【マイベストトラック2025】トラックメイカー編:橘慶太、hirihiri、真部脩一、八木沼悟志、Yohji Igarashi、Y ohtrixpointneverが選ぶ3曲
2026年の幕開けに合わせ、音楽ナタリーではさまざまなアーティストに「2025年に最も愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全8本の記事を公開していく。今回は「ネットクリエイター編」として、橘慶太(w-inds.)、hirihiri(PAS TASTA)、真部脩一(Widescreen Baroque)、八木沼悟志(fripSide)、Yohji Igarashi、Y ohtrixpointnever(Peterparker69)が選んだ2025年の3曲を紹介する。
構成 / 橋本尚平
橘慶太(w-inds.)
レディー・ガガ「The Dead Dance」
音質、アレンジ、メロディ、そして歌。
そのすべてが非常に高い次元で成立していることに衝撃を受けました。
一音一音が丁寧に選ばれ、無駄や粗さが一切なく、最後まで上品で洗練されたサウンドが自然に流れていく楽曲です。
LANY「Stuck」
気分を高めたい時には静かに気持ちを持ち上げてくれて、少し疲れた時や心を休めたい瞬間には、そっと寄り添ってくれる。
聴く側の状態を選ばず、どんな場面でも感情に良い影響を与えてくれる音楽だと感じます。
Maroon 5「Yes I Did」
自分自身も、いつかこんなふうに、何度聴いても飽きることのない、長く寄り添える音を鳴らせるアーティストでありたい。
そんな想いを抱かせてくれる。
2025年は何度この曲を再生したのか、正直もう分からないくらい聴いています。笑
<プロフィール>
橘慶太(タチバナケイタ)
1985年生まれ、福岡県出身。ダンス&ボーカルユニット・w-inds.のリードボーカルとして2001年にシングル「Forever Memories」でデビューした。グループ活動と並行し、2006年に橘慶太名義で「道標」、2013年にはKEITA名義で「Slide 'n' Step」をリリースするなどソロプロジェクトも展開。2015年発売のミニアルバム「FRAGMENTS」で作詞作曲のみならず初めて編曲も担当し、以降はトラックメイキングやミックス、マスタリングなどすべての工程を自ら手がけるようになり、他アーティストへの楽曲提供も行っている。2026年1月21日に橘慶太名義でのアルバム「RE:ONE」をリリース。
hirihiri(PAS TASTA、142clawz)
Frost Children「CONTROL」
今年リリースされたアルバム「SISTER」の一曲。この人たちのおかげでエレクトロに目覚めさせられました。プロダクションも歌も洗練されていてすごい。作曲配信でSerum以外のシンセを全く使わなくて驚いた。音がめちゃくちゃきれいで見習いたい。
kimj「R U READY GASHINAYA VIP(feat. Effie)」
今年リリースのアルバムからの一曲。とにかくブロステップが大好きなんだろうなというのが伝わってくる。ただのリバイバルには収まらず、全部からこの人独特の音とミキシングを感じられて気持ちいい。とにかく全部の音がデカい。ただ音量を上げるだけでは再現できない音のデカさ。
ROCKY CHACK「リトルグッバイ」
2025年リリースではないですが、今年一番聴いた音楽の一つです。音色やアレンジに編曲の保刈久明の音を強く感じられてファンとして嬉しいです。僕もこういう音を出せるようになりたい。サビで男女ボーカルが異なるリズムで同じ歌詞を歌う部分が特に好きで、“キスしてグッバイ ありとあらゆるもの”、数ある歌詞の中でも、特に好きな一節です。
<プロフィール>
hirihiri(ヒリヒリ)
1999年生まれの音楽プロデューサー。2019年頃にDAWを用いた制作を始める。2020年にYacaと共作した「power!」がSpotify公式プレイリスト「hyperpop」に選出され、ハイパーポップ文脈で注目される。またlilbesh ramkoとのユニット・142clawzとしてヒップホップシーンでも活躍。さらにJ-POPプロジェクト・PAS TASTAの一員として、Kabanagu、phritz、quoree、ウ山あまね、yuigotとともにエッジの効いた音作りに取り組んでいる。
真部脩一(Widescreen Baroque)
Herbert & Momoko「Babystar」
ハーバート関連のものは新譜が出たら必ず聴いてますし、聴かない日はない、とまでは言い過ぎですが聴かない週はないんじゃないかな。
16の頃からずっと追いかけているので、もう好き嫌いや良し悪しなんてものを超えてしまって「詣でている」という感覚です。
FKAツイッグス「Drums of Death」
FKAはまたすごいヒットアルバム出しましたね。今更僕などが何か言えるようなものじゃありませんが、真っ直ぐなサウンドと、シンプルな構成で、どうやったらここまで捉えどころのない新鮮さみたいなものを描き出すことができるんだろう。素敵です。
ano「ハッピーラッキーチャッピー」
そして、サポートやらせてもらってるので身内贔屓に聞こえるかもしれませんが、あのちゃんは歌詞が素晴らしいのはもちろんのこと、メロディセンスに舌を巻くことが多い。
この曲のサビメロとかすごいです。
<プロフィール>
真部脩一(マベシュウイチ)
相対性理論のベーシスト、進行方向別通行区分やVampilliaのギタリストとして活動。2012年に相対性理論を脱退し、自らが中心となって齋藤里菜と西浦謙助とともに2017年に集団行動を結成した。anoの「ちゅ、多様性。」「許婚っきゅん」で共同作詞および作曲を手がけるなど、さまざまなアーティストに楽曲を提供。2025年6月にボーカリストのHinanoとともに新ユニット・Widescreen Baroqueを立ち上げ、コンポーザーとして新たな音楽表現に挑んでいる。
八木沼悟志(fripSide)
エド・シーラン「Azizam」
この1年間なによりもリピートしてしまった曲が、エド・シーランの「Azizam」です。ポップの王道でありながら、メロディの響きやフックの使い方が従来のシーラン作品とは一線を画すアプローチで、国境を越えたポップ表現の新境地を感じました。声のニュアンス、コード進行の選び方、展開の巧みさなど、ポップミュージックの未来を感じました。
Anyma「Hypnotized(feat. Ellie Goulding)」
ダンス / EDMとシンセポップの融合を見事に体現したこのトラックは、「気分を一瞬で別世界へ連れていく」ような力を感じます。エリー・ゴールディングの浮遊感あるヴォーカルと、Anymaの緻密なサウンドデザインが絡み合うことで、感情の起伏を音で増幅するような体験を聴き手に与えています。強烈なエモーショナルさと、洗練されたダンスビートの調和は、2025年のエレクトロニック・ミュージックシーンの大きな潮流を象徴していたと思います。
ジョン・ロビンソン「The Night Is Done(feat. Aizzara)」
このコラボレーション曲は、トランス / プログレッシブ・サウンドの新しい地平を切り開いた一曲として、個人的に強く印象に残りました。Aizzaraのetherealな声と、John Robinsonの空間的でダンスフロアへの導線を描くビートは、彼独特の音楽的美学を生んでいます。懐かしいダンスポップ構造にとどまらず、音像全体をアーティスティックな体験へと昇華させている点は、私も見習いたいと思いました!
<プロフィール>
八木沼悟志(ヤギヌマサトシ)
1975年生まれの作詞・作曲・編曲家 / 音楽プロデューサー / キーボーディストで、2002年にfripSideを結成した中心人物。fripSideは2009年にテレビアニメ「とある科学の超電磁砲」のオープニングテーマ「only my railgun」をリリースしてアニソンシーンにその名を大きく知らしめ、以降アニメやゲームの楽曲を多数手がけている。2011年にはALTIMAを結成し、2016年の活動休止までに4枚のシングルと1枚のアルバムを制作した。現在fripSideは上杉真央と阿部寿世を含む第3期体制で活動中。2025年9月に「とある科学の超電磁砲」の主題歌集「とある科学の超音楽集 -A Certain Scientific Railgun:Music Chronicles-」をリリースした。
Yohji Igarashi
Skrillex, Boys Noize, Dylan Brady「ZEET NOISE」
ゲリラ的にリリースされた「Fuck U Skrillex You Think Ur Andy Warhol But Ur Not!!」。2025年に僕が一番聴いたアルバムからの1曲です。ミクステスタイルでショートミックス的にハイエナジーな楽曲群が繋がる中、自分もフロアでたくさんプレイしたということもあり、この曲を選ばせてもらいました。
本作中では意外と少なかった四つ打ち曲で、音数も少なく洗練された感じがあるのですが、1つ1つのサウンドデザインには複合的な多ジャンル性を感じさせられます。
後のEP「hit me where it hurts x」にも繋がる、新たなトレンド感を予感させる1曲です。
Only U & JUMADIBA「Chrome Hearts」
Only Uのアルバム「STORY」からのシングル。Onlyはメロディーセンスが本当素晴らしいですよね。
抜け感あるボーカルとビートの相性が絶妙に心地良くて、ワイドなイメージの洗練されたビート上をAuto Tuneで浮遊したかと思えば、2Verse目のJUMAのボーカルでしっかり締まる的な。
客演の人選とビートセンス、Onlyのネクストステージを見せてくれた1曲です。
勢喜遊 & Yohji Igarashi「Say Less」
2025年、個人的に最も思い出深かった出来事は「FUJI ROCK FESTIVAL'25」への出演でして、最後にこちらの楽曲も紹介させて下さい。King Gnuのドラマー・勢喜遊と2025年から本格的に始めたプロジェクトで、その初ライブがFRF'25最終日、深夜のRED MARQUEEでした。
このライブのためにずっと楽曲を作り続けてきて、ライブ前に唯一リリースしたシングルがこの「Say Less」。
ダンスミュージックと肉体的なグルーヴの融合を求めて、実験的な要素も取り入れつつ作った楽曲で、ミックス・マスタリングまで自分で行いました。縦横無尽に畝るベースとアグレッシヴなドラム、曲中に入るボーカルはHANATANIというラッパーが歌ってくれています。
今年もまた新しいものをお見せできると思うので、是非チェックして下さい。
<プロフィール>
Yohji Igarashi(ヨージイガラシ)
DJ / コンポーザー / プロデューサー。さまざまなアーティストへの楽曲提供やリミックスを行う中、自身名義での楽曲リリースも行っており、これまでに4枚のEPを発表している。2022年5月には、アメリカを拠点としてアジアのカルチャーシーンを世界中に発信するメディアプラットフォーム・88risingより、新しい学校のリーダーズ(ATARASHII GAKKO!)の「Pineapple Kryptonite(Yohji Igarashi Remix)」を全世界リリース。2024年5月に“NEW HIPHOUSE”を提示した、HIYADAMの2ndアルバム「Capture Land」をフルプロデュースした。2025年7月にはKing GnuやMILLENNIUM PARADEのドラマー・勢喜遊とのユニット“勢喜遊 & Yohji Igarashi”として「FUJI ROCK FESTIVAL'25」に出演した。
Y ohtrixpointnever (Peterparker69)
JPEGMAFIA「SIN MIEDO」
開始0秒で突き抜けてくれる感じ、ラップってよりトラックのアイデアがすき
rusowsky, Jean Dawson「KINKI FÍGARO」
ビッチノリとディズニー映画みたいな雰囲気に同時にタッチしてていい
jaso「(touch)Tomb Recording」
素手でガラス割ってその破片でギター弾きましたみたいな音がなんか印象的
2025は今までで一番音楽を聞かなかった年だと思ってたけど、この三曲だけじゃ足りなかったなぁ
そんな感じ
<プロフィール>
Y ohtrixpointnever(ワイオートリクスポイントネバー)
2020年に活動をスタートさせた音楽プロデューサー。2022年にラッパーのJeterとともにオルタナティブポップユニット・Peterparker69を結成。同年にリリースした1stシングル「Flight to Mumbai」が話題を呼び、翌2023年にはAppleのCMソングに採用された。2025年には、RADWIMPSの野田洋次郎とのコラボ楽曲「Hey phone(feat. 野田洋次郎)」を収録した1stアルバム「yo,」をリリースした。2026年2月12日に東京・WWW Xで、SUSHIBOYSとのツーマンライブ「ライブナタリー “Peterparker69 × SUSHIBOYS”」を行う。


