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Suchmosアジアツアー完遂、“東京の名物”ライブハウスでバンドの原点に立ち返る

Suchmos(撮影:岡田貴之)
8分前2025年12月17日 10:03

Suchmosのアジアツアー「Suchmos Asia Tour Sunburst 2025」が12月12日と13日の東京・Zepp Haneda(TOKYO)にてフィナーレを迎えた。6月に行われた神奈川・横浜アリーナ公演2DAYSで5年8カ月ぶりに活動を再開したSuchmos。7月にEP「Sunburst」をリリースしたのち、10月からは新作を携えて国内の9カ所と、ソウル、上海、台北、バンコクを回るアジアツアーを展開してきた。本稿ではツアーファイナル2DAYSの初日にあたる12日公演の模様をレポートする。

「Pacific」で静かに幕開け

幻想的な青い照明がステージを照らす中、メンバーがステージに登場。TAIHEI(Key)が奏でる甘美なエレキピアノの調べが鳴り響き、この日のライブは「Pacific」で静かに幕を開けた。2曲目の「Eye to Eye」でステージ後方の幕が開くと、新作のタイトルでありツアータイトルにも冠された「Sunburst」というワードをモチーフにした、太陽をデザインしたビジュアルがスクリーンに映し出され、バンドが繰り出すミドルグルーヴがじわじわと会場の空気を温めていく。3曲目の「ROMA」では一転、攻撃的なサウンドに乗せてYONCE(Vo)がセクシーで煽情的な歌声を投げかける。次曲「Ghost」が届けられると物々しい空気が霧散していくように消え去り、それと入れ変わるように穏やかなサイケデリアがゆっくりと場内に広がっていった。「DUMBO」では、YONCEがポケットに片手を突っ込んだままルーディに歌唱。TAIKING(G)と山本連(B)はステージ前方で観客を煽るように演奏し、スリリングなバンドサウンドにKaiki Ohara(DJ)のスクラッチが鋭く切り込む。次曲「FRUITS」では、YONCEが波にたゆたうようなリズムに乗せて自らのルーツを歌い届けた。

ライブハウスって楽しいよ。バンドってカッコよくない?

MCではメンバーがツアー各地の名物についてトークを展開。「東京の名物は?」というテーマでは観客からも、さまざまな意見が寄せられる。ひさびさのライブハウスを中心としたツアーということもあってかYONCEは「今日、初めてライブハウスに来たって人いますか?」とフロアに語りかける。数人の観客が手を挙げると、YONCEはうれしそうな表情を浮かべ「今日という日を選んでくれてありがとうございます」と感謝を述べ、「僕らはバンドマンの代表でもないし、ライブハウスの代表でもないんですけど、こういう場所で、いろんな音楽をやってるバンドと切磋琢磨して成長して、今日このステージに立たせてもらっているという……老後の話をしてるみたいですけど、でもライブハウスって楽しいよとか、バンドってカッコよくない?っていうことをちょっとでも覚えて帰ってもらったらうれしいです」と、気の合う仲間たちとライブハウスで音を鳴らすというプリミティブな喜びを観客たちに飾らない言葉で伝えた。

「Hit Me, Thunder」でブルージーなサウンドが場内に充満

「自由に乗ろうぜ」というYONCEの言葉を合図に「MINT」でライブが再開。「周波数を合わせて調子はどうだい? 兄弟、徘徊しないかい?」というフレーズに観客たちがステージに手を伸ばして応える。「Alright」では盛大なコール&レスポンスで場内に一体感が生まれ、OK(Dr)のワイルドなドラムプレイでスタートした「To You」では、グルーヴィなベースラインを基調とした高速ファンクでフロアのテンションが高まる。シンセサイザーのロングトーンが鳴り響き、そこに物悲しいギターのアルペジオが重なり「Hit Me, Thunder」がスタート。YONCEはアコースティックギターをかき鳴らし、希望と諦念が入り混じる心の内を狂おしく歌い上げる。静かに始まった演奏は、楽曲が進むにつれ、うねるようにドライブしていき、ブルージーなサウンドが場内に充満していった。

ストレートなラブソング「Marry」を穏やかに歌い届けたYONCEは、ライブが残り5曲であることを観客に告げると、「自分たち主催のイベントごととか今日発表できればよかったんだけど」と前置きして、「何かやるということだけはお話しします。それはおそらく東京以外でも行われるでしょう」と意味深な言葉で今後の展開をほのめかした。

アップチューン連発で怒涛の後半へ

「A.G.I.T.」でライブは後半に突入。真っ赤なライトがステージ上を行き交い6人のエネルギッシュなパフォーマンスを演出する。Suchmosは続けて「STAY TUNE」をプレイ。アジアツアーで各国のファンを踊らせてきたであろう必殺のキラーチューンで狂騒的な盛り上がりを生み出すと、シームレスに「808」へ。バンドの演奏はさらに熱量を増していく。そしてTAIKINGのギターがサイレンのように、けたたましく鳴り響き「VOLT-AGE」でライブはいよいよ佳境に。躍動感あふれる演奏が観客を興奮の坩堝に巻き込む。本編ラストの「YMM」では、YONCEがサーチライトをフロアに向けながら歌唱。ライトが照らす先には、バンドが繰り出すグルーヴに心地よさそうに身を委ねる観客たちの姿が照らし出された。

アンコールに応え、再びメンバーがステージに登場。YONCEは中盤のMCに触れ「東京の名物ってライブハウスなんじゃないかと思う」と持論を述べる。続けて彼が、「クラブもそうだし、音楽と結びついてる場所が東京にはいっぱいあるから……という結論に2025年12月12日現在、一旦させてもらってもいいでしょうか?(笑)」と語りかけるとフロアから大きな拍手が沸き起こった。

アンコール1曲目は「Whole of Flower」。跳ねるビートと爽快なメロディが開放的なムードを作り上げる。最後はスローバラード「Life Easy」が届けられ、ピースフルな雰囲気の中、ライブはフィナーレを迎えた。

セットリスト

Suchmos Asia Tour Sunburst 2025」2025年12月12日 Zepp Haneda(TOKYO)

01. Pacific
02. Eye to Eye
03. ROMA
04. Ghost
05. DUMBO
06. FRUITS
07. MINT
08. Alright
09. To You
10. Hit Me, Thunder
11. Marry
12. A.G.I.T.
13. STAY TUNE
14. 808
15. VOLT-AGE
16. YMM
<アンコール>
17. Whole of Flower
18. Life Easy

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