HYDEのオーケストラツアー「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」の東京公演が、HYDEの誕生日である昨日1月29日に東京ガーデンシアターで開催された。
心とろかすオーケストラライブの幕開け
1月17日に福島で幕を開け、全国のホール会場を中心に展開されている「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」。HYDEは今春リリースするニューアルバム「JEKYLL」の全曲を、総勢22名からなるJEKYLLオーケストラとともに届けている。昨年はL'Arc-en-Cielとして自身のバースデーライブ「L'Arc-en-Ciel LIVE 2025 hyde BIRTHDAY CELEBRATION -hyde誕生祭-」を東京ドームで開催したHYDEだが、今年はソロツアーの一環としてライブを行った。
オーケストラ公演ならではの厳かなムードが開演前から漂っているのが「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」の特徴だが、この日はHYDEの誕生日ということもあってか、空気に心が浮き立つような高揚感がにじむ。場内が暗転し、3段のひな壇の上にスタンバイするJEKYLLオーケストラのメンバー、大きな両翼をあしらった玉座に座るHYDEの影がステージに浮かび上がると、満員の会場は静かな熱気に包まれた。
大きなつばをあしらったキャペリンを被り、トレンチコートにファー仕立てのマフラーという正装姿の彼がゆるりと立ち上がり、吐息混じりの歌声を発した刹那、7000人を収容する東京ガーデンシアターに心とろかす世界が広がる。弦楽ダブルカルテットの繊細で豊潤なアンサンブル、管楽器の高揚感を引き立てる音色、リズム隊が織りなすダイナミックなグルーヴ、ピアノとギターが奏でるなめらかな旋律、男女編成のコーラスによる深みのあるハーモニー……有機的に絡み合う音をその背に受けながら、HYDEは自身の“静”の一面を注ぎ込んだ「JEKYLL」の楽曲を余すことなく歌い上げていく。ちょうどツアーも中盤に差しかかり、こなれた脂が乗り始める頃。JEKYLLオーケストラとHYDEの円熟味たっぷりのパフォーマンスに、オーディエンスはうっとりと聴き入った。
HYDE、DAIGOのサプライズに膝から崩れ落ちる
曲の合間に「今日は中継も入ってて、世界中から見られちゃう」と少し照れくさそうに切り出したHYDEは、「今日は僕に言うことがあるんじゃないの?」といたずらっぽく観客に呼びかける。「おめでとう!」という声があちこちから上がる中、彼は「また1つ年を重ねてしまいました。その最初の日に皆さんいらっしゃったということで……楽しんでいってね」と笑った。そして突然、“東京名物”というドーナッツを食べ出し、「前、ここ(東京ガーデンシアター)に来たときは、もっと緊張感があって……」と、3年前にTHE LAST ROCKSTARSとして立った日のことを示唆。マイクから伸びる赤いケーブルを手にしながら「皆さんとは、赤い糸でつながってます」と殺し文句を放ち、中継を見守るファンに向けて食べかけのドーナッツを差し出すなど、自由すぎる行動で観客を笑わせた。
和やかなMCタイムを挟んで再びパフォーマンスに突入し、次の曲である「DEFEAT」を歌い出すHYDEだったが、オーケストラが奏でるアンサンブルが何かおかしい。訝しげにしながら歌い続けていると「Happy Birthday to You」が始まり、HYDEは文字通り膝から崩れ落ちてしまう。そこに彼のファンを公言してやまないDAIGO(BREAKERZ)がケーキを乗せたワゴンを押しながら満面の笑みで現れ、会場の祝福ムードに拍車をかけた。
まったく知らされていなかった演出に驚きつつ、HYDEはDAIGOを抱き寄せ、自身が観光大使を務めるオーストリアから特別に運ばれた巨大なザッハトルテに立つ蝋燭の火を吹き消す。さらに、サプライズで用意されたという、バースデーケーキを模した光沢感のあるうちわを手にした観客をバックに記念撮影もするなど、誕生日らしい時間を堪能した。DAIGOから「SSS!(好き好き好き!)」と、TOMORROW X TOGETHERへの楽曲提供でも話題となった「SSS(Sending Secret Signals)」にかけたようなDAI語による祝福の言葉を贈られ破顔するも、ここまでの怒涛の展開に「もう僕、疲れた……もうダメだ」と本音がダダ漏れ。しかし、キャリア35年を誇るボーカリストらしく、オーケストラの演奏が始まるや否や、たちまち圧倒的な歌声で「JEKYLL」の世界へ再びオーディエンスを引き込んだ。
驚きすぎて寿命が……
ライブの折り返しで、HYDEはキャペリンとコートを脱ぎ、パフスリーブの白いブラウス姿に。そのはかなげな佇まいに似合う「SMILING」を歌い始めるも、途中で咳き込み、会場に緊張が走る場面もあった。一瞬苦しそうな表情を浮かべたHYDEだったが、演奏を止めることなく驚異的な集中力で持ち直し、ボーカリストとしての胆力を証明する。「病気みたいな曲だからいいかな。ちょっと驚きすぎて、寿命が縮んじゃった」とユーモアを交えエクスキューズして、オーディエンスを安堵させた。
終盤ではソロとしての始まりの曲である「EVERGREEN」、この日リリースされたばかりの最新曲「THE ABYSS」、そして凄絶な世界を描く「LAST SONG」を一連の流れで披露することで、アーティストとしての変遷を表現したHYDE。L'Arc-en-Cielのボーカリストとしては35年、ソロとしては25年、その長いキャリアの中で培われた豊かな歌声を、荘厳なオーケストラサウンドとともに響かせた。
YOSHIKI、バラの花束を抱え現れる
壮絶な余韻とともに本編が終了するも、まだ祝い足りないと拍手喝采を寄せるオーディエンス。熱烈なアンコールに応えて戻ってきたHYDEは、「今日はいいお酒が飲めそうです」と口元を緩めしみじみ。そして「もう1人素敵なお客さんがいらしてます」とスペシャルゲストであり、THE LAST ROCKSTARSとしてともに、この東京ガーデンシアターのステージに立ったYOSHIKI(X JAPAN)を呼び込んだ。YOSHIKIは「お誕生日おめでとうございます」と、大きなバラの花束をHYDEに手渡し、その肩をそっと抱き寄せる。HYDEは「泣きそう」と感激した様子で、「生きててよかったなって。こういう機会があると、僕って思ってくれている人がたくさんいて、幸せだなあと思います」とほほえんだ。
ライブの最後に、バースデー公演限りの演目としてHYDEがYOSHIKIとともに披露したのは、YOSHIKI feat. HYDE名義でリリースされた「RED SWAN」。歌とピアノのみという、ごまかしが利かない編成で構築される壮大なサウンドスケープに、オーディエンスの誰もが息をのんだ。
「素敵な誕生日になりました。今日はありがとうございました」。そう口にしたHYDEはマイクを床に置き、ステージの端から端まで巡り、観客との別れを惜しむ。YOSHIKIから贈られたバラを抱えた彼は、投げキッスを客席に贈り、ハプニングとサプライズに満ちたバースデーライブに幕を下ろした。
なお「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」はこのあと、香川、広島、山口、愛知、福岡、神奈川と国内で展開されたのち、5月25日にオーストリア・ウィーン・コンツェルトハウス公演をもって閉幕する。昨日のライブの模様は2月2日まで、ストリーミング配信サービス・LIVESHIPにてアーカイブ配信中。
公演情報
HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL(※終了分は割愛)
2026年3月1日(日)香川県 レクザムホール (香川県県民ホール)
2026年3月13日(金)広島県 広島上野学園ホール
2026年3月14日(土)山口県 山口KDDI維新ホール
2026年3月21日(土)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2026年3月22日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2026年3月24日(火)福岡県 福岡サンパレス
2026年3月31日(火)神奈川県 ぴあアリーナMM
2026年4月1日(水)神奈川県 ぴあアリーナMM
2026年5月25日(月)オーストリア ウィーン・コンツェルトハウス 大ホール


