「マジック」へとなだれ込む。バニラズは疾走感あふれるビートに乗せてエネルギッシュなサウンドを炸裂させ、イベントをさらなる熱狂へと導いた。
SUPER BEAVER
SUPER BEAVERのステージでは、渋谷龍太(Vo)が「俺たちにとってはなむけは、イベントを食うことだなって思いました!」と宣言。4人は「美しい日」でライブをスタートさせ、観客の大合唱と手拍子に渋谷が「最高」と返すと、迫力のアンサンブルで会場を揺らした。SUPER BEAVERにとってチェコは事務所・エッグマンの先輩。MCでは渋谷が、自分たちがエッグマンに入りたての頃、事務所の車2台のうちの1台は「チェコ号」と呼ばれていたこと、その名称の剥奪を目標としていたことを語った。
さらに渋谷は「俺はバンドマンだから、ほかのバンドがカッコいいって言いたくない! しかしCzecho No Republicというバンドはカッコいい!」と胸中を打ち明ける。そして「今日に関してはチェコの日でいいだろって思ってる。ただ、この40分間は紛れもなく俺たちが主役。わかってるか? (バンドを指して)俺たちじゃなくて(観客を指して)俺たちが主役!」と熱を込めて語り、続く「主人公」で観客の力強いリアクションを引き出した。その後もSUPER BEAVERとオーディエンスは気持ちを強くぶつけ合う。渋谷による「すべてに応えてくれた気がします。最高のフロアです。ありがとう」という感謝の言葉を経て、ラストに「アイラヴユー」を届けたSUPER BEAVER。渋谷はステージを立ち去る前、「このあと俺たちの大切な先輩が出てくるんで。任せたよ」と観客に語りかけた。
Czecho No Republic
イベントのホストであるCzecho No Republicは、観客の温かな手拍子に迎えられて登場した。山崎正太郎(Dr)の重厚なリズムとともに始まった1曲目は「Amazing Parade」。カラフルなバンドサウンドと七色のライトが場内に広がる中、武井優心(Vo, B)が「歌ってくれ!」と投げかけると、観客は大合唱で応えた。
砂川一黄(G)のさわやかなギターリフとともに展開する「MUSIC」、タカハシマイ(G, Syn, Vo)の歌声が幻想的に響くダンスナンバー「Electric Girl」でもフロアは大いに盛り上がり、武井は「めちゃくちゃ元気だな、豊洲PIT!」と笑顔。MCでは、「いやー、ヤバかったっすね。3バンド」と各バンドのステージを振り返り、「僕らも負けないように……と言いたいところですけど、僕らは僕らの音楽を自由に鳴らしていきます。絶対にみんなのことを楽しませるので、最後までよろしくお願いします!」と意気込んだ。そしてタカハシのレクチャーのもと、観客が一斉に振りを真似た「Psychedelic Night」、イベントの前々日にリリースしたばかりの新曲「Day by Day」でも観客を笑顔にさせ、有言実行を果たした。
ライブの後半では、武井の「出会いの先には物語があると思ってて。彼らに出会って十何年経ちますけど、こういう形でまた交わる日が来るとは思わなかった。今すごく美しい物語の中にいるなと思いながら、ここに立たせてもらっています」という語りを経て、その実感を「STORY」に込めて届けたチェコ。さらに彼らはsumika「Lovers」、go!go!vanillas「エマ」、SUPER BEAVER「切望」をひとつなぎにしたカバーメドレーも披露し、オーディエンスの高揚感を誘った。
ラストのMCでは武井が、競演の3バンドとは「何者かになろうとしている同志」として出会ったと回想。続けて「何者かになっていく3バンドに対し、僕らはいまだに何者にもなれず……光り輝いている彼らを(イベントに)呼んでいいのかと何度も悩み、プレッシャーに押しつぶされそうになった夜もありました。だけど二つ返事で『出るよ』と言ってくれて。そのおかげで、自分たちの光を今一度信じてみよう、ちっぽけな光だとしてももう一度愛してみたいなと思えたんです」と率直な想いを打ち明けた。さらに武井は「この中にも自分の光を見失ってる人や(自分を)ちっぽけだと思ってる人がいるかもしれない。だけど俺たちも『DREAM SHOWER』ってきっかけ1つで変われたんです。だからみんなももっともっと輝いて、自分のことを愛せるはずだと思います」と言葉を重ね、自身の実感を観客に対するメッセージへと変える。そんなMCのあとに届けられたラストナンバーは「好奇心」。チェコは一点の光源がステージを照らす中で演奏を始め、バンドサウンドの勢いが増すにつれて、その光は客席へと広がっていく。バンドから観客へと光が手渡された瞬間だった。
アンコールで披露されたのは「ダイナソー」。ラストにはsumika、go!go!vanillas、SUPER BEAVERを呼び込んで記念撮影を行い、和やかな空気の中でイベントはエンディングを迎えた。チェコは今回のイベントに続き、11月9日から全国ツアー「15周年記念 オールタイムベスト・リクエストツアー」を開催する。
セットリスト
「DREAM SHOWER 2025」2025年10月5日 豊洲PIT
sumika
01. 「伝言歌」
02. Lovers
03. ふっかつのじゅもん
04. 運命
05. 1.2.3..4.5.6
06. マイリッチサマーブルース
07. 雨天決行
08. Starting Over
go!go!vanillas
01. 青いの。
02. 来来来
03. SCARY MONSTER
04. Super Star Child
05. ダンデライオン
06. 平安
07. エマ
08. マジック
SUPER BEAVER
01. 美しい日
02. ひたむき
03. 主人公
04. 青い春
05. 切望
06. 人として
07. アイラヴユー
Czecho No Republic
01. Amazing Parade
02. MUSIC
03. Electric Girl
04. Psychedelic Night
05. Day by Day
06. STORY
07. メドレー
08. No Way
09. Firework
10. 好奇心
<アンコール>
11. ダイナソー
