フィロソフィーのダンスによるアコースティックワンマンライブ「Sing for Philosophy byライブナタリー」が、東京都鶯谷の老舗ダンスホール・DANCE HALL新世紀にて5月30日に開催された。
フィロのス念願のアコースティック、活動休止前に実現
この公演は、これまで東京女子流とのツーマンライブシリーズ「東京のダンス」や、フィロのスがリスペクトする太陽とシスコムーンとのツーマンライブ“フィロシス”でタッグを組んだライブナタリーとの最後の共同企画。6月13日の東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でのワンマンライブ「フィロソフィーのダンス The Last Dance ~DFP Forever!~」をもって活動を終了するフィロのスの「まだやっていないことに活動終了までにチャレンジしたい」という思いから実現に至った。
ライブは全編生演奏で、この日限りの楽曲アレンジは音楽監督・幡宮航太が担当。高尾俊行(Dr, Perc)、三沢崇篤(G)、堀井慶一(B)、宮脇翔平(Key)、後藤天太(Sax, Flute)の巧みな演奏をバックに、奥津マリリ、佐藤まりあ、日向ハル、木葭のの、香山ななこの5人はアイデンティティの1つである“ダンス”を封印し、じっくりと歌声を届けた。
グッドミュージックに浸って
フルートの音色に誘われるようにステージに登場したメンバー5人は、横並びになった椅子に腰掛け、2018年の楽曲「パレーシア」を歌い始める。エレピとアコースティックギターを主体としたバラードアレンジに生まれ変わった「パレーシア」に、観客は思わず息をのむ。2コーラス目でドラムとベースがジョインすると、メンバーも観客もゆるやかに体を揺らし、心地よいグルーヴに身を委ねた。5人はやや緊張の面持ちで挨拶。木葭は「今日は1日、グッドミュージックに浸っていきましょう」と呼びかけた。
アコースティックギター1本の演奏による「Tokyo Lights」では、メジャー7thの響きがホール内をアダルトなムードで包み込む。続く「マイアミ・ブルー」では高尾が叩く軽快なパーカッションがハンドクラップを促し、観客も奏者に。メンバーの表情も徐々にほぐれ、ボサノバに生まれ変わった「サンバーント・ロマンス」ではマイクをつないでいく5人の歌声が伸びやかに響いた。
日向は「皆さん、耳だけじゃなく、きっと目も楽しいじゃないかと思うんです」と、この日のために用意された特別な衣装を紹介。メンバーそれぞれに異なる衣装は、1人ひとりのリクエストをもとに用意されたもの。さりげなくメンバーカラーのアイテムが施されていたり、ダンスを封印したライブだからこそのドレッシーなスタイルだったりと、「Sing for Philosophy」ならではのこだわりが詰め込まれたスペシャルな装いに、フロアでは大きな歓声が沸いた。グラビアでも活躍する“セクシー担当”奥津は「見たことがない新しい窓が開きました!」と、大胆な胸元の下にも肌を露出するスペースが作られた衣装をアピール。足の長さが際立つミニスカートにメンバーカラーである紫のタイツを合わせた香山は「足の長さが山手線1周となっております」と解説した。
レア曲続々!スペシャルアレンジで昇天
「次は浸らざるを得ない曲を」という日向の言葉に続いて披露されたのは、手塚治虫「火の鳥」未来編をモチーフにした2024年のナンバー「ムーピーゲーム」。オリジナルからぐっとテンポを落としたピアノバラードのアレンジに、観客は日向の予告通りにうっとりと耳を傾ける。余韻を残すアウトロから一転、高尾が繰り出すリズミカルなビートにメンバーと観客はハンドクラップを合わせ、その名の通りの「Clap your hands」へと移行する。堀井のベースがグルーヴにうねりを生み、5人の歌声はいつも以上にソウルフル。2025年リリースの10周年シングル「迷っちゃうわ」では5人が椅子に座ったままキュートな振付で踊り、歓声をひときわ大きくさせた。2022年の楽曲「Clap your hands」が現在の5人編成で歌われるのは、この日のライブが初めて。そもそもオリジナルメンバーもライブで披露したことがなかったレアなナンバーだが、これはもともとフィロのスのファンであった香山の「この曲を歌わなければ天へは昇れない」という強い思いからセットリストに加えられることになったという。
「後半戦もまだまだ最高を更新していくぞー!」と笑顔で宣言した木葭は「この曲が私たちとみんなの未来を照らしてくれますように。そして、1人ひとりの素敵な未来が待っていますように」と続け、フィロのスが活動初期から歌い続けている「はじめまして未来」へとつなげる。観客は着席での観覧だったが、この曲ではたまらず「あんぬー!」「ななこー!」とコール。続く「ロジック・ジャンプ」では約7年ぶりのパフォーマンスということで、イントロからこの日一番と思われる大歓声が上がり、場内はアコースティックライブとは思えない熱気に満ちた。レアな選曲、レアな生演奏で繰り広げられた「Sing for Philosophy」も残すところあと1曲。最後は2018年のソウルナンバー「シャル・ウィ・スタート」がしっとりと歌われた。
11年かけて手に入れた自信
アンコールを求める拍手がダンスホールに響き渡り、フィロのスの5人はバンドメンバーとともに再びステージへ。メロウなナンバー「シスター」をよりメロウなアレンジで歌い上げ、後藤のサックスが楽曲のムードをより引き立てた。奥津は「ずっとアコースティックライブがやりたいと言ってて……亡霊になっちゃうところだった」と、活動終了直前にアコースティック編成のステージが実現した喜びを改めて噛み締める。5人はともに素敵なステージを作り上げてくれたバンドメンバーと、当日は同席できなかったアレンジャーの“はたっぷ”こと幡宮を紹介。観客からも惜しみない拍手が送られた。佐藤は「今日1日で終わってしまうことがもったいないくらいに、本当に素敵な素敵なバンドメンバーと、素敵なアレンジと、かわいいフィロちゃんと、大好きな皆さんと楽しい時間を過ごせて本当にいい1日になりました。気持ちよかった」と笑顔を見せた。
ここまでは着席で歌を届けてきたフィロのスだが、ステージから椅子を撤去し、観客にも立ち上がるよう促すと、工藤大輝(Da-iCE)提供のファンキーなソウルナンバー「Love&Loud」のパフォーマンスへ。メンバーはバンドとの共演を心ゆくまで味わうように、自由にステージを動き回る。さらにもう1曲、初期からのライブ定番曲「ライブ・ライフ」をバンドアレンジで披露して、ダンスホールをディスコさながらのダンスフロアへと変えた。
この日のライブは昼夜2公演、同じセットリストで行われ、メンバーは貴重な2ステージを心ゆくまで楽しんだ。夜公演まですべてのパフォーマンスを終えた奥津は「本当に特別なライブになったなと感じていて、今まであまり感じたことのない気持ちになったり、今までにない曲の解釈が生まれたり……今まで以上に自分の声が好きになりました」とコメント。日向は「踊らないフィロちゃんズもすっごくよくない? 普段アイドルとして歌って踊っていて、それも最高だけど、こうやって歌だけで魅せるフィロちゃんも最高だなと。フィロソフィーのダンスを始めた頃は『曲がいい』が先行しちゃって、自分の実力が追いついてないのが悔しかった時期もあったんですけど、踊らないで歌で魅せられるように11年かけてなった、というのがここまで続けてきてよかったと思えることの1つだと噛み締めました」と実感を込めて語った。
セットリスト
フィロソフィーのダンス「Sing for Philosophy byライブナタリー」2026年5月30日 DANCE HALL新世紀
01. パレーシア
02. Tokyo Lights
03. マイアミ・ブルー
04. サンバーント・ロマンス
05. ムーピーゲーム
06. Clap your hands
07. 迷っちゃうわ
08. はじめまして未来
09. ロジック・ジャンプ
10. シャル・ウィ・スタート
<アンコール>
11. シスター
12. Love&Loud
13. ライブ・ライフ
公演情報
フィロソフィーのダンス The Last Dance ~DFP Forever!~
2026年6月13日(土)東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)


