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NiziU「♡Emotion」に見るSNS時代の恋愛法 / 「怪獣になりたい」は曲とMVのギャップがヤバい

再生数急上昇ソング定点観測
7分前2025年10月31日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで10月17日から10月23日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、7位にtimeleszの「レシピ」が登場した。今作は11月12日にリリースされる両A面シングル「Steal The Show / レシピ」の表題曲の1つで、メンバーの松島聡が初主演、猪俣周杜が初出演するテレビ朝日系ドラマ オシドラサタデー「パパと親父のウチご飯」の主題歌。ドラマの世界観にリンクした温かいポップソングに仕上がっている。

31位にはTOMORROW X TOGETHER「Can't Stop」がランクインした。10月19日のMV公開から1週間で2200万再生を突破し、日の出の勢いを見せている。

47位にはHoneyWorksの「ムカつく feat. 瀬戸口清武(CV:岡本信彦)」が登場した。疾走感ときらめきを感じるサウンドが、曲中の“君”に片思いをする“僕”の物語性を見事に増幅させている。

57位にランクインしたのはBOYNEXTDOOR「Hollywood Action」だ。今作は10月にリリースされた5th EP「The Action」のリード曲。これまでも楽曲制作に参加してきたメンバーのJAEHYUN、TAESAN、WOONHAKに加え、LEEHANが制作クレジットに初めて名を連ねている。歌詞には彼らの挑戦を恐れない姿勢が現れており、スウィング感のあるリズムとのハマりも抜群だ。

ボーイズグループの新曲が多数並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。

NiziU「♡Emotion」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場7位

LINEが誕生する前、電話以外の通信手段はメールだった。筆者が学生の頃、意中の人からメールアドレス変更の連絡が来たら、真っ先にアドレスをチェックしたものだ。なぜなら、その人を攻略するヒントが隠れていることが多いからだ。

例えば「mami-orangerange@*********.ne.jp」と書いてあれば、相手はORANGE RANGE好きだと推測できる。後日ORANGE RANGEのCDを学校に持って行き、その子の前でしれっと歌詞カードを広げて「自分も同じアーティストが好きです」と見せることで「あ、○○くんもそうなんだ」と会話が生まれ、心の距離がグッと縮まる。あるいは、メールで「今度ORANGE RANGEのライブがあるんだけど行かない?」と誘うのも有効。このように恋愛において“行間を読む力”は重要だ。

主な連絡方法がメールからLINEに移行した今、行間を読む力が試されるのはInstagramを中心としたSNSである。写真やハッシュタグを見て、相手のことを分析する。反対にSNSだからこそ「自分はこんなことが好きです」とアピールできるし、好きな人との思い出の写真を投稿する際に「#love」などと遠回しに気持ちを伝えることもできる。

NiziUの新曲「♡Emotion」は、そんなSNSによる恋の駆け引きを描いた、今の時代ならではのラブソング。曲中の主人公は「カフェのマグカップで匂わせ / 『誰といるの』って君のコメント / あえて既読スルー」と“君”の気持ちを揺さぶったり、「ちゃんと見てたよね? / 本当はたった一人だけの / ために投げたPost」と密かに思いを伝えたりしつつ、「このポストを“君”が読んだら、私の気持ちに気づいてくれるかもしれない……」という、あえて宛名を書かないラブレターを送る。本人に直接思いを伝えられないが、自分の気持ちを届けたい。そんな奥ゆかしさと甘酸っぱさが詰まっていて、絶賛片思い中の人にとっては非常に共感性が高い楽曲になっている。

削除 / Sakuzyo「怪獣になりたい feat. 初音ミク」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場18位

セガとColorful Paletteが、10月18日に「プロジェクトセカイ Championship 2025 in プロセカ感謝祭 powered by ヴァイスシュヴァルツ」を開催した。このイベントはリズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」で、選手が互いの腕を競う賞金付き公式大会である。今回はゲームの5周年を祝うべく東京ガーデンシアターで開催されたイベント「プロジェクトセカイ 5th Anniversary 感謝祭」の一環として実施され、オフラインでの開催は5年ぶりということで、大きな盛り上がりを見せた。

そしてその大会の決勝戦の課題曲として制作されたのが、Sakuzyoの「怪獣になりたい」だ。決勝の舞台で、次に選手たちがプレイするのがこの曲であることが明かされた際、会場では大きなどよめきが起きた。その理由の1つは、3本指以上の多指プレイを前提とした譜面が登場する新難易度「APPEND」の中で、この曲が過去最高難度を更新する「APPEND Lv.38」だったこと。まさに怪獣が暴れ回るような狂暴な譜面が、選手や観客に衝撃と絶望を与えたのだ。そしてもう1つの理由が、Sakuzyoが「pop'n music」の「Bye Bye」や「太鼓の達人」の「森羅万象」など、ゲーム音楽を中心に活動する作曲家として知られていること。そんなSakuzyoがボカロ曲を手がけるという、予想外の人選が選手や観客を驚かせた。

この曲が「怪獣になりたい / 全て倒して全て壊すの」などのフレーズで描いているのは、現世に絶望した初音ミクの破壊衝動だ。この街だけでなくこの国を、いや何もかもを怪獣になって粉々にしてやる、という壮大なスケールを描写しつつも「来世は美しく生きたい / 次があるなら可愛く生きたい」と願うあたりには怪獣になりきれないミクの人間味を感じる。怪獣になりたいが人間を捨てきれない、という絶妙なバランスに筆者は心惹かれた。

バランスといえば、からめるが制作したMVだ。「な ん で こ い つ に M V を 担 当 さ せ た」がYouTubeのトップコメントに上がっていることからもわかるように、シリアスな曲に対して、アニメーションはあまりにコミカルでおバカな要素が多い。10月18日の公開から10日間で175万再生を突破し、今も加速度的に再生数を伸ばしているこのMVだが、そんなギャップのある映像もバズの一因になっているのではないだろうか。

TAK「PPPP feat. 初音ミク, 重音テト」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場55位

「PPPP feat. 初音ミク, 重音テト」は、K-POPシーンで活動している韓国出身の音楽プロデューサー・TAKが制作した、日本語詞と韓国語詞が混在しているボカロ曲。仲間でありながらライバルでもある初音ミクと重音テトが、それぞれの個性をステージ上でぶつけ合う様子が描かれている。「예뻐예뻐 언니」(キレイなお姉さん)「뭐해뭐해 언니」(何してるの? お姉さん)などの韓国語特有の語感の響きが心地よく、また「ラブリースーパキューティーベイビーエグいよ」といったキャッチーなフレーズが随所にちりばめられていて、一聴してクセになるほど中毒性が高い。

MVのコメント欄では「作者の母国語が日本語じゃないからこそオノマトペとかカタカナ文字の使い方が新鮮で聞いてて楽しい」「この歌詞、日本人にはできないような言葉選びでクセになる」など、TAK独自のソングライティングを絶賛する声が多い。日本独自のボカロ文化と、K-POPを背景とする音楽センスが自然に融合した結果、そのどちらともひと味違う仕上がりになった「PPPP」。この曲はボカロの新しい可能性を切り開いた、革新的な1曲と言えるだろう。

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