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HYDE×オーケストラ協演「JEKYLL」ツアー国内編終幕、音楽の街・横浜に響いた豊潤な歌とアンサンブル

HYDE(撮影:石川浩章)
11分前2026年04月06日 10:01

HYDEのオーケストラツアー「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」の国内最終公演が、4月1日に神奈川・ぴあアリーナMMで行われた。

今年1月に、音楽都市としても知られる福島・郡山で幕を開け、全国のホール会場を中心に展開された「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」。HYDEは弦楽ダブルカルテット、管楽器隊、コーラスを擁する総勢22名からなるJEKYLLオーケストラとともに各地を巡り、1stアルバム「ROENTGEN」の続編となる最新アルバム「JEKYLL」の世界を来場者に余すことなく届けた。ちなみに、国内最終公演の地として選ばれた横浜も音楽の街を標榜しており、国内ツアーは音楽にちなんだ地で始まり、終わるという円環を見せた。

オーディエンスを酔わせる甘やかな歌声

ステージを覆っていた緞帳がなめらかに上がり、観客の目には3段のひな壇の上にスタンバイするJEKYLLオーケストラのメンバー、そして玉座に座るHYDEのシルエットが飛び込んでくる。オーケストラの演奏が厳かに始まり、その音に合わせておもむろに立ち上がったHYDEは、トレンチコートの裾を揺らしながら甘やかな声で「DIE HAPPILY」を歌い出した。

マイクにそっと手を添え、hico(Piano)が弾く淑やかでジャジーなピアノの音色にその声を絡ませていくHYDE。吐息混じりの声がアウトロで響くと、厳かながら熱のこもった拍手が沸き起こった。続くTOMORROW X TOGETHERへの楽曲提供でも話題となった「SSS」では低くまろやかなウッドベースがサウンドをリード。そこに色香をにじませたシルキーなボーカルが重なり、オーディエンスを酔わせた。「SSS」がクールな雰囲気をたたえていた一方、弦楽器が華やかな音像を描く「MAISIE」では、毒をはらんだ狂おしい声が会場を侵食。1曲ごとに異なる表情を見せるHYDEとJEKYLLオーケストラのコラボレーションに会場にいる誰もが嘆息し、曲が終わるたびに拍手を打ち鳴らした。

“JEKYLL”モードで挑発するHYDE

「『JEKYLL』へようこそ」。恭しくそう告げたHYDEは、改めて「JEKYLL」について言及する。「25年前に1stアルバム『ROENTGEN』というのをリリースいたしました。そのアルバムはオーケストラを主体とした、映画音楽だったり、ジャジーな雰囲気のアルバムで。すごく大変だったので、第2弾をなかなか作ることができなかったんですが、25年経ってやっと、第2弾をリリースすることができました」としみじみ。続けて「普段は激しい曲をやっているので、まさに『JEKYLL & HYDE』という二面性のアルバムになっております。今日はいい子ちゃんで座って、ご覧いただきたいなと思います(笑)。このメンバーと演奏するのも今日で最後なので、耳の穴かっぽじって、よく聴いてください」と“JEKYLL”モードの彼らしくおっとりとした口調で煽り、静かに観客の興奮をかき立てる。

ライブの導入こそアダルトな側面を打ち出していたHYDEだったが、「僕がレストランのオーナーとなって、年に一度現れるお客様を歓迎するという曲」という紹介とともに始まった「SO DREAMY」では、心をとろかすチャーミングな歌声で1万人の観客をもてなし、ぴあアリーナMMをクリスマスシーズンへと誘っていく。いわゆるHYDEの“動”のモードのライブでも定番の「HONEY」「GLAMOROUS SKY」は、それぞれオリジナルバージョンとはまったく異なるアレンジに。「HONEY」はスパニッシュギターの調べが印象的なボサノバ風に、「GLAMOROUS SKY」は弦楽器をフィーチャーした情感たっぷりのスローバラードに仕立てられ、新鮮な響きをもってオーディエンスの耳に届けられた。

「今日はプリンでよかった」

オーケストラならではの豊かなアンサンブルと、激情ほとばしる歌が融合した「NOSTALGIC」、深淵を感じさせる始まりから、穏やかな声と美しい口笛によって空気が柔らかくほどけていく「TATTOO」という対照的な2曲を経て、「FINAL PIECE」へとつなげたHYDE。「The final piece was you(私にとって最後のピースはあなたでした)」。そんなロマンチックなフレーズを観客1人ひとりに向けて歌いながら、赤いマイクケーブルをそっと胸に当てる。柔らかな表情を浮かべた顔がスクリーンに映し出されると、観客の顔も思わずほころび、温かなひとときが会場内に広がった。

なお「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」でHYDEは、各地のご当地グルメや銘菓をステージ上で実食。そんな彼がこの日選んだのはビーカー入り手作り焼きプリンの「マーロウ」だった。「なぜかここでプリンを食べなければならない」と美声で「マーロウ」と連呼しながらプリンを口に運ぶ。さらに前日の公演ではあんまん(パンダまん)を食べたことを明かし、「あんまんは歯にくっつく。水分めっちゃとられる。今日はプリンでよかった」と安堵して、観客をほっこりさせた。

ハートウォーミングなMCを挟み、ライブは「DEFEAT」で後半戦に突入。キャペリンとロングコートを脱ぎ、パフスリーブの白いブラウスシャツ姿に衣装替えしたHYDEは、ハンドパンがミステリアスなムードを醸し出す「FADING OUT」、美しい旋律に乗せて狂おしい感情を歌い上げる「SMILING」を通して、内省的で静謐な世界を連続で描いた。

「JEKYLL」から「ROENTGEN」へ円環

静かな余韻が広がる中、HYDEは「今日やってるような曲を、小さなクラブとかでしっとりと歌いたいなと思って作りました」とユーモアたっぷりに将来の夢を語る。トークが少し脱線しかけていることにはたと気付くと、「そういうこともありながらね……楽しんでますか?」と観客と向き合う。そして、「いろんな人に愛されて育った曲だと思います」という言葉とともに、25年前にリリースされたソロデビュー曲「EVERGREEN」を穏やかに歌い紡いだ。「THE ABYSS」で息苦しくなるほどの深淵へと引きずり込んだあとに、伸びやかな声で「RED SWAN」「BREAKING DAWN」を歌い上げ、それまで漂っていた閉塞感を打ち破るなど、幅広い表現でオーディエンスを感嘆させた。

コーラスとの息ぴったりの掛け合いを聞かせる「夢幻」で激しい一面をチラリとのぞかせたのち、HYDEがラストナンバーとして届けたのは「LAST SONG」だった。2024年から2025年にかけて行われた「HYDE [INSIDE] LIVE」でも披露されていた「LAST SONG」は、凄絶な演出とパフォーマンスが強烈なインパクトを残すバラード。歌い出しであどけなさのあったHYDEの声は、次第に狂気を帯び、クライマックスでは歌とも慟哭ともつかないものへと変わっていく。

純白の羽が舞う映像を背に、真っ赤な照明の中でオーケストラのダイナミックなアンサンブルを全身に浴びて絶唱するHYDE。誰もがその姿に釘付けになる中、彼はささやくように「SECRET LETTERS」のワンフレーズを漏らす。抑圧された状況の中でも、心だけは自由だと切実に歌う「SECRET LETTERS」は1stアルバム「ROENTGEN」の最後を飾る1曲で、アンネ・フランクが記した「アンネの日記」をモチーフに作られた逸話を持つ。

「JEKYLL」から再び「ROENTGEN」へとループしていくドラマチックな展開を見せて、オーケストラツアーの国内編は大団円へ。ツアーの完走を祝うべく、この日は観客とJEKYLLオーケストラの面々がサイリウムを灯し、再びステージに姿を見せたHYDEを出迎える。星空のような景色を前に、目を見開き「わあ……」と言葉を失うHYDE。彼は少し目を潤ませながら、「すごくいい経験になりました。歌と向き合えたツアーだったと思います。こんなに好き勝手やってこれたのは、雨の平日に集まってくれるよき理解者のおかげです。ありがとうございます。今後も自分が楽しいと思うことを追求して逃げ切りたいと思います」と穏やかだが力強い口調で語り、何度も投げキッスを客席に贈って舞台を降りた。なお、HYDEは5月25日に自身が観光大使を務めるオーストリアの首都ウィーンにあるコンツェルトハウスで現地のオーケストラと協演し、「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」を締めくくる。

セットリスト

「HYDE Orchestra Tour 2026 JEKYLL」2026年4月1日 ぴあアリーナMM

01. DIE HAPPILY
02. SSS
03. MAISIE
04. SO DREAMY
05. HONEY
06. GLAMOROUS SKY
07. NOSTALGIC
08. TATTOO
09. FINAL PIECE
10. DEFEAT
11. FADING OUT
12. SMILING
13. EVERGREEN
14. THE ABYSS
15. RED SWAN
16. BREAKING DAWN
17. 夢幻
18. LAST SONG

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