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日本語ラップ最前線・BATICAで2月にカマしたラッパーは

GamBallのライブの様子。
12分前2026年03月13日 7:05

今、最もホットなラッパーが集まる東京の現場と言えば、東京・恵比寿に2011年にオープンし、今年15周年を迎えるEBISU BATICA。ヒップホップフェス「POP YOURS 2026」にニューカマーとしてラインナップされているAOTO、Siero、Sad Kid Yaz、Kiannaらも出演してきた日本語ラップの最前線であり、毎月さまざまなパーティが開催されています。この連載では、そんなBATICAのブッキングを担当している一瀬公佑さんに特に印象に残ったパーティやラッパーを毎月紹介していただきます。

取材・文 / 三浦良純

フラっと来たGamBall

2月はGamBallが一瞬だけ来たんですよね。GamBallと同じく新潟出身のラッパーXANから「ライブやりたいです」って連絡があって企画した「PURE MUSIC PARTY」というイベントが7日にあって。ゲストはMadaler kid、Xameleon、Ccn & viviっていうメンツで、DJ含めてアットホーム感が強いし、ちゃんとお客さんも入るパーティだったんですけど、GamBallは同じ日のナイトに系列店の代官山ORD.に出演予定だったんです。それでリハーサルの前にフラっとBATICAに立ち寄ってくれて。

ちょうどそのとき、GamBallとコラボ曲を出してるXameleonが2階でライブをしてたんで、それを伝えたら「マジっすか」って上がっていって。「これはコラボ曲やっちゃうのかもな」と思いつつ、僕はそのまま1階で違う仕事してたんですけど、モニターから「あんたら次第」って声が聞こえてきて。「え、どういうこと?」って観に行ったら、GamBallが自分の曲(「Yuki Chiba Flow」)をめちゃくちゃ歌ってました。

驚きましたけど、BATICAがこうやってフラっと来やすい現場になってるのがすごくうれしいなと思います。今話題のKiannaが2月に、別の場所でリリパをやる前に「リハーサルしていいですか?」ってBATICAに来たこともあったし、ほかにも「アルバムのハコ鳴りが気になるから流していいですか?」ってラッパーに相談されることもあるし。コロナ禍のときはBATICAでレコーディングする人もいたんですよね。先代の人たちが作り上げてくれたBATICAのカルチャー、空気感だと思います。

国内外から注目されるYvnlazy

12日に開催した「mid points」は、韓国のラッパー・yeilが東京に来ることになって「ライブできるところないか?」って相談されて急いで作ったイベントなんですけど、この日も遊びに来ていたswettyが最後にステージに上がって、yeilと一緒に歌ってくれる場面がありましたね。

今回の「mid points」は、ラッパーのLilniinaがakumachan†って名義で初めてDJをしていたのがトピックの1つだったんですが、ライブアクトとしては、she's roughの「UDG FRESHMAN CYPHER 2026 – JPN」にも出演していたYvnlazy(ヤンレジ)がすごくよかったですね。ヤンレジくんはエモラップっぽいニュアンスの曲が昔は多かったと思うんですけど、ここ最近step teamという新興ジャンルのビートでラップし始めて。「UDG」で一気にチェンジした印象があります。

国内でももちろん売れてるし、step teamというジャンルを通して、日本以外のアジア圏のリスナーも増えている感じがします。歌が上手なのもあるんですけど、マイクの通りがすごくいいし、MC力もあって、とにかくライブがうまい。いろんな層に聴いてほしいラッパーですね。

けん玉ラッパーYASÜ

「mid points」でもう1人紹介したいのがYASÜっていうラッパーです。今は16歳くらいかな? 有名なストリートけん玉プレイヤーらしくて、「NHK紅白歌合戦」のけん玉企画にも長年参加してますね。僕は何も知らなかったんですけど、現場で「ライブに呼んでほしい」って紹介されて、インスタ見たらめっちゃけん玉でカマしてて。音楽もちゃんとやっててセンスを感じるんですよ。

この日はPluggとかハイパーポップっぽいラインナップで、ちょっと異色だったかもしれないんですけど、「mid points」はそこまでジャンルを縛っていないイベントだから、今回出てもらったらシンプルにカッコよくて面白かったです。BATICAに出るのはこれが初で、たぶんまだ全然知られてないのでチェックしてみてほしいですね。

「i love tokyo」がよすぎる

自分の企画ではないんですけど、22日にはBATICAのスタッフでもあるDJのindiy(THE HARVEST)のオーガナイズで「Grid.」というイベントがあって盛り上がりました。プロデューサーのGen Yamada、ラッパーのGYW BAY DAGR、Lil Mafuyuのコラボシングル「i love tokyo」がとにかくよすぎるって話になって、そのリリースパーティをしようということで企画されたんです。

3人のライブはもちろんよかったし、Nyture、Lillie、MADEINBEN10、Merry、Flip da Hoodsという抜かりないメンツも最高でした。Flip da Hoodsはitachi、FLASH、ns hack、Ixtab、Laplaceのコレクティブで、2023年にアルバムを出してから長らく作品を出してないんですけど、今年また動きがあるみたいなので注目ですね。

Merryは曲がすごくよくて、一時期SNSで話題になってたラッパーです。まだライブはそこまでガッツリやれてないんですけど、ライブを重ねたら、さらにいいラッパーになると思ってます。

she's roughは何者?

先月紹介したshe's roughのイベント「Clr.」は、当たり前に盛り上がってました。「Clr.」は、仲がいいとか集客力があるとかではなく、she's roughが忖度なしでカッコいいと思う人だけを呼んでいるイベントで、それにちゃんとお客さんが付いてきているんですよね。お金や集客を考えてイベントをやる人も多い中で、彼は「とにかくカッコいいやつを売りたい」という気持ちだけで動いていて。センスがあるけどまだ売り方が見えてないような子のバックアップもしているし、リスペクトしてます。

she's rough本人はあまり露出したくないんだろうと思いますけど、数年前からずっとBATICAに出入りしている人で。最初はカメラマンとして入って、ライブの映像をTikTokやYouTubeに上げていたんです。その当時、僕はアルバイトだったんですけど、毎回来てる人がいるから「この人、たぶんshe's roughだよな……」って話しかけて、そこからずっと仲よくしてもらってます。

今大活躍してるSieroに目を付けたのもshe's roughがダントツで早かったし、Elle、swetty、@ik4nj306、21gangsoundとかSoundCloud出身の若いラッパーをずっとサポートしていて。みんな頭が上がんないと思うんですよ。それでサポートしたラッパーが大きくなっても、その人とばかり仕事するわけでもなくて、また新しい人を探そうとしているのが面白い。

玄人と若者の心をつかむLisa lil vinci

今回の「Clr.」のラインナップをパッと見ても「よくある並びだな」とは感じないから、その点でもいいイベントだなと思います。特によかったアクトは、やっぱりLisa lil vinci。ずっと人気だし、自分よりさらに若い層を巻き込んでいてカッコいいなと感じました。そういえばJairo narkが「心に飼ってるLisa lil vinciとSad Kid Yaz」って曲を出してましたよね。Lisaくんみたいになりたい子は多いんじゃないかなと思います。

ラップマニアの玄人と若い子のどちらにも受けるものを作るのってすごく難しいと思ってるんですけど、LisaくんもYazくんもカッコよさで全員黙らせてるラッパーだと思いますね。

あと今回で言うと、1年半前くらいからSoundCloudで知って、ちょくちょくBATICAに出てもらっているLieというラッパーが1番手で出ていて。SieroやElleと世代的に近いものの、その2人に比べると、まだ数字的な面では伸びてないんですけど、ライブでちゃんとカマしてくれるし、曲を出すスピードも早いので、今年期待しているラッパーです。イベントの前にshe's roughのYouTubeチャンネルでミュージックビデオが公開された「ありえねえよ」って曲がキャッチーなので聴いてほしいです。

イェーガー100杯頼んだサムスク

同じく先月紹介したサムスク(THE SAMURAI SQUAD)のリリースパーティもよかったです。サムスクのほかもLegal nerd boyz、Awesome Brothers、KUROJIという、BATICAや系列店でよくやってるメンツなので、リハーサルの時点で「こんなに知ってるやつしかいないイベントはほかにないな」と思ったし、シーン的にも面白いイベントになったと思います。みんないいやつらなんでクルー同士で仲がいいんですけど、お客さんにも「もともとはシラフのファンだったけど、今はAwesome Brothersも好き」みたいな人が出てきていて素晴らしいなと。

サムスクはもちろんカマしてたし、ほかのクルーもしっかりフロアを沸かせてました。KUROJIはメンバー全員しっかりキャラが立ってるから、「ラップスタア」でHIZAGUTYAが脚光を浴びるのと同時に、クルーとして人気が出てきている感覚があるんですよね。

この日はナイトのイベントがなかったので延長して盛り上がって、お酒もたくさん出て、みんなグチャグチャになってました。サムスクの「人生一気」って曲に「頼んだテキーラ90杯」って歌詞があるんですけど、BATICAはテキーラじゃなく、イェーガーなので、メンバーのMAX!!!がイベントの最後にイェーガーを100杯出してくれて。100杯も出したら配り切るのにも時間かかるんだけど、その間ずっとDJが「人生一気」を流していて、「いいパーティだなあ」と思いましたね。

3月の注目イベント

「堪能あれ」LNB実家の布団 × ライブイベント

TOKYO世界、シラフ、SKINNY YMTのLegal nerd boyzがやってるポッドキャストのイベントが3月13日にあります。それぞれソロとクルーでライブしつつ、ちゃんと3人のトークコーナーもあって。僕もラジオ好きだし、BATICAの使い方として正しいというか、いろんな使い方をしてほしいと思っているので、こういう面白い試みを持ちかけてくれてうれしかったです。

C.R.I.B. NIGHT vol.27

2024年1月から毎月やってきたlyrical schoolの定期公演「C.R.I.B. NIGHT」の27回目が3月23日にあるんですけど、グループは4月19日に解散するから、これで最後なんです。ハコの主催じゃない月例イベントってこれだけで、BATICAでやってくれてすごくうれしかったんですよね。あの人数なので、最初はBATICAでやるのしんどそうだったし、「ごめんなさい」と思ってたんですけど、毎月やる中でBATICAでの立ち回りがめっちゃ上手になってて。メンバーが活動休止したり、復活したりみたいなのもずっと見てたし、毎月会ってた人たちと会えなくなるのは寂しい限りです。

店舗情報

EBISU BATICA

クラブとライブハウスの両方のよさを引き出し、違った感性と人をつむぐ新しいコミュニティ作りの場として、多種多様なシーンに対応するイベントスペース。1Fは40名前後、2Fは80前後のキャパシティで、ドラムセット、アンプ、プロジェクターなども備えている。DJやライブイベント、展示からウェディングパーティに加え、飲み会、結婚式二次会、試聴会、プレス向け発表会、展示会、各種撮影など、さまざまな形態での利用が可能となっている。

EBISU BATICA | Tokyo

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