楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。
第39回は、1月に最新アルバム「ヤッホー」をリリースしたことも記憶に新しい坂本慎太郎さんや、中納良恵さん(EGO-WRAPPIN')などのサポートを務める菅沼雄太さんが登場です。
構成 / 丸澤嘉明
ドラムフレーズが好きな曲とその理由
Lightning Bolt「Dead Cowboy」(ドラム:ブライアン・チッペンデール)
何が何だかわからないけれどめちゃくちゃカッコいいと思っています。映像の素晴らしさや録音の迫力も加味しているとは思いますが、音だけで聴いてもお二人の勇姿が思い浮かびます。ふと思い出してはよく観る映像です。
キップ・ハンラハン「Aziz And Azizah」(ドラム:オラシオ・エル・ネグロ・エルナンデス、ロビー・アミーン、J.T. ルイス)
この曲を知ったのは90年代半ばだったかと思います。それまでエイトビート一辺倒だった自分にとってこの曲は感動的でした。いつ聴いても新鮮です。ライブも何度か観ることができました。上記のお三方のほかに、ミルトン・カルドナ、リッチー・フローレス、チャンギート、アマディート・バルデス、アンディ・ゴンザレス、ジェリー・ゴンザレス、その他割愛、の演奏を観れたことは貴重な体験でした。
さかな「レインコート」(ドラム:林山人)
なんだか心が凪いでいるような、深く沈んでいくような、空気に溶け出して消えてしまいたくなるような時期に出会った曲です。ときおり顔を出す太鼓のような音が、どうしようもない静寂感や説明しがたい孤独感をより鮮明なものにしているような感覚にもなります。
The Street Sliders「Boys Jump The Midnight」(ドラム:鈴木”ZUZU”将雄)
スライダーズはいまだに、特に車でよく聴きます。とにかくメンバーの皆様が圧倒的で、ライブではさらにそれが強靭な密度をともなって跳んでくるようでした。当時10代だった自分にとって「リズム隊」というテーマを意識するきっかけにもなった思い入れのあるバンドです。
トミー・フラナガン「Relaxin' at Camarillo」(ドラム:エルヴィン・ジョーンズ)
とても好きな曲です。自分はジャズは叩けませんのでドラムソロがいったいどうなっているのかまったくわかりませんが、聴くたびに心躍らされる素晴らしい演奏だと思います。エルヴィン・ジョーンズを観たのは一度しかありませんでしたが、小節などの概念ではない、何か大きなうねりを感じるような演奏、存在でした。
自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること
いい意味で「ドラムの印象がない」ような演奏ができれば、と思っています。
自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマー
楽器との親和性が高く、楽曲の本質や将来性などをとらえる洞察力、想像力、瞬発力などがあり、解体や再構築に立ち向かえるような方々に憧れます。音楽に限らずですが。
プロフィール
菅沼雄太
坂本慎太郎、中納良恵(EGO-WRAPPIN')、ハナレグミなど多くのアーティストのサポートを務めるドラマー。塚本功の率いるトリオバンド、ネタンダーズでも活動中。


